※この記事は2010年09月19日にBLOGOSで公開されたものです

14日に投開票が行われた民主党代表選挙で、菅直人氏が新代表に選出され、首相を続投する見通しとなりました。一方、小沢氏を推薦した議員たちの中には「負けた場合は民主党からの離党を覚悟している」などの発言もあり、代表選で敗北を喫した小沢氏の今後の動向に注目が集まっています。
今回のBLOGOS対談は、長く小沢氏と行動を共にしてきた元参議院議員の平野貞夫氏を迎え、メディアではあまり語られない小沢氏の実像に迫るとともに、今後の小沢氏・政界の動向を予測しました。



池田:こんばんは。毎月1回やっていますUstream中継ですけれども、今日は皆さんもご存じのとおり(9月)14日に投開票が行われました民主党の代表選挙に関連するお話であります。選挙自体は菅直人首相が再選される。小沢一郎前幹事長が敗れるという形で終わったわけですけれども、世の中の話題は、一方で今日組閣もありましたけども、もう一方では敗れた小沢さんが今後どういうふうに、動くんだろうかという、やっぱり依然として小沢一郎を主語にして政局が語られるという状況が続いている。
そこで今日はゲストとして、小沢一郎さんと長い間一緒に政治活動をなさってこられました元参議院議員の平野貞夫さんをお迎えしています。よろしくお願いいたします。

平野:よろしくお願いします。

池田:まず平野さん、この一連の選挙の過程の中で平野さんご自身も、まぁ、あの、関わられたそうですけれどもご感想はいかがですか?

平野:はい。あのー小沢一郎という政治家が今までそのトップに、党のトップ、あるいは国の政治家のトップに立つということは、あまり積極的でなかった政治家ですが、現にあのー自民党の時代、経世会から「総理になれ」って言われて固辞したっていう話もあるんですが、そのー今回は2つの意味でですね、自分が国を率いていかなければ、とても大変なことになるという決意でですね、人柄が変わったように決断されて、ただその率直に言いまして、確実に勝てるという、あのー想定はありませんでした。

池田:あー。世間ではね、小沢さんこの種の選挙では負けたことがないと。彼が出るからにはもう勝算あるんだというお話もありましたが、そこまでのことではなかった。

平野:そこのところはそのー今までとは違うところでしてね。

池田:あー。

平野:まぁあの、これまでのそのー代表選挙というのは、単純なその比較ですから。

池田:はいはい。

平野:選挙の戦術的にも、そう難しい…(ものではない)

池田:国会議員だけで決まるのが多かったっていうことですね。

平野:今回の場合は8年ぶりの党員・サポーター、地方議員のポイント制を入れた制度でございますから。まぁあのー負けた原因といいますかは、一つはそういう戦術に、選挙を仕切っていたスタッフが慣れていなかったといいますか。あるいは十分対応できなかったちゅう部分があるかと思うんです。それでまぁポイントが700台と400台に分かれたわけですが、実際の、その実数ということでは、党員・サポーターでも6対4。

池田:そうですね。

平野:地方議員でも6対4と、まぁよく、極めて厳しい小沢叩きの中でですね、非常に健闘したと思っております。

池田:ただちょっと意外だったのは、(小沢氏が)国会議員票では事前には有利だという下馬評だったんですが、そこが、ね?

平野:いや、そこが非常に面白いところでしてね。まぁそこが今後も民主党の党運営、ひいてはその国会運営。

池田:えぇ。

平野:政策選択に大きな影響を及ぼすと思います。

池田:そうですね、はい。あれは事前の予想のように小沢さんが国会議員票で圧倒的に取っているけど、党員・サポーター票で負けたという展開だとすると、まぁいわゆる分裂含みとか何とかっていうお話もあったわけですけれども。その辺は今後はどうなるんですか?

平野:そこでですね、あのー極めてきわどい、そのー数字で、今後ですね、小沢グループが、民主党内の動向のイニシアチブを握るということができたと。したがってそれは、政局全体のイニシアチブを握ることになると。

池田:なるほど。

平野:きわめて微妙な数字で、神様がつくったような形でですね。そこでその、マスコミ・メディアが、今まで小沢をしきりに叩いていたメディアがですね、何だこの選挙の結果は、小沢が主語の、池田さんが言われたですね、主語の、政治の構造に変化ないじゃないかと。さらにもっと小沢がある意味で、変なエネルギーがついたんだと。

池田:ははは(笑)。

平野:こういうことになるわけですね。

池田:あの、今日発表された組閣の名簿を見てますと、いわゆる小沢色はかなり排除したっていう形になっていますね。

平野:はい、これですね、あのー党の役員と、それから閣僚。ここをこう、あの、セットにして考えにゃいかんと思うんですが、で、大事なことはその、党員・サポーターの票はともかくとして、国会議員の数が、206対200と。本来、実は私も後ろで関わってたんですが、あのー確実に反・小沢票と、それから確実に小沢票と、それから迷い票というのがですね、まぁ50くらいあったわけなんですね。その迷い票というのは、いろいろな理由があるんですけれども、そのーポストでつられるほう、まぁそりゃあ中にはどうも、毒まんじゅうも多少あったみたいなんですけれどもね。

池田:えぇーっ!?へー。

平野:まぁ、それからいろいろ因縁の中でですね、迷っている人たちがあったようなんですが、あのー前日13日のお昼ごろまではですね、30人から40人くらい、小沢の説得が成功して差ができたと。だからきわめて僅差だろうと。こういう情報が、あの強うございました。ところが夜になって、これは本当かどうか分かりませんが、党員・サポーターの票で相当菅さんが勝っとると。いう情報で、この何というか、迷い票がですね強いほうに流れると。

