DJI「Mavic Mini」のここが凄い! ムービージェニックはドローンで撮影する時代が来る

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過去に度々ニュースで取り上げられていたが、ドローンは事故や危険な飛行の発生で、法律で厳しく規制されることとなった。
今では、気軽に飛ばすことができない。かつては気軽だったドローンでの空撮も、法による規制によってアマチュアが手を出しにくい、そんな状況だ。

というのも、改正航空法により重さ200g以上の無人航空機(ドローン・ラジコン機等)向けの飛行禁止エリアや、飛行に関する厳しい条件も設けられている。
例えば、市街地などで撮影する場合は、事前申請で国土交通大臣の許可を得る必要がある。

今や、家電量販店で誰でも購入できるドローンだが、買ってすぐにテスト飛行で家の周りを撮影する・・・それすらできないのである。

この改正航空法の一部規制対象外となるのが、重さ200g未満のドローンなどだ。
玩具用ドローンやラジコン機などがそれにあたる。一部規制対象外とは港や国の重要施設など飛行禁止区域はあるのだが、市街地での飛行を可能としている。もちろん飛行ルールとマナーを守って、安全に飛行させることが大前提である。


200g未満のドローンでも飛行に関して規制がある


こうした状況の中、DJI JAPANは、比較的自由に飛行させることができる重さ199gのコンパクトなドローン「Mavic Mini」を発売した。




コンセプトは「Everyday Flycam=初めての空飛ぶカメラ」としており、ドローンを購入するというガジェット的な要素より、スマートフォンで撮影するように気軽に楽しんで欲しいということを前面に押し出した製品となる。

199g以下の手のひらに乗るようなコンパクトなドローンには、これまで動画撮影が可能な製品があったものの、低価格のトイドローンにカメラを組み合わせた製品が多かったことから、画質は二の次といった製品もあった。

トイドローンは軽い機体ゆえに安定飛行させるためには、それなりのテクニックが必要である。
例えば、その場に止まってホバリングする場合も、
軽量なドローンは、室内のエアコンの風の影響でも流されてしまうということも、起こってしまうからだ。その風に対して微調整を加えながら姿勢を安定させるのは、思ったよりも難しいのである。

こうしたあくまで遊びで使うドローンに対して、規制対象となるドローンにはどのような違いがあったのか、それは
・長時間飛行させるための大容量のバッテリー
・安定飛行するためのセンサー
・姿勢制御など向けのハードやソフトなど高度なテクノロジー
これらを搭載している。
また、カメラにも、FHDや4K映像を高画質で記録するためのイメージセンサーと、光学レンズにも高いクオリティーのパーツを搭載している。
ドローンは飛行姿勢の変化や風の影響で水平を保つことが難しく、そのたびにカメラの向きが変わってしまうことがある。そこで、安定した映像を撮影可能にする常にカメラが水平を保ち続けるためのジンバル機構も内蔵している。
さらに大型のドローンでは、ミラーレスカメラや映画撮影用のカメラを搭載できるものもある。

このようにトイドローンと本格的なドローンには大きな差あり、重くなればそれだけ多機能で高性能になる。
また一見すると大きなドローンの方が操縦は難しそうに思えるが、
・各種センサーと高度なモーターコントロールによる安定した姿勢制御
・地図上の指定地点まで自動飛行するオートパイロット機能
このような高度な機能を搭載しているため、実はトイドローンより操作は簡単なのだ。

低価格と言うこともあり、高度な姿勢制御を搭載していないトイドローンは、特に屋外での飛行において風の影響を強く受けるため、ゆっくりと真っ直ぐ飛びながら撮影することすら、非常に難しかったのである。




こうした問題解決に挑むべくMavic Miniは、大型ドローンの特徴となる「姿勢制御」、「操縦が簡単」、「特化した撮影機能」を、規制対象外となる199gのコンパクトな本体に落とし込んだドローンなのである。

Mavic Miniの本体は、アームを折りたたんで専用ケースにいれれば、鞄でも持ち歩けるサイズだ。そして重さは199gと、一部のスマートフォンよりも軽い。

バッテリーは日本向けのMavic Miniだけ容量が小さいものとなっている。
これは199gを実現するための特別な日本仕様である。
グローバル版では約倍のバッテリーが付属し、バッテリー搭載時の重さが約245gである。
グローバル版のままでは、日本において規制対象となる小型ドローンでしかなくなるため、苦肉の策でバッテリー容量をへらして200g未満を実現した。

Mavic Miniは、バッテリー容量が小さくなったとは言え、最大18分の飛行が可能だ。
流石に18分フルに飛ばすことは紛失などの危険を伴うこともあるので、バッテリー残量が少なくなると自動的に戻ってくるインテリジェントな機能も搭載されている。これなら、バッテリー切れで突然墜落してしまうと言うことがない。

Mavic Miniの飛行は自分の位置を把握するための各種センサー類によって、安定したホバリング(空中で停止)や、撮影しながらのゆっくりとした飛行も難なくこなす。




カメラはFHDよりも大きい最大2.7Kまでの解像度で撮影可能で、放送などで使用されるFHDより広い部分を撮影しておいて、編集時にズームしたように切りだすという使い方ができる。

DJIのドローン上位モデル同様にカメラには常に水平を保つジンバルが搭載されており、飛行時の回転揺れや姿勢の変化を吸収して滑らかな映像が撮影可能だ。トイドローンではカメラが正面固定であるため、飛行時に揺れがあると画面が回転したり、傾いたりして映像的に見劣りするものが多かったが、Mavic Miniは映像表現においては別次元と言って良い。




専用のコントローラーは、操縦だけはなくカメラの上下の向き変更や静止画撮影ボタン、動画撮影ボタンなども搭載している。スマートフォンを接続して、Mavic Miniのカメラ映像を確認しながら撮影や操縦も可能だ。

Mavic Miniの使用用として、アウトドアの様々なアクティビティやスポーツの撮影や、友だち同士で集まった際にスマートフォンでは撮影できないようなアングルからの動画撮影、大人数でのグループショットなどが気軽に撮影できるところがMavic Miniの最大セールスポイントとなる。




また、本格的なドローン撮影テクニックを簡単に再現できるクイックショット モード(ドローニー/サークル/ヘリックス/ロケット)の4つのプリセットを搭載する。

例えばドローニーは、自分を中心にしながら徐々に遠ざかっていく映像を撮影することができる。サークルは自分を中心にしながらMavic Miniが回転するというもので、ミュージックビデオのダンスシーンなどで見かける映像になる。

こうした趣味や娯楽用途として利用できるほかに、台風などの災害のあとに自分の家の屋根の被害状況をドローンで確認をするという使い方も考えられる。




1万円台のトイドローンに対して、Mavic Miniは最小構成でも46,200円と高額だが、もはや別格のドローンなので比較すること自体が無意味だ。

4万円台で購入できる軽量ドローンのスタンダードモデルが日本に登場した。
そう考えるべきだろう。

Mavic Miniの登場により、日本でも、今後は、
扱いやすくて安全で、そして実用的な200gを切るドローンが新しい市場を生むのではないだろうか。

そのためには、まずは小型ドローンを使った様々な事例や安全性などを広めていく必要がある。

この取り組みにはメーカーのプロモーションだけではなく、利用者がマナーを守って楽しむことも、その輪を広げるための重要な要素だ。

Mavic Miniの登場により、
SNSや動画投稿サイトが、これまで見たこともないような映像で溢れる未来を楽しみにしたい。


執筆  mi2_303