ゆっくりがいいね!まちノリ☆ラボが考える「ランドカー」の街づくり活用方法とは?
スローモビリティが切り開くラストマイル
「開放的で風が気持ちいいね」「低床だから乗り降りしやすい」「エンジンの音がしないから周りの会話が聞こえるね」…。2019年4月に東京都内で開催されたまちノリ☆ラボのキックオフミーティングでは、ランドカーの試乗会も行われ、乗り込んだ人たちの笑顔が弾けた。
少子高齢化や人手不足、交通事故などの社会問題を抱える日本の今後の街づくりと、低速のスローモビリティは相性が良さそうだ。日高祥博ヤマハ発動機社長は「スローモビリティが切り開くラストマイルソリューション」を掲げ、新しい価値の提供に意欲を示す。さらに、同社が興味を持ったのはINSPIREのユニークな発想とスピード感だ。
何らかの課題を発見し、課題を解決するアイデアを出す。ビジネスではこうした問題解決型がほとんどを占める。一方、INSPIREの手法は「イノベーター型」、あるいは「価値創造型」と呼ばれ、強いコンセプト、面白いアイデアが起点になる。「ブレークしている企業はどこもイノベーションもしくは価値創造からスタートしている」と、谷中代表は自信をみせる。
まちノリ☆ラボのキックオフに先立ち、1月に島根県雲南市で、ランドカーの利活用や事業創出のためのアイデアソン(アイデアソンはアイデアとマラソンを組み合わせた造語)が始まった。その後、ヤマハ発動機は4月に雲南市、竹中工務店、NPO法人ETIC.(エティック)との連携協定を結び、同市の交通課題解決や事業創生など、地域に根づく問題に市民とともに取り組むことを決めている。
突き抜けたアイデア、スピード実装
名付けて「ベジレスキュー」。雲南市で初めて具体化されたアイデアは、ランドカーで地域の余った野菜を回収し、地域の直売所で販売する試み。ドライバーは地域の防災も兼務する。野菜も地域の安全もレスキューするから「ベジレスキュー」だ。このアイデアはわずか数時間でビジュアル化され、翌日に実行された。突き抜けたアイデアを実装するまでのこの極端な速さこそが、“超絶”たる所以だ。
アイデアソンに先立って行われたまちづくりのアイデア募集では、ベジレスキューのほか、町のナンバーワンドライバーを決める”総選挙”や、ランドカーでの嫁入り行列など、ユニークなアイデアが次々と寄せられた。
このフットワークの軽さが同プロジェクトの強みだ。まずアイデアを出し、後付けで地域の社会的課題をひもつける。強いコンセプトを持ったまま、社会的課題を解決するロジックを構築し、マーケティング、ビジネスへとつなげる。INSPIREは全国のイノベーターの集合知として、多くのビジネスデザイン構築のノウハウがある。「事業者がどう稼ぐか、最初から分かってスタートするので、成功の確度は極めて高い。不敗の奥義だ」と谷中代表。
