「量子アニーリングマシンでアプリ開発」の先駆者になったリクルートの狙い
パイキューボはDウエーブの公式開発ツールにも入っているが、論理イジングモデルはハードウエアに依存せず、他のどのイジングマシンでも使える。
同社の強みは「実ビジネスにより近いところで検証できること」(棚橋氏)。実証実験ではDウエーブのマシンを使って、グループ会社が運営する旅行サイト「じゃらんnet」で提供するウェブ情報のレコメンデーション(推奨)の最適化に挑んだ。
じゃらんnetでは、サイトの上位に表示された人気度の高い宿泊施設がクリックされやすい。だが「従来手法では似た宿泊施設が固まりやすく、レコメンデーションに多様性をどう入れ込むかが課題だった」(同)。
そこで「人気度と多様性を両立させつつ、成約率を高めて全体の売上高を上げる」ことを「組合せ最適化問題」として設定。大規模な問題を解くための分割手法も開発し、全結合で64ビット対応の環境で8―24個(宿)のアイテムの並べ替えを最適化し、いずれも「いい結果を得た」(同)という。
インタビュー/リクルートコミュニケーションズICTソリューション局・棚橋耕太郎リードエンジニア 解けない問題解ける
―パイキューボをなぜオープンソース化したのですか。
「コードを公開すること自体は当社のビジネスではない。オープンソース化により、開発者のコミュニティーを活性化させ、世の中の利便性を上げるのが目的だ。イジングモデルで解ける組合せ最適化問題は世の中にたくさんあり、パイキューボの利用は海外にも広がっている」
―じゃらんnetでの実証実験の成果を踏まえ、次の展開は。
「多様性を加味したレコメンデーションで、よい成果が得られることが分かった。一覧で表示するサービスならば他にも使える。だが、システムの定常運用に向けた可用性の課題などもあり、次にどうするかは決まっていない。横展開よりもデジタルマーケティングなどでも試したい」