池田:はぁーん。へー、なるほど。

平野:それがその小沢さんが議員票で大変負けた原因のようなんです。しかしまぁ半々ですから。

池田:はい。

平野:そのー挙党体制をつくろうとすれば、あのー党の幹事長、政調会長、国対委員長ですか。ここの中には、いわゆる小沢グループから1人入れるというのが挙党体制の一つの流れでございますわね。それから閣僚をまぁ、えー17人ですか? いる中でですね。僕は、いわゆる小沢に入れた人と、入れない人を半々くらいにするというのが、これがバランスのいい挙党体制ですよね。
そこで、結果は今日の組閣では、党三役には小沢グループ誰も入れないと。小沢さんに投票した人は誰も入れないと。それで、閣僚では小沢グループは1人もいなくて、小沢さんに投票した人は3人ですか。

池田:あ、海江田さんが入っている。

平野:海江田さん、それから大畠さん、高木さん。これはまぁ、言われている話ですね。本人が小沢さんに入れたっていうことですけど、間違いないと思いますけど、正確に無記名投票ですから。分かりませんですわね、その点は。

池田:はいはい。

平野:だから非常にバランスの悪い。

池田:ははははは(爆笑)。

平野:ものになって、小沢さん排除したものだと。こういうことで党運営できるのかと。したがってその国会運営、大丈夫なのかと。ま政策的にも、非常に菅さん自身に、代表選挙で具体的な目玉になる内容がないもんですから、しかも非常に厳しくなっとるもんですから。沖縄問題も、それから円高問題も。そういう意味でまぁ皆さんがこの菅改造内閣のスタートにあたってはかなり厳しい見方をされていますね。

池田:それで皆さんが一番注目なさるのは、小沢さんはこういう時になるとまた党を割るとか新しい党をつくるとかですね(笑)、そういうことを繰り返してこられたわけですけれども、今後そういう可能性ってあるんですか?

平野:まぁあのー小沢さんが党をつくり党を壊しっていう誤解が相当あるんですが、

池田:笑

平野:あのー、その間全部私がシナリオをつくるっていう

池田:爆笑

平野:私が関わっていることがありましてね、これは真実はですね、要するに政治闘争で負けたんですよ。負けた結果が分かれたりつくったりするわけですからね。

池田:なるほどね。

平野:全部負けたっちゅうことなのです。それからまぁ岡田克也さんが新進党を解党した時にですね、あのー、そんな説明じゃ分からんと非常に憤慨して、いろいろその、小沢―岡田の関係がちょっとぎくしゃくするのはそれからなんですが、これはまったくの誤解でしてね。これは当時のやっぱ公明党が参議院で、比例を新進党でやるか公明党でやるかっていう、揺れましてね。その結果突然、公明でやろうということになったんで、ならば新進党で通った公明系、創価学会系の人がいるもんですから、いったん新進党を手続き的に解党しなければならなくなりましてね。
そういう、いわば公明のその理由で解党したわけなんです。ところがその、小沢さんは、それを言うとこりゃやっぱり公明に悪いということで、自分の責任だという、そういうことで、これは私の責任だということで、詳細なことは言わなかったんです。

池田:あーなるほど。

平野:これは小沢さんのいいとこでもあるし、また欠陥でもあるんですよ。

池田:ちょっとあのこれ、いきなり昔の話に飛ぶんで説明が必要なんですけれども、1997年の末に、12月27日にか、解党したんですね。

平野:そうそうそう。

池田:みんなビックリしたんですよね。あれはなんで解党したのか未だにみんな分からないっていう人が多いんですけど、平野さんの御本を読むと今おっしゃったように、あれは法的にいったん解党した上で、もういっぺん新たに新進党をつくるということだった。

平野:そうです。

池田:だったわけですよね?

平野:さようでございます。

池田:ところがその過程で、ぱらぱらと色々な人が辞めちゃったから…。

平野:もっとも寄せ集めですからね。

池田:それを結果的には小沢さんが潰したというふうに見られちゃったと。

平野:誰の責任で潰したかっていうことは当然言われますからね。その時に両院議員総会で、(小沢さんは)私の判断で、私の責任で潰したと。それしか言わないわけですよ。

池田:まぁ男らしいっていえば男らしい。

平野:まぁ……けどね、それはね、私は随分文句を言ったんですよ。

池田:笑

平野:ちゃんと説明しとけよと。そしたらやっぱり公明・創価学会に迷惑をかけると。それはある意味彼らのエゴイズムでやったわけですから。しかしその旧・民社党とか、自民党から来たグループも2つくらいありましたからね。複雑な内容ですから、ガラス細工ですから、1カ所壊れたらバッと壊れるわけですよ。

池田:それは解党して年内に、政党助成金の関係で3日くらいでバタバタっといろんな党をつくったんですよね。

平野:そのときには4つくらい政党できたんじゃないですかね。

池田:ねぇ。笑。

平野:その後また合併がありますけどね。

池田:それも含めてやっぱり小沢さんにはいわゆる「壊し屋」というイメージがつきまとっているんですけれども、それは平野さんから見て、別に壊そうとして壊したっていう感じではないわけですよね?

平野:ある意味でその新進党を解党しなきゃならんっていう事情は後ろに野中(広務)さんが、その例のビデオ問題なんかで揺さぶっていて、公明・創価学会の中でそっちに付く人たちがいたもんですから、それが根っこにあるわけなんですよ。ただ小沢さんが非常に悪い印象をそのときに、悪役をやったのは、まぁ本人はそれでやったわけですけれども、悪役をさらに悪くしたのは私の発言でしてね。

池田:ほぉ。

平野:これは申し訳ないと思っているんですけどね、新進党解党の政治的意義、効果は何かっていう質問に対して、私がその政党の純化だと。

池田:あぁ、はいはい。

平野:覚えています?

池田:いやみんなそれが合理的な説明だと思って聞いたわけですよ。

平野:笑。いや、しかしそれは純化だと思っている人はいい、納得しますけどね。国会議員で。やられたほうは怒る。俺たちはじゃあ純じゃないのかとね。それが評判を悪くしたんですよ。

池田:あれは本当にそういう意図をもってやられたわけじゃなくて、その時に平野さんが言い訳というか、思いついておっしゃった?

