ベテランの奮闘と、循環のバランス。誰も話題にしない日本サッカーの課題
野球と違いサッカーは、個人成績が得点ランキングぐらいしかないので、衰えが明確な数字となって現れにくい。プロ野球ならば数字を見れば、これは難しそうだとか、まだ行けるとか、一目瞭然になるが、サッカーにはそれがない。
一方、移籍の選択肢は、プロ野球が12球団しかないのに対し、Jリーグはウン十チームもある。自分の現状に適した居場所を探し求めやすい環境がある。昇りの階段だけでなく、下りの階段もちゃんと用意されている。
Jリーグにおいて遠藤と双璧の関係にある中村憲剛(10月31日で40歳)も、心配と言えば心配だ。大怪我からの復帰は喜ばしい話になるが、その間、チーム(川崎フロンターレ)は、怪我をする以前より格段にレベルアップした。選手間の競争も激しくなっている。彼はこれから出場時間をどこまで伸ばせるだろうか。ほぼ常時スタメンを飾っていた、怪我をする前のようにはいかないだろう。半分出場できれば御の字ではないか。だとすれば、他のチームへ移籍する、つまり下りの階段を降りる選択もアリになる。
ミスター・川崎フロンターレのままで、徐々に出場機会を減らしていく姿はあまり見たくない。それより、イニエスタではないが、新天地でそのレベルアップに尽力する姿の方が、はるかにサッカー的であり今日的。華のあるサッカー人生に見える。
元ミスター・マリノス中村俊輔(42歳)は、磐田を経てJ2の横浜FCに移籍。そして今季、チームとともにJ1の舞台にカムバックした。だが、これまでスタメン3試合、交代出場5試合に止まっている。昨季より出場時間をやや減らしている。出場時間にこだわるなら、移籍のタイミングを迎えているのかもしれない。
究極の存在はカズこと三浦知良だ。J1出場最年長記録を更新する姿より、こちらが見たいのは、もっと長い時間プレーする姿だ。適性がJ2の上位にあるのか、下位にあるのか、はたまたJ3なのか、定かではないが、J1のレベルにないことは確かだ。
毎年、記録を更新して話題を振りまくことと、コンスタントに試合のピッチに立つことと、どちらがサッカーの普及発展に繋がるか。
だが、くり返すが、そうした話をする人はほとんどいない。
ベテラン選手の奮闘は讃えるべきだが、新陳代謝が義務づけられているサッカー界は、そのバランスにも注意を払わないと、循環を滞らせることになる。その流れを正し、この世界の手本となることも代表監督に課せられた使命だと思う。日本サッカー界は、少々循環が乱れているような気がしてならないのだ。
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スポーツライター杉山茂樹氏の本音コラム。