「強いレッズに戻さないといけない」平川忠亮が引退試合で感じた、今の浦和が学ぶべきもの
浦和駒場スタジアムでの引退試合を終えた平川忠亮は、幸せに包まれた空間と個性を爆発させた仲間たちとの時間を思い返し、そう話した。筑波大学から2002年に浦和レッズへ加入し、移籍することなく一筋で17年間プレーしてJ1通算336試合に出場。18年の引退後は、翌19年からコーチを務める。このたび、2年越しでの引退試合が7月22日に行われた。
それでも試合後のセレモニーで話した「この引退試合を開催するべきかどうか非常に悩みました。そしてスタッフと議論を重ね、チャレンジしようと決めました。辛さや苦しさの中に、その先にある栄光や輝きを、このチームに僕は教えてもらいました」という思いが、現地では上限5000人としながら、オンラインでの配信コンテンツを充実させていくという運営につながった。
果たして、駒場での1日は本当に温かいものだった。前半のピッチは、全体的にミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代(12〜17年)の選手が多く、ショートパスをつなぎながらサイドを大きく使う当時の面影があった。中盤では清水商業高からの親友でもある小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)や、家族ぐるみの付き合いでもある柏木陽介(FC岐阜)が卓越したテクニックを見せつつ、引退試合となった平川をサイドで走らせた。
一方で、後半は全体的に06年、07年の質実剛健なサッカーでタイトルを取ったメンバーが中心になり、対戦相手もジュニアユースを中心としたアカデミーの面々。それでも鈴木啓太や酒井友之が通ったらピンチになりそうな縦パスをカットして、速い攻撃につなげるという一面も垣間見せた。その中で、主役は前半にPKと左足シュート、後半にもPKを決めてハットトリックを達成していった。
しかしながら、この引退試合ではピッチの内外で「いかにしてサポーターを楽しませるか」という想いと個性を選手たちが爆発させていた。例えば、現在は京都サンガFCでシーズン中の森脇良太は前半ラスト5分間のみの出場だったが、試合開始直後からベンチで大声を出し続け、いつの間にかテクニカルエリアで監督のように指示を出した。手を叩きながら「問題ない! 問題ない!」と大声を発せば、ピッチ内から坪井慶介に「お前だ! 問題があるのは!」とツッコミが入ってスタジアムは思わず笑いに包まれた。
声援としてのまとまった声を出すことが許されないスタジアムだからこそ、このやり取りと反応がいつもより微笑ましかった。そして、CKの判定に森脇がベンチで手を広げながら抗議したところで、主審の福岡靖人さんが猛ダッシュで駆け寄ってイエローカードを提示。暑さの中で現役を引退した選手が長時間プレーするのは非常に大変だが、こうやってちょっとした笑いどころがあることでダレることなく時間は進んだ。
前半の対戦相手を務めた現役トップチームの面々も、所々でうまく相手チームを立てつつも、浦和の将来を担うと希望を集めるMF武田英寿が難易度も芸術性も高い左足のスーパーゴールを決めれば、柏レイソルから移籍加入してから初めてサポーターの前でプレーした江坂任も“浦和初ゴール”を決め、これ以上ない45分間を演じた。
