陸上長距離をしている女子高生 部活のない完全オフの日、適切な食事量はどのくらい?
連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」第27回
栄養・食事の観点からジュニア世代の成長について指南する、「THE ANSWER」の保護者向け連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」。プロ野球・阪神タイガースなどで栄養サポートを行う公認スポーツ栄養士・吉谷佳代氏が講師を務め、わかりやすくアドバイスする。第27回は「THE ANSWER」に読者から届いた質問に答える。
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【質問】私は女子高校生で、陸上長距離をしています。部活もなく、自主練もしない完全オフの日の食事についての質問です。炭水化物を練習がある日と同じくらいの量を食べると、体重増加につながる気がしています。かといって、いつもよりも少ないと、「もう少し食べたいな……」と思ってしまいます。どのくらいの量を食べれば、十分ですか?
陸上長距離選手、特に女子選手なので、恐らく体重の変動、特に増えることを気にされているかと思います。
炭水化物の適量を考える際、3つの大事なポイントがあります。
1つ目は、量。糖質の適量は運動量によるガイドラインがあります。
体重1kgあたり、軽い運動(低強度の運動や技術練習)の日は3〜5g必要です。適度な運動量(1時間程度)の日は5〜7g。運動量が多い日(1〜3時間程度)は6〜10g。とても多い日(4〜5時間以上)で8〜12gです。
恐らく、高校の陸上部ですと「多い」に該当するかと思います。とはいえ、体重1kg あたり、6gなのか10gなのかでは、全然、摂る量が違いますよね。
例えば体重1kgあたり10gで考えると、体重50kgの人で1日500gの糖質を摂ることになります。ご飯で計算すると、大人用の茶碗1杯(約150g)に含まれる糖質は約55g。つまり、1日500gだとしても、茶碗10杯のご飯を食べなければいけません。これはすごく高いハードルだと思います。
現実的には、かなり体を動かす競技の選手でも、真ん中ぐらい、7〜8gの糖質量がちょうどよい量だと思います。
そしてオフの日ですが、一番低い運動レベル、つまり体重1kgにつき3〜5gの糖質を摂るといいでしょう。こちらも、真ん中の4gで換算すると、体重50kgの選手であれば、練習日は糖質350g(7g/体重1kgで換算)で、オフの日は200g。オフの日の糖質量は練習日よりも3割程度減らす、と考えるとよいでしょう。
「食事の内容」「血糖値を上げない食べ方」も大切なポイント
2つ目のポイントは、食事の内容です。
オフは、体の疲労や炎症を取り除いてあげる日、という意味があります。
練習や試合のある日は運動強度が高いので、動いた分、たくさんのカロリーを摂らなくてはいけません。たくさん食べれば、胃腸もフル稼働。当然、内臓も疲労が溜まってきます。ですから、翌日からまた頑張れるよう、休日は内臓をしっかり休ませて、回復させます。
「今日はオフだから好きなものを何でも食べよう!」と、消化に時間がかかる脂質の多いケーキや食べ物を食べると、内臓に負担がかかり、疲労が抜けません。なるべく低脂肪・低脂質で消化のよいものを食べましょう。
そして3つ目のポイントは、血糖値を上げない食べ方です。糖質を摂る量を減らすと空腹感がわくとのことですが、その原因は、血糖値(血液中の糖の量の値)が急激に上がったり下がったりするためです。ですから、血糖値が上昇しにくい食品を選んで食べるよう、心掛けることが大切です。
血糖値が上昇しやすいか、しにくいかは「GI値」という数値で判断できます。是非、「低GI値の食品」を調べてみてください。例えば、白米をGI値の低い玄米に変える、間食は砂糖や油をたっぷり使ったお菓子や甘いパンではなく、ヨーグルトや雑穀米や玄米のおにぎり、少量のナッツに。すると、同じ糖質量をとっても空腹感も感じにくくなります。
2つ目のポイントも合わせて考えると、食物繊維の豊富な野菜がしっかり入った、脂質の少ない和食を中心にするとよいですよ。
また、食べる順番も重要です。血糖値の上昇を緩やかにするサラダや野菜を使った副菜などを先に食べると、食事による血糖値の上昇を抑えられます。ぜひ食べ順も気にしてみてくださいね。
吉谷 佳代
管理栄養士/公認スポーツ栄養士。江崎グリコ株式会社で健康食品開発や、スポーツサプリメントの研究開発に従事。その傍ら、多くのアスリート、学生スポーツ、ジュニアへの栄養指導、食育イベントに携わる。2013年に独立。以降、ジュニアからトップアスリートまで幅広い競技の選手に対し、栄養サポートを行う。現在、プロ野球・阪神タイガース、実業団女子バレーボール・JTマーヴェラスのチーム専属栄養士。過去には、シスメックス女子陸上競技部(2015〜2020年)、Bリーグ・西宮ストークス(2014〜2017年)、自転車ナショナルチーム(2013〜2018年)をはじめ多くのプロ選手やジュニア選手の栄養サポート実績を持つ。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)
長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、以上サンマーク出版)、『走りがグンと軽くなる 金哲彦のランニング・メソッド完全版』(金哲彦著、高橋書店)など。
