@AUTOCAR

写真拡大 (全5枚)

どんなクルマ? モーターの話

ごく大まかな説明なら、GLAをベースにBEV(蓄電池式電気自動車)化した「EQA」と同じ手法で、GLBをBEV化したのが「EQB」である。

【画像】「EQB 250」「EQB 350」「EQA」のデザイン/内装【写真で比較】  全124枚

ただし、パワートレインが更新されている。1つは、FWDである「EQB 250」系のモーターが誘導型から同期型へ変更。


メルセデス・ベンツEQB 350 4マティック(デジタルホワイト/AMGラインパッケージ)    宮澤佳久

同期モーターはクルマの電動化では標準的であり、電費と中低速域の動力性能、回生発電効率の改善が主目的と思われ、WLTC総合モードにおける電力消費はEQAの180Wh/kmから147Wh/kmに向上。

同じ消費電力量で2割弱長い距離を走れる計算であり、満充電航続距離も423kmから520kmに伸びている。

もう1つの注目は、EQAにはない4マティック車、4WDとなる「EQB 350」系の展開である。

もちろん、BEVやシリーズ式HV(ハイブリッド車)では標準化しつつある前後独立駆動のツインモーター型。

おや? と思わせるのは、前輪駆動用モーターにEQAと同じ「誘導型」を採用したこと。

EQB 350 誘導モーター+同期モーター

その理由だが、主な駆動力を後輪駆動系とし、高速(高回転)域で有利な「誘導型」を前輪駆動系に副駆動力として用いている。

モーター出力は前輪用が勝るが、制御的には後輪駆動ベースの4WDと考えていいだろう。


メルセデス・ベンツEQB 250の前席内装(ローズゴールド/グレーパール:レザーツイン)    宮澤佳久

なお、4WD車(EQB 350 4マティック)のWLTC総合モードの満充電航続距離は468km、電力消費は163Wh/kmと、ともにEQA 250を上回っている。

高効率化はEQBの大きな見所である。

電動は、即応性・制御精度が内燃機と段違い。モーター性能の及ぶ範囲なら如何様にもできる。

「どっかんターボ」的にも「先太り」的にもできる。でEQBが選んだ道は、徹底的にメルセデス車である。

例えば発進。じわりと踏み込めばクリープ制御から穏やかに立ち上がる。

メルセデス乗りなら、しっくり来る

ちょっと乱暴な踏み込みでも、ごく初期の加速は穏やかに、そして連続的に加速度を高める。

予兆感というか加速の立ち上がり反応から踏み込み量も掴みやすい。


メルセデス・ベンツEQB 350 4マティック(デジタルホワイト/AMGラインパッケージ)    宮澤佳久

それが無意識下のフィードバックで処理される感覚。どう操ればいいかアレコレ考える必要はない。

そういった対話感やドライバーの感性への適合はメルセデス車の特徴の1つだが、電動の制御精度の高さを活かして再現するとともに、雑味を減らした感じだ。

当然、メルセデス車から乗り換えたユーザーなら初乗りから何の違和感もなく馴染めるだろうし、メルセデス車の安心と信頼がBEVになっても何も変わっていないことに安堵するに違いない。

EQB 250、EQB 350 走りの違い

基本的な狙い所は「250」も「350」も変わらないのだが、上乗せ分が違っている。

「250」は実用的かつプレミアムSUVとして必要十分。


メルセデス・ベンツEQB 250(ローズゴールド)    宮澤佳久

一方、「350」は高負荷・高速域の加速の伸びやコントロール性で上回る。パワースペック分だけ速いというよりも、速度変化の影響を受けにくい。

前述の扱いやすさや余力が高速域に至っても持続し、より深いドライビングの余裕をもたらしていた。

特別な存在であることの誇張が全然ない。

電動の能力は走りの質の向上のツールでしかない。これは動力性能だけでなくフットワークにも通じる。

続きは試乗編で。