平野:思いついてって、私たちは元自民党でね、健全な保守政党というか、これをつくろうという狙いがあったもんですから、あの時自由党をつくったわけですね、だから自由党がその純粋な新進党を継承する政党だという意味でいったわけなんです。で新進党の純化っていう。それで他の連中は「何を」っちゅうわけで怒って。でそれは平野がいうんだから小沢もそう思っとるんだろうということになったんです。

池田:それは小沢さんの意思じゃなかったんですか。

平野:まったく意思じゃない。

池田:それはもうまったくアクシデントでそういう結果になっちゃったっていう。

平野:さっき言ったような。

池田:ははははは(笑)。

平野:手続きの、その政党助成金とか、分けて、その規定になっとるわけですね。

池田:はいはいはい。そのへんがね、小沢神話っていうのが生まれる原因になっちゃうわけですよね。そういうのも、後々から結果としてみると小沢さんがいわばもう、面倒臭いほかのヤツらを蹴りだして、自分たちのね、コアのグループだけでもっとこう、楽にやっていこうと思ったら実は当初より小さくなっちゃって計算ちがったっていうふうなね、解説のされ方をするじゃないですか。それは後からつけた話なんですね?

平野:まぁそれはけど、余計なことをいった私の責任もあるんですよ。
これね、もう一つ面白い話があるんですよ、いいですか。ちょっと飛びますけどね、その後いろいろあって小渕さんのときに自民党と自由党の連立ありましたね。

池田:はいはい。

平野:ところがその、公明党が後から入ってきて、いわゆる最初の基本的な政党改革ができなくなったんですね。
それでこれじゃあ自由党をつくっている意味が、自由党で活動できないということで、自由党が連立政権から離れますね。平成12年の4月ら辺に。この時にですね、50人いた自由党の国会議員の26人が連立派で、扇千景さん、野田さんなんかを中心に保守党をつくりますね。この時に元の自由党のお金をどうするかという問題があったんですよ。
これがその、小沢さんは、しかるべき金額は保守党に分けるべきだと。こういうことを考えて、藤井幹事長と小沢党首はこれくらい分けようと。僕は金額を知りませんけれども、決定をなさった。
ところが2人だけでそれで出すのは、まずいと。うるさい平野にだけに理解してもらおうと、私呼ばれましてね。二人のところに。保守党に金をあげるからよろしいな、と言うから。私はどの金を分けるのかと言ったんです。そしたら、政党助成金をまずあげる。半分に分けるということですよ。それで、それは憲法に違反しますよと。
政党助成金というのは、あの時は、直近の参議院の比例の票、当時は制度は政党中心ですから、自由党が520万票あった。かける250円ですね。その多少使ったと思いますけど、それを分けると言うから、それは国民主権に反すると。自由党に入れてくれた人、自由党への反党行為として自民党に守旧派に手を突っ込まれて、出て行く人たちに渡すのは筋が通りませんと私は言いました。小沢さんはそれは分かる、と。それでは、献金したものを分けると言うんですよ。保守党に。それなら文句ないだろと言いますから、私は言わなきゃいいのに余計なことを言いましてね。
民主主義の国で野党から与党に寄付する国があるかと言ったら、怒りましてね。あんたはこれで何回目だ。理屈を言って僕の評判を落すのは、ということになりましてね。

池田:笑

平野:私もちょっと気の毒になって、それでは残っている人の意見を聞いて、大勢がそうなら私は文句言いませんから、というので達増拓也という岩手県の知事をしているのに調べさせたら、みんな私の意見なんですよ。同じ意見。それで藤井さんが解党できなくなりましてね。

池田:えっ…。

平野:私がついて行って、私が扇さんと野田さんに怒られたことあるんですけど、それからなんですよ。小沢さんがお金に強欲だとか(言われるようになったのは)、政党助成金とか。

池田:いまだにそんな風に言われますよね。

平野:そうですよ。私が作ったんですよ。

池田:ははははは(笑)

平野:「平野が悪いと言え」と言うんですけど、絶対言わない。自分の責任だと言って。その点は偉いですよ。

池田:なるほどねえ。なんかこう昔気質というかね。

池田:もう一度現在の話に戻しますけれど、ちょっと誤解があるにしても、壊し屋というお話がついてまわるんですけど、今後の小沢さんの見通しとして、常識的には党を割るとか新党を作るというのは難しい話だと。

平野:それは全く想定、最初からありません。何のために民主党と自由党合流して、政権交代をしたかと。政権交代をするについては国民の生活第一という理念のもとに、いろいろな問題があったかもわからないけど、マニフェストの原点を、具体論をそらあ100%守れというんじゃないですよ。原点を大事にして、それをやっぱり実現する努力をもっとしなければならないのではないかと、こういう考え方ですから。党を割るとか、出るという想定ははじめからありません。

池田:あ、そうですか。

平野:で、もともとですね。その、鳩山さんの沖縄問題、鳩山さんと小沢幹事長の政治とカネの問題で5月に入って、これでは新聞社のやる世論調査に影響されて、参議院選挙勝てないということになりましたよね。で、小沢さんの物の考え方は衆議院で多数取っても政権とっても政権交代は終わっていないという考えなんです。

池田:ほお……

平野:参議院で多数をとって、両院で多数をとって初めて政権交代は完成すると。何が何でも、あらゆるものに優先して参議院選挙に勝たなければダメだという考え。そこで5月の終わり頃、28日でしたかな。私が電車に乗っていたら電話があって、これ何としても早急に自分が辞めるけど、鳩山さんも辞めねばな、と。菅さんで挙党体制を作って、そうすれば選挙に勝てるわな。

池田:へえええ。

平野:そしたら、9月の代表選挙はしゃんしゃんでいくからと。ということで、会期末です。政治空白を作れません。瞬間的に政権交代させるには、憲法上、国会法上、選挙法上いろいろ枠がありますから、私に色々考えろということになったんです。

池田:それは、世間では鳩山さんのほうから辞めて、小沢さんよ抱き合い心中みたいなことが言われていますけど、逆だったということですか?

