スマホの写真をプリントするだけでなく、プリンターの内蔵カメラで撮影も楽しめる「カメラ付き小型フォトプリンター」が人気を集めています。前編の「カメラにもなる! 小型フォトプリンター3製品まとめてレビュー」では、現在販売されているキヤノンの「iNSPiC ZV-123」、富士フイルムの「instax mini LiPlay」、ケンコー・トキナーの「コダック インスタントカメラプリンターC210」の3機種について、それぞれの特徴を紹介しました。

カメラとバッテリーを搭載した小型フォトプリンター3機種。右下がキヤノンの「iNSPiC ZV-123」、左下が富士フイルムの「instax mini LiPlay」、上段がケンコー・トキナーの「コダック インスタントカメラプリンターC210」


今回の後編では、内蔵カメラで実際に写真を撮影しつつ、撮影した写真やスマホに撮りためた画像をプリントして比較してみたいと思います。

○iPhoneで撮影した画像をプリント

まず、iPhone XSで撮影したランチの画像をプリントしてみました。左からiNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210です。アプリからの印刷なので、アプリで加工ができるiNSPiC ZV-123とC210ではスタンプを施してみました。少し暗いカフェだったので全体的に黄色っぽくなっていますが、iNSPiC ZV-123は実際よりも鮮やかに、instax mini LiPlayは実際の色味に近くプリントされました。

スマホの写真をプリント。左から、iNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210


○フォトプリンターで撮影した画像をプリント〜カフェ編

次に、それぞれのプリンターの内蔵カメラで撮影したランチの画像をプリントしました。左からiNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210です。フラッシュをオートにしていたのですが、instax mini LiPlayはフラッシュが光ったのでくっきりと撮影できました。それぞれ、スマホからのプリントよりも好ましくプリントできたように感じます。

本体のカメラで撮影してプリント。左から、iNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210


○フォトプリンターで撮影した画像をプリント〜猫編

今度は、室内にいる猫をプリンターの内蔵カメラで撮影してプリントしました。左からiNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210です。instax mini LiPlayはフラッシュが光ったので、猫の目がキラリと光っています。猫が動き回るので厳密に比較しづらいのですが、毛の発色で色味が分かるかと思います。今回、リアルに近かったのはiNSPiC ZV-123でした。

カメラで撮影した猫をプリント。左から、iNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210


○フォトプリンターで撮影した画像をプリント〜屋外編

次に、屋外に咲いていた花をプリンターの内蔵カメラで撮影してプリントしました。左からiNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210です。曇天でしたが、特に色が沈むことなく撮影できました。写真では伝わりにくいのですが、C210の花の色はピンクも黄色も美しく発色しました。instax mini LiPlayも少し白っぽいですが、全体のバランスはいいですね。

カメラで撮影した花をプリント。左からiNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210


○フォトプリンターで撮影した画像をプリント〜自撮り編

最後に、内蔵カメラで自撮りしてプリントしました。左からiNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210です。iNSPiC ZV-123はミラーが大きいので、自分がどんな表情をしているか、確認しながら撮れました。instax mini LiPlayとC210は小さなミラーが付いているので、自分の位置は大まかに確認できます。すべてフラッシュをオンにして撮影しましたが、C210はフラッシュが強いのか白飛びしてしまいました。印刷結果を見ると、肌の色はinstax mini LiPlayがもっとも自然ですね。

カメラで撮影した自撮りをプリント。左からiNSPiC ZV-123、instax mini LiPlay、C210


○個性豊かな3機種、目的によって選ぼう

今回、カメラ付きフォトプリンター3機種を比較してみましたが、それぞれ個性豊かで優劣がつけられない面もあります。それもあり、使う人の好みや目的別に選ぶのがベターだと思いました。

キヤノンのiNSPiC ZV-123の魅力は、自撮りに向くミラーの搭載と薄型軽量なことがポイント。いつも持ち歩いて友だちとセルフィーをしたいなら、この機種がよいでしょう。撮影したらすぐプリントが始まることから考えて、「とにかく撮ったらすぐプリントしたい!」と考える人向けの機種といえます。本体にmicroSDカードを挿入して画像を保存できますが、その画像を本体から呼び出して印刷するメニューを見つけられなかったのは気になりました。

大きな自撮り用ミラーが特徴のiNSPiC ZV-123。実売価格は税込み1万8800円前後(+ポイント10%)。専用用紙は20枚入りで税込み930円前後(+ポイント10%)


富士フイルムのinstax mini LiPlayは、背面に液晶パネルや操作ボタンを内蔵しており、スマホがなくても楽しめるように作られています。チェキのフィルムは、フレームに絵柄が描かれたりキラキラとした処理が施されているものがあり、そのフィルムを使えばプリントが楽しく華やかになるでしょう。普通のチェキのように、カメラで撮影した写真をすぐにプリントするのもよいですが、本体の画面やスマホアプリで撮りためた写真の中からプリントしたい写真を選べるので、失敗せずにプリントできます。

背面に大型液晶と操作ボタンを搭載するinstax mini LiPlay。実売価格は税込み1万9000円前後(+ポイント10%)。専用フィルムは20枚入りで税込み1400円前後(+ポイント10%)


C210は、熱転写方式のためにプリントの発色がよく、さらにオーバーコートにより長期保存できるため、品質を重視する人に向いています。iNSPiC ZV-123と同様にシール紙にも印刷できるので、友人へのプレゼントにフォトボードを作るときに利用すれば、長く飾っていても色あせの心配が少ないので喜ばれそうです。今回は、どれぐらい保存できるのかまでは検証できませんでしたが、水に濡れても大丈夫なのは心強いですね。

熱転写方式でプリントの品質が高いコダック インスタントカメラプリンターC210。実売価格は税込み1万4500円前後(+ポイント10%)。専用用紙は20枚入りで税込み1500円前後(+ポイント10%)


本体の価格は、1万4000円台〜1万9000円台とやや幅があります。それ以上に価格差が大きいのが用紙(フィルム)で、iNSPiC ZV-123が一番安く、それ以外はかなり高いのは覚えておきたいところ。instax mini LiPlayとC210はプリント前に確認できるので、失敗写真はプリントしないようにしましょう。

3機種を並べて比較して、私が買うならどれを選ぶだろう……と考えてみました。私はスマホを常に使っているからこそ、カメラとしても楽しめるinstax mini LiPlayに魅力を感じました。高校生の娘は、透明なスマホケースに写真を入れて常に持ち歩きたいので、用紙が薄いiNSPiC ZV-123やC210を気に入ったようです。

スマホで撮影したデータを簡単に共有し合える時代ですが、小さな写真に思い出を込めて贈りあえるカメラ付きフォトプリンターも、また違った楽しみがあります。