一躍注目を浴びる存在となったオベルラン。リーグ戦ではここまで7試合で2ゴールを挙げている。(C)REUTERS/AFLO

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 いまチャンピオンズ・リーグ(CL)の舞台で大きな注目を浴びているストライカーがいる。バーゼルに所属する20歳のスイスU-21代表FW、ディミトリ・オベルランだ。
 
 9月27日に開催されたグループステージ第2節のベンフィカ戦、度肝を抜くゴールが生まれたのは20分だった。敵のCKを自らヘディングで大きくクリアすると、そのボールを拾ったレナト・シュテフェンが右サイドでドリブルを仕掛けている間に、敵陣へ猛然とダッシュ。驚異的なスピードで約80メートルを駆け上がり、シュテフェンのスルーパスを受けて見事にネットを揺らしたのだ。
 
 この追加点の18分前、バーゼルの先制点をアシストしたのも、このスイスU-21代表FWだった。力強いドリブルから絶妙のタイミングでスルーパスを出すと、これに反応したシュテフェンが、飛び出してきた敵GKジュリオ・セーザルと交錯。そのこぼれ球を直接打つと思いきや、右サイドからフリーで走り込んできたミヒャル・ランクに落ち着いてパスを出し、先制ゴールを呼び込んだ。
 
「オベルラン劇場」はまだ終わらない。60分には、左サイドから力強いドリブルでエリア内に侵入し、ファウルを誘ってPKを獲得。3点目をお膳立てした。
 
 極めつけはその9分後だ。鋭い読みで相手のバックパスを掻っさらうと、名手J・セーザルの股を抜いてダメ押しの4点目をゲット。4点に絡む圧巻のパフォーマンスで、最終的に5-0の大勝を飾ったチームの牽引車となった。
 
 くしくも、この日は20歳の誕生日。これ以上ない形で自ら花を添えてみせた。
 
 チューリヒの下部組織で育ったオベルランがデビューを飾ったのは16歳の時。トップチームではほとんど出番がなかったものの、その才能を高く評価したレッドブル・ザルツブルクに引き抜かれた。
 
 現在、RBライプツィヒで活躍するナビ・ケイタやダヨ・ウパメカノを育て上げるなど、若手の発掘と育成に定評があるオーストリアの強豪は、このスイスの新鋭を武者修行に出す方針をとる。
 
 昨シーズンは同じオーストリアのラインドルフ・アルタッハに貸し出され、25試合で10ゴールを挙げて4位躍進に貢献。そして今夏に、今度はバーゼルへレンタルされた。
 ベンフィカ戦の衝撃的な活躍により、早くもレアル・マドリーがその動向を注視しているという。いきなり欧州王者のユニホームを着るのは、さすがに現実的ではないかもしれないが、来夏に強豪クラブへステップアップしても不思議はない。
 
 とりわけ、ケイタやウパメカノのようにレッドブル・ザルツブルクとのパイプが強いRBライプツィヒへの移籍は十分に考えられる。
 
 ロシア・ワールドカップへの出場も夢ではないだろう。これまでスイスの各年代の代表に名を連ね、現在はU-21代表に選出されている。ベンフィカ戦を視察に訪れていたスイス代表のウラジミール・ペトコビッチ監督の目にも、そのスピードと躍動感は強い印象を残したはずだ。
 
 FWの層が厚くないだけに、切り札として招集される(少なくとも親善試合で試す)可能性は十分にある。もちろん、スイスが北アイルランドとのプレーオフに勝ったうえでの話になるが……。
 
 CL3節のCSKAモスクワ戦でも、途中出場から1ゴールを奪ったオベルラン。その前に2度の決定機をフイにするなどまだ粗さは残るものの、そのポテンシャルに疑いの余地はない。
 
 これからどんな成長曲線を描いていくのか――。楽しみは尽きない。
 
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部