平野:それは、小沢さんがそういうシナリオを作って、自分を悪者にしなさい、と。鳩山さんは辞めるについては、少しはその六方を踏める場所を花道で。

池田:へえええ。

平野:いや、政治っちゅうのはそういうもんなんですよ。

池田:それは、でも記者クラブ報道には全く出てない話しですね。

平野:小沢一郎を美化することになるから。記者クラブ報道というのは分かっていても…。いつも小沢さんはそういうことをやるんですよ、大きな政変の時には。

池田:だったら、そのときに自ら、身を引かれた小沢さんがなんで今度はこういう形に?

平野:そこで、結局鳩山さんを説得するのに時間がかかって最終的に6月2日に分かった、辞めますということになって、6月2日の11時に両院議員総会をセットしましたですね。
で、小沢さんが「鳩山さんから返事があった」と私のところに電話をくれて、いわゆる憲法上のさまざまな手続き的なことを私は説明して、それで小沢さんは2日の両院議員総会で鳩山さんの辞意表明、それから一日おいて4日の午前中、両院議員総会で菅さんを選ぶ、と。すんなり、選ぶと。午後首班指名をやって、夕方内閣を作ると。こういうシミュレーションを作った。これでうまくいくと思っていたんですよ。そしたら、事実上菅さんが勝つという雰囲気がありましたからね。
そしたら2日の2時頃、小沢さんの周辺、側近から私に電話があって、小沢さんでない人たちは8日に首班指名をすると言い出した。要するに、2日に辞めるといって8日の指名ですから、一週間政治空白作るわけですよね。で、ヨーロッパの経済はギリシャ問題で混乱していますし、北朝鮮も非常に危ない問題があって、災害も起こりそう、そんなバカなことがあるかと言っているうちに、挙党体制は破れたと思ったんですよ。そしたら、菅さんは記者会見で立候補するについて、脱小沢でいくと。

池田:あ、はいはい……。

平野:要するに菅さんが小沢切りを条件に、反小沢の人たちの票に乗ったんですよ。それからこじれたんです。僕にしてみれば、全共闘の昭和40年代の内ゲバですね。それで、人のいい小沢さんは騙されたというか、クーデター起こされたようなものです。それで、枝野さんを幹事長にして、体制を作った。それでも選挙に勝てばいいんですけどね。選挙に負けるようなことばかりして、僕がみて一番おかしいのは自民党の官僚政治に戻ったでしょう。

池田:はい。

平野:そして、僕が7月の終わり頃に野中さんに会ったら、仙谷さんが相談に来ているといっていました。もうやっていることは消費税の問題もそうですし、自民党の政治そのものじゃないかと。まあ、選挙に負けて責任もとらない、その後予算の編成についても、一律10%カットと、自民党官僚政治でしょう。それで円高が起こる、株安が起こる、経済危機が起こると。これではいかんということで、ほったらかしにしたら半年持たないかもしれないけど、代表選挙という制度があるからしかるべき人間を出して、これは本来の政権交代した民主党の姿に戻さないとえらいことになる。
この次の選挙に負けるぞ、ということで小沢さんが代表選挙に候補を出そうという話になったわけです。そこで、鳩山さんが何とか挙党体制でしのげないかと。変な争いをしないようにと言って、鳩山さんが乗り出してきたんですが、これがなかなか上手くいったようで上手くいかなかった。そこで、今度の選挙はひと言で言えば、小沢さんを排除するための代表選挙なんですよ。

池田:まあ、結果的にはそうなっちゃいましたね。

平野:8月30日の夜中に鳩山、菅で記者会見して、挙党体制できますと。トロイカ+ワンで行きますと、いうことを会見して、朝になって菅さんがコロっと変った。それは小沢排除で行けということに菅さんが態度を変えた。そこで、出ざるを得なかった。場合によっては、自分が出なきゃいけないかと思いを持ちつつ、最終的に31日にそういうことになったわけですよね。

池田:うーん……。

平野:鳩山さんの顔を立てるということもあったと思いますけど、そういう体制ですから勝てたらいいが、勝てない場合もあるという想定で、少なくとも私は小沢さんにアドバイスをしましたし、政策的なことについても。この際はっきりと、政権交代をした意義と、国民の生活を守る、財政再建を大事だけど国民の生活を、苦しかったら財政再建もできないじゃないかと。ということで、代表選挙でああいう政策提言をされて、本人もこれが実現しなきゃ日本の国がめちゃくちゃになるという大きな不安を持っていた。その中で検察審査会で結論が出ないかな、どうのこうのという議論になった。

池田:そうすると、今の結果は半分折込済みだったと。そうすると、これでことを起こすということはしない?

平野:ありません。ですから、良くマスコミから、小沢さんがどうするか聞いてくるんですけど、それは小沢さんに聞いてくれと。それは私に聞くのはおかしいと。あなたはどうしたらいいと思いますか、という質問には私は答えているんです。
それは、どういうことかというと、小沢さんが代表選挙で主張した政権交代を実現した原点を実現するために最大の努力をすると。そのための政策提言をいろいろやっているわけですから、それを今後民主党政権として実現するように、政策提言をブラッシュアップして、それをことあるごとに議論して、要求をすると。そうではないと、国民は期待していますからね、ある意味で。今の政権に対して。
そして、万が一政策的なつまづきがあった場合には、小沢さんが代表選挙で主張したものを民主党の政策として採用してもらうように、皆さんと一緒に議論すると。こういう形で、政治の運営の仕方とか、いわゆる自民党のような政治をやらないとか、アメリカに対等に物を言う、追随しないと。そういうこと、姿勢を含めて、特にこの経済の活性化、地方の活性化というものを中心の政策提言と言うか、政策党内議論を当面やるべきではないかというのが私の意見なんです。

池田:その政策面の問題もさることながら、記者クラブ的な関心で言うと、ねじれ国会というのが待ち受けている。今のこの内閣で、これを乗り切れるのかいなというのが国民の一番心配しているところだと思うんですけど。どうですか?

