ついに、あの男が帰ってきた! 新庄剛志、48歳。阪神、MLB、日本ハムでプレーし、記憶にも記録にも残る新庄が、12月7日に神宮球場でおこなわれたトライアウトに出場。「朝起きて2秒で『よしっ、プロ野球選手になる』」発言から約1年。15年ぶりの、現役復帰の可能性はあるのかーー。

 かつて同じユニホームを着て戦った、岩本勉氏(49)に聞いた。

「球場に入ってきた第1歩めから、顔が緊張してるのが見てわかりました。

 プロ野球選手を目指すに際して、じつは2020年の2月にあるチームを訪問して、『テストしてくれ』と頼み込む “ゲリラ作戦” をやろうと考えていたみたいです。でも、『14年のブランクは隠せない。走る、投げる、打つ、すべてにおいて鈍っている』と感じて、断念したと。

 そこで2〜3カ月のトレーニングではプロのレベルに追いつけないことを認めて、1年間、体を作り続けてきたんですよ。彼は『トライアウトを受けたのは冷やかしじゃないんだ』ということを、プレイでいちばん見せたかったはずです」

 その結果、4打席に立ち、3打数1安打1打点1四球。第4打席には、ジュリアス(元ヤクルト)のチェンジアップを捉え、レフト前にタイムリーを放った。岩本氏が続ける。

「NPBに復帰できるかどうかは、あのタイムリーヒットが答えです。4打席めは、ランナーが2人いましたよね。より実戦的な場面で、打順が回って来たということ。彼に求められるのは、クラッチヒッター(チャンスに強い打者)であることだと思うんです。

 追い込まれてからの顔つきの変わりようも、普通じゃなかったですね。二塁走者だった吉川大幾(元巨人)が『あっ、打つ!』と思ったというんです。真っすぐを狙っていたところに来たチェンジアップも、新庄は『全部反応で打った。自分は本塁打よりもタイムリーを打つ練習をしてきた』とも言ってました」

 ただ、なんといっても新庄は48歳。仮に復帰できても、岩本氏なら、どういった起用をするのか?

「全試合フル出場は無理としても、ここ一番、代打の神様といわれる選手はいますよね。それで数年、飯を食った選手もいるじゃないですか。十分に、いやそれ以上の活躍はできると思います。

 それと私なら、彼をスペシャルアドバイザー兼任にします。コーチや監督の目を気にせずに、若い選手にどんどんアドバイスできる大義名分を与えてやったら、チームは強くなりますよ」

 さらに新庄を入団させることによって、多大な経済効果がもたらされる、と続ける。

「ビジネスでいうと、注目度、グッズ販売、集客……メリットだらけです。僕に人事権があるなら、必ず獲得しますね。給料のほとんどは出来高払いにします。

 ざっとでしかいえませんが、シーズンが6カ月あるとして、月1000万円で年俸は6000万円。それで出来高も達成したら、総額2億4000万円ほどになる契約にしますね。

 これだけ彼が活躍してくれると、チームも必ず優勝争いをするはずです。つまり、プラスの経済効果でいうと、何十億円にもなる見込みがあるということですよね」

 では、どの球団が新庄を獲得すべきなのか。「これはデリケートな問題で、なかなか言えないんです」と前置きをしたうえで、パ・リーグの2球団の名前を挙げてくれた。

「オリックスの場合、福良淳一GMと中嶋聡監督は、日本ハム時代に新庄と同じユニホームを着ているんですよ。中嶋監督は一緒にプレーしているし、福良GMは指導者としていました。

 オリックスは、あれだけ選手のキャラクターが豊かなのに、チームの成績がともなってこない。そういったことも踏まえて、僕はオリックスには『獲りどきとちゃいますか?』と言いたいですね。

 そして、僕がいた日本ハム。2023年開業予定の新球場に向けた起爆剤として、新庄はアリだと思ってるんですよ。吉村浩GMは獲得に否定的でしたが、『トライアウトを見て、考えは変わってないですか?』と聞きたいくらいです」

 そして、最後に新庄の思いをこう代弁する。

「彼の男らしいところは、夢を追いかけるチャレンジャーであるところなんですが、もうひとつ、現実を否定せずに認めることができる男なんです。

 彼は現役復帰できたとしても、自分が思い描いているパフォーマンスが発揮できなければ、『身のほどを知りました』と言って、自ら身を引くでしょう」

 数々の伝説を残してきた新庄。ファンは、新たな伝説の始まりを待ち望んでいる。