平野:そうですね。ただ、ねじれ国会というのは、戦後の新憲法の中でですね、六十数年新憲法でやっているわけですが、63年くらい。半分はねじれなんですよ。

池田:ああ、そうなんですか。

平野:ええ、というのは第一、昭和20年代の緑風会があったときには、ある意味ではねじれですよ。与党じゃないんですよ。

池田:そのころはよく知らないんですけど。

平野:あの……緑風会。

池田:ああ、緑風会ね。参議院の会派ですね。はいはいはい。

平野:緑風会は与党じゃない。

池田:ああ、そうですね。

平野:ねじれ。圧倒的に多かったわけですから、これはねじれなんです。

池田:ああ、なるほどね。

平野:それから55年体制なってからも、ご承知のように海部内閣と宮沢内閣はねじれなんです。

池田:そうですよね。

平野:ねじれの時、海部内閣の時には湾岸紛争を処理した。90億ドル拠出の財源法をどうやって作るかとか、もう苦労しました。それから、宮沢内閣の時には、それの延長としてのPKO法案も成立させたんですよ。ねじれであっても、与野党の全部とは言いませんが、中核に信頼関係があれば難しいもんじゃないんですよ。

池田:なるほど。

平野:ところが、今与野党の政党間に信頼関係がないんですよ。

池田:そこが問題ですよね。

平野:だから、これねじれというより不信国会なんです。ねじれ不信国会といわなければならない。従来のねじれと違うんですよ。で、あの海部さんのとき、小沢さんが幹事長。それから宮沢さんのときは小沢さんが内閣をフォローしました。公明党と民社党に信頼関係があったから、できた。ところが、今は自民党、公明党に決定的に不信感がある。民主党に対して。

池田:人脈がないというかね。

平野:人脈がないわけじゃない。例えば新自由主義の人たちが民主党にも自民党にもいますしね。その、選挙のディスカッションの態度が、特に菅さんと枝野さんの態度が議会政治家じゃない、その議論をやっている。ですから、1人区で民主党が決定的に負けたのは、自民党と公明党の選挙協力。これは創価学会が指示していない選挙協力で、まあ私は聞いたところによると、あれで決定的に負けたんですが、自民党や公明党の人たちはこの人たちの理論には同質性が認められないと。彼らは議会で理屈でやっつけたほうが勝ちと思っているでしょう。

池田:なるほどね。

平野:議会というのは議論を交わして多数を構成することで、議会制民主主義の感性が菅さんにも枝野さんにも無かったんです。

池田:なるほど。

平野:そこが不信ねじれ国会なんです。具体的に公明党と今の民主党はそんなに政策違わない。自民党も一部とも違わない。議会政治にたつと感性の違いがあるということ。それから、公明党の場合には官房長官の公設秘書に元公明党の矢野委員長の息子さんがいるそうですね。

池田:笑

平野:そこらへんもうまくいかない。

池田:そういうこともあるんですね。

平野:だから、普通のねじれじゃないんですよ。

池田:実は先月片山さつきさんとの中継でお話したんですけど、片山さんは参議院で当選されていおっしゃったのは、とにかく予算は衆議院の優越で何とかなるかもしれないけど、予算の関連法案で、赤字国債は全部特例法が必要だと。私たちがダメだと言ったら通らないから、行き詰まりますよということをおっしゃっていた。

平野:財源の赤字国債については、説得できないことはないと思いますど。予算みたいなもんだから。

池田:はいはいはい。

平野:問題はマニフェストで約束した子供手当てとかね。さまざまな重要法案があるわけでしょ。これは自民党は……。

池田:ダメだよと公言していますものね。

平野:これは通らないでしょう。

池田:ひっこめないと予算を通してもらえないと。

平野:そういうことです。自民党の条件はマニフェストを一回破棄しろと。これは、党を破棄しろというのと同じですからね。今度、石原伸晃さんに幹事長が代わって、結構波長があいそうで、話し合ってもいいぞということで、粉かけていますわね。石原さんが。ところが、一方の自民党の中には冗談言うなと、自民党の中が騒がしくなっている。

池田:そうすると、行き詰って解散というシナリオも言われていますけど。行き詰ることはありますか?

平野:これは素人的な分かりやすい流れとしては、行き詰ったら解散。しかし、衆議院を解散してもですね、同じことなんです。

池田:そうですね。

平野:ねじれは直らないんですよ。そうすると、ねじれを直すには解散に持っていったら再編でしょうね。
池田:あるいは、小沢さんがいらっしゃったら大連立とか、政界再編という話もあったかと思うんですけど、僕はこのメンツでは政界再編というのは難しいのかなと。

平野:政界再編というのはある意味で、重要な日本の政治課題です。一定の時間を置いて避けて通れないと私は思っています。
といいますのは、だいぶ変わってきましたけど、民主党にも3つのグループがあるんですよ。それは新自由主義、小泉さんと変わらない、それと国民の生活が大事、共生社会をつくろうというグループと、既得権で続けようという3つのグループがある。民主党はそういう構造。同じ構造が自民党にある。本当だったら、政党は理念、政策が一致する。我が国はいつまでたっても金太郎あめ。
ですからそれは、選挙では直せない。政治家の理性と倫理性と論理性で直さないといけない。ところが当選したいがために、理念や政策の違う人間がひとつの政党をつくる。小沢排除とかアホな議論になるわけです。

池田:そこが今日の本題の、小沢さんの本質的な問題に関わる部分ですが、外から見ると、作っては壊しで、失敗しては壊すという印象しかない。平野さんから見ると、小沢さんの行動にはある種の一貫性があるわけですよね。今おっしゃったように、いわゆる保守二党論。

平野:二大政党論。

池田:いわゆる小さな政府と大きな政府のようなものが政策で競うと、欧米的な二大政党というイメージが彼の中にはあったということですか。

平野:ええ、ひとつは2大政党とはいいきりませんけれども、政党につくのは人間の自由ですから。2つの政治勢力による政権交代。有権者の審判で政権が交代できる仕組みをつくることが民主主義。そのひとつの基本理念がある。そのための選挙制度。政党助成金とか、国会運営とか、これの改革をずっとやってきた。
それと同時に、明治で近代化した日本が、中央集権官僚中心の国家体制で、これの限界が来ている。これを変えなきゃだめだ。そのためには、有権者ひとりひとりが自立するとともに、共に生きよう、助け合おうという、自立と共生という考え方で生きていく社会をつくらないといけないということで、平成5年に日本改造計画。あそこに基本的な考えがありますので、あれを政治の場面で実現したいということを一貫して。

池田:僕はそこは興味があるところで、この間小沢さんに、ニコニコ動画でインタビューしたとき、ひとつだけ聞きたいことがあった。日本改造計画の序文に、グランドキャニオンには柵がないでしょ。小沢さんはいまでも、グランドキャニオンの柵について同じ考えですかと聞くと、間髪いれずにまったくおなじですよと。
しかし、民主党に合流してからの小沢さんは、社民路線にすり寄って、労働組合と仲良くなって、ちょっと昔の改造計画のころとは違うんじゃないですか、って話をしたんですが、彼は個人が自立することは必要なんだけども、最低限のセーフティーネットは必要だと。重点の置き方が少し変わったのかな、という印象は受けました。

平野:非常にポイントの部分なんですよ。日本改造計画は、本人が勉強会を何回も開いて、私もずいぶん議論して、面白い話もたくさんありますが、率直にいいまして、平成5年のころの日本では、自立と共生、共生が日本型セーフティーネット、自立は要するに自由な競争。これを調整しようというわけ。
あのときは日本的談合社会があまりにもひどくて、そこは一つの規制をとっぱらって、力のある、顔のある、家柄のいい、既得権をもった人間が裕福にならない公平な仕組みを作ろうという意味。
その後これはサッチャリズムに似てます。新自由主義といわれてもしょうがない。意図的な部分もあったのですが、あの時点では日本の社会をいったん改革しないとだめだという気持ちがあったんです。
ところがそれから10年たって、冷戦の崩壊の結果、アメリカの金融資本主義が世界を支配するようになって、日本に竹中小泉改革が導入された。その後の新自由主義と、日本改造計画の新自由主義は違うんです。

池田:重要なところですね。

平野:あの時期にそれができなかったのが残念なんです。

池田:残念ですね。あの時にやっておけばよかったんです。

平野:あとの奴は全く人間性を無視した格差を作ったから、えらいこっちゃということで、セーフティーネットに重点をおいているんです。それから社民党や労働組合とのつきあいについては、小沢さんも良く分かっています。それは戦略的なことと戦術的なこと。参議院選挙を3年前にやって勝ちました。小沢さんが代表でした。平成18年から労組対策それから連合との関係をどうするかが問題になった。
小沢さんのまえの前原代表は、労組と手を切るということでしたが、小沢さんの戦略は、戦術的には労組を効果的に使う。選挙がある場合当然のことですが、しかしそれだけではいけないということで、労組が時代を意識しないとだめだということで、特に自治労、日教組の幹部の頭の中が固いと。特に県の幹部はそうなんです。中央はそうでもない。そこで私に声がかかって、とにかくうちの幹部は頭がガチガチだから、頭の中に手を入れて柔らかくしてくれといわれまして、小沢さんもやってくれと。自治労、日教組については既得権を公に返還するという気持ちがなければ、もう労働組合なんかには協力せんぞという緊張の関係の中でやったんです。いまだから言えることですが。
私は自民党所属の国会議員だったんですよ。そのまわりには、一番保守的な、自民党の国会対策をしていたような人。それから私を育ててくれた人たちは、例えば前尾茂三郎さんとか、林与一さんとか自民党をつくった人たちです。私は自民党そのものです。その私に日教組にいって抗議しようというんですから、えらい目にあったことがある。彼らも変わろうとしていました。もう少し時間が経てば、健全な労働運動、既得権を返還しようというそういう動きはでてきますよ。

池田:僕みたいな一般の有権者から見ていると、今の小沢さんと90年代の小沢さんが違うと思う。
昔小沢さんは、どちらかというと自民党の右派でしたよね。そんな人が真ん中を飛び越えて左のほうに来ちゃったという印象があって、以前小沢さんにグランドキャニオンの質問をする2、3日前に、竹中さんが「彼は本当はあのときにあれをやりたかったんだけど、小泉さんがやっちゃったから、彼は政治家だから違いをださないといけないということで路線が変わったんじゃないか」という説明だったんです。

平野:実は日本改造計画の勉強会に、竹中さんが来ていて、私たちが自由党の幹部でごく少数で政策勉強会をやっていまして、そのときの参加者でもあった。これは森内閣のころで、ずいぶん議論しました。植草(一秀)さんと一緒に。その勉強会でけんかしたんですが。私は竹中さんに対して、すぐれたところがあると思って、私の質問を作ってくれて、予算委員会でこんな質問をしろと。そういう関係だったんです。しかし小泉竹中新自由主義というのは、本質的にわれわれの小沢さんの経済合理主義と違います。それは小沢さんの考えは、人間を主体に置いていて、90年代から変わらない。小泉竹中は、主語が人間でなくマネー。

池田:まあ、それもどうかと思うけど(笑)。

平野:ですから私は、小泉さんが立候補というから、決算委員会で竹中さんに聞いたんですよ。あなたの市場原理主義というのも分かるが、しかし文明の変化、文明の特質、歴史と場所を正確につかまえて、市場原理を変化させないと、人類は壊滅しますよ、どう思いますかという質問をしました。そうすると、市場原理がすべての正義をつくりますと答弁したんです。

池田:そんな答弁をしたんですか?

平野:記録に残っていますよ。僕はそれから決別しましたよ。だから小泉さんの新自由主義はそっちのほうなんですよ。

池田:ということは、平野さんの考えが小沢さんに近いとするならば、小沢さんの考えも、小泉さんに近いようなアメリカ的合理主義とは少し違っていたということですか。

平野:アメリカ的合理主義というと何もかも硬くなってしまいますが、要するに日本的談合の、みんなで渡れば怖くないというようなああいう思想は合理的な論理と倫理と効率性のある仕組みにしないとだめだという思想ですね。

池田:それは僕も感じました。小沢さんと話した時、印象的だったのは、自民党時代は社会党もみんな地下茎でつながっていた。要するに止めているような芝居をしているだけで、結局なれ合いでやっていた。それから田中角栄的な手法で、自分が後継者だというが、田中や金丸や竹下は、足して2で割る天才だった。総合病院といわれるように、いろんな患者がくる。それをだれもが納得できるように足して2で割る、それが田中の本質だった。私も勉強したが、それではいけないというのが私の政治的原点だった。

平野:小沢さんと私と、意見の違いはそうありません。あの人とつきあうこつは、思考を共有すること。別々の人間になってはいけない。思考を共有すると、すごい論理とひらめきがでてくる。そういうノウハウのない人が嫌われていく。

池田:小沢さんの話がある意味で一貫していると思ったのが、足して2で割る、コンセンサスで既得権を守り、みんなにいい顔をするという、田中さんや金丸さんのころは高度成長期だったからそれでみんなに分け前をあげればよかったんです。日本が傾いてくると、みんなにいい顔をできなくなるという時代の変化がある。

平野:大事なことは、当時は冷戦で、日本に社会主義的政権をつくるわけにはいけない。そのためには、足して2で割ったり、内閣機密費で工作したり、わたしはそんなシナリオばかり書かされていたわけですから。

池田:これはUstreamだからぶっちゃけた話、野党にも金が渡っていたと複数の人が証言している。

平野:私はもう体験者、実行者ですから。

池田:これ言っていいんですか?

平野:これは会議録に出ていますから。だから塩爺がテレビで機密費を扱っていたと言っていましたけど、大蔵大臣になったらなかったという風に言っている。私は決算委員会で、「大蔵大臣、私と一緒に官房機密費を持って行ったじゃないか」といったら、もう頼むから許してくれと。

池田:ははははは(笑)。まさに小沢さんが言ったように地下茎でつながっていて、国会で横になったら300万とか、3日泊まったら500万とか、そういう相場でやっていたわけですよね。

平野:えへへへ。私は社会主義政権を日本につくらせないための行為だと自分に言い聞かせて、私は議長と秘書とか議運とか、先生方のへそから下のお世話をしましたからね。

池田:今日はUstreamだからなんでもありということで。
僕は小沢さんの地下茎でつながっている、という話はなるほどと思ったんです。90年代と今は、政治的、政策的には違うような感じがするけれど、小沢さんの根底にあるのは、今まで通りみんなで仲良く既得権を守って、今まで通りやっていこうという、そういうのではあかんということへの危機感というのは、一貫してあるのかなと。

平野:それでですね、いろんな議論を2人で徹底的にするんですが、小沢は最近社会主義者になったといわれますが、多少平野のせいだといわれるんですよ。私は別に社会主義者じゃないんですけどね。
これは世の中の変遷に対する対応なんですよ。大事なことは、本当に日本の国会議員や学者がこんなにばかとは思わなかったが、20世紀の終わりごろから資本主義が変質した。重化学工業社会から情報社会に変わった。
情報社会の価値観は重化学工業社会と違う。重化学工業社会では、所有要求と存在要求の排他的競争が許された。情報社会では、マネーゲームを含めてそれでやってくれなさいと。おかしくなるのは当たり前なんですよ。そこで新しい価値観として、日本人が古来持っていた共生欲求という価値観をプラスした3つの価値観で制度とか政治の運用をすべきというのが小沢さんの考え方なんです。

池田:それは平野さんの考え方でもある。

平野:そうです。かつての重化学工業資本主義では、機会を平等に与えれば、あとは本人の努力という。社会保障も働く機会、うんと困った人には最小限でという考え方で社会保障制度がなっていた。
情報社会では、情報を整理でき、貴重な情報を早く知るもの。体の神経を外にだしたような社会。そういう社会では、セーフティーネットは可視的でないと、貧しい人がたくさんでると社会不安のもとになる。そこでセーフティーネットをつくるとなると、ある程度の結果平等となる。保障してやらないとだめだと。それを国や地方の責任で整備したうえで、自由で公正な競争をする、それが共生資本主義。これをつくろうというのが、小沢さんの考え。その一端を、この前の代表選挙で述べているわけです。
民主党の代表選挙や3年前の参議院選挙では、そういうことをいうと内ゲバ的になってしまう。理念的なことをいわずに、国民生活が大事という柔らかい言葉にして、子育て支援もある意味で農業の所得補償も、日本型セーフティーネットのひとつの形なんですよ。それを民主党の元左翼の人達は、今ネオコンになっていますから、アメリカの反戦ベトナムのようになっていますから、イデオロギー的な論争になってまとまっていかない。私が早めに引退したのは、こんな連中と政治行動はできないと分かったから。
政権交代して、今回のようないやらしい内ゲバ的なことが1年で起こったからびっくりした。

池田:小沢さん自身の肌合いといいますか、それと新体制の人は合わないという感じですよね。

平野:なんというか、僕に言わせると、彼らは政治を論理と効率性と合理性だけでみている。理屈とデータと行程表があれば政治は動くと思っている。
僕は、政治は子どもをつくって育てるのと同じように、そこには論理性と理性と倫理性とあたたかい感性がいる。生き物なんです。政治をいきものとみるか、物理的現象としてみるかの違い。これは対立のひとつの原点です。
私はある意味土佐自由党の流れですから、そういうオーソドックスな保守主義者からいえば、世の中の変化、情報社会で秩序ができない間に大きな格差ができるのは、僕は社会主義といわれようと、結果平等を保障してやるのが政治の役割だとおもっている。

池田:社会主義とは思いませんが、さっき平野さんもおっしゃったように、自民党にも民主党にも考えの違う人が同居している。それが日本の政治が不安定になっている最大の原因だと思うんです。これは有権者が小沢さんに一番期待していたのは、それを一度ガラガラポンで整理して、同じ人たちで二大政党のような形にならないと、日本の政治は安定しないと。

平野:その通りです。それは政治家の倫理感と理性の問題なんです。というのは、目的や感性を無視している。私は50年近く、政治に関わっていて、現代ほど政治家の感性と理性が劣化したことはないと思う。

池田:国民はうんざりしていますよ。今回もネット上では、小沢さんの人気があった。みんなが小沢さんに期待しているのは、今のわけのわからない状況をガラガラポンでもっとわかりやすくしてほしいと。

平野:それは小沢さん個人にはできないんですよ。各人の理性と倫理性に訴えないと。政権を作っているひとが、内閣には何人かいますが、マスコミを使ったパフォーマンスが得意な人にはそれがないんですよ。
やはり記者クラブメディアに問題があるわけですよ。1億総白痴化に加担しているわけだから。メディア対策をしようという小沢さんに対して、例えば電波料金はNHKは払っているが、安いもの。3兆円の市場で80億。オークションにしようといっているが、新聞とテレビは一緒になっているから文句を言わない。新聞とテレビのクロスオーナーシップを禁止しようとする。新聞社はほとんど赤字ですからね。情報化社会を公平にしようとしている。それは冗談じゃないと。いわゆる談合報道をやっているわけ。
自己改革をできない記者クラブメディア、検察の垂れ流しを報道する、こんなことで世の中の常識が育つわけがない。ネット社会で、ネットにもいろんな種類があるが、私もアナログ人間でネットの勉強をしているが、これは国民のまともな意見だというものがだいぶ出てきた。

池田:ライブドアでやっているブロゴスでも、鈴木宗男さんや片山さつきさんが出ているが、政権への関心が強まっているが、世の中が変わっているのに政治だけぐちゃぐちゃなままで20年がきている。国民が期待しているのは、小沢さんくらいの腕力がないと、これは片付かないんじゃないかと。今後国会が息詰まるという展開があったら、もう一度政界再編がないといまのままでは落ち着かない。もう一度何かあると思っていいんでしょうか。

平野:政界再編があると言い切ったら問題になりますから、そういう言い方はしませんが、いま民主党内で起こっている対立、小沢グループの共生社会をつくろうと、この共生欲求という価値観を政治や社会に入れ、日本型セーフティーネットを整備して公正な競争をやっていこうと、この考え方が民主党全体の考え方になったら、自民党も変わりますから。結局民主党にその考え方が、代表選挙で負けて、そうでない官僚依存、弁護士さんが多いですから、理屈だけで政治が行われる。僕に言わせれば、政治の本質を知らないんです。
私も小沢さんに言われて、菅さんのアドバイス役や、20年前から岡田克也を総理にしたいから鍛えろと言われました。ずいぶん岡田の教育係りをしました。小沢さんにいわせたら、教える人間のできが悪いから育たないといわれますが、2人のことを悪くいうわけではないが、こんなに政治家の出来が悪いとは思わなかった。
民主党の政権交代から1年を見て。これは政治家だけの責任ではない。私は今回の代表選挙で、彼は人格移動したような変化をしたと思う。これは日本が健全な民主主義をつくる最後のチャンス。ある意味で今回の敗北を通じて、政界再編につながっていくというのはありうる。ここしばらくは、意図的な政界再編や小沢さんが出てくることはない。議論の中でどう力関係が変わるということはあると思う。

池田:あとは国会情勢とか、可能性はあるということですね。依然として小沢さんの動向から目が離せないが、ある意味で回りから話を聞いていて、菅さんのような人にはない複雑な魅力のある人、日本の政治を凝縮した人という感じがする。小沢さんが日本の政治のいい面も悪い面も象徴している。
小沢さんが今後どう考えているかにみんなが注目するのも、彼が20年繰り返してきた歴史というのが、今後の出方に非常に大きくかかわっていると思いますから、まだまだやっぱり。

平野:いいことをおっしゃった。そこを深く見つめる必要がある。私は最近こう分析している。人間個人の肉体的DNAも影響があるが、歴史的、文化的なDNAを持っている。
それを分析すると、日本の歴史の中で、こういう時代は何回かあった。平安貴族政治が腐敗したとき、将門の乱がおきた。あれは地方分権運動。それの成果は鎌倉幕府で250年後に成功しますね。これは画期的な日本の改革。
それから戦国時代に入り、徳川家康が平定した。300年続いた徳川幕府は腐敗し、勝海舟や坂本龍馬、西郷隆盛が明治維新を成し遂げた。この3つの歴史を考えた場合、時代を変えようとしたとき何が起きたかと言うと、妙見菩薩という星信仰が背景にある。将門も星信仰。頼朝も家康もそう。天海和尚は天台宗の和尚。天台というのは北極星のことなんですよ。それから、北辰一刀流、勝海舟なんかはですね、妙見信仰なんですよ。
小沢一郎は水沢のお父さんの生まれ、お母さんは柏、利根川の将門の発祥の地なんです。

池田:へえ~。

平野:僕は小沢一郎は笑われるかもしれないけど、そういう歴史的な因縁のDNAの中で苦闘している。そうでないと20年、あれだけ人に嫌われて、私のせいも半分くらいありますけどね。

池田:ははははは(笑)。

平野:そういう天命がね。

池田:不思議な魅力ですよね。

平野:今日はね、昨日か。岡田克也さんが、これが天命ですと言ったそうですが、天命という言葉のは小沢が得意な言葉なんです。
この間もあるテレビで人知を尽くして代表選挙を天命を待つではなく、天命にあそびますと言っていましたけど、意識しているかどうかは分かりませんが龍馬の妙見信仰、家康の妙見信仰、将門の妙見信仰というように、これは不思議に大きな歴史の変化のときにそれが出てくる。今、また出始めている。
私が宣伝させてもらうと、『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』という本を今度小学館から出します。これはそういう面から政治を歴史的に見たほうがいい。

池田:しかし、将門も龍馬も志を遂げないで。

平野:本人はそうですけど、将門の志は千葉常胤という将門の子孫が鎌倉幕府を救うことになる。龍馬は人間平等視をしすぎてああいうことになったが、龍馬の志はまだ到達していないと思いますがね。明治維新は終わっていないと