「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「贈る」、「贈答」「贈呈」の「贈」。お歳暮、そしてクリスマス。贈りものをかわしあう年の暮れです。



「贈」という字はお金や宝物を意味する部首「貝」という字に、祖父・祖母の親を意味する「曽祖父」「曾祖母」の「曽(曾)」と書きます。

この「曽」は象形文字で、米などを蒸すための土器、甑(こしき)の形を描いているといわれます。

甑とは釜の上に食材を入れた蒸し器を重ねる二重構造の器のこと。

また、旧字体を見ると上部に漢数字の「八」が添えられていますが、これは、湯気がたちのぼる形を表しています。

そこから「贈」という字は、宝を相手に重ねて余分に「おくる」という意味をもつようになったのです。

一年をしめくくる贈りもののひとつが「お歳暮」。

お歳暮はもともと目下の者が本家や親元へ持ってゆき、感謝の気持ちを表すと同時に祖先の霊へ供えるためのものでした。

やがて恩師や先輩、上司や取引先など、お世話になった目上の方へ贈るものへと変化していき、最近では親しい友人や知人に贈るという人も増えているようです。

本来のお歳暮は、直接出向いて先方へ持ってゆくものでしたが、忙しい現代社会においては、郵送することもまた気遣いのひとつ。

その際には、別便で一筆、ご挨拶を。

「おかげさまで、一年を無事に過ごすことができました。」

太陽のような温かさ、月の光のようなやさしさの「かげ」。

ご先祖さまの霊や神仏のこともまた「御影(みかげ)」といいます。

そんな「かげ」のもとで守られて暮らしていることを、改めて感じる年の暮れです。

ではここで、もう一度「贈」という字を感じてみてください。

「おくる」という言葉は、人と別れる際に、どうしても別れ難くて心が思わずついていく、という意味から転じ、心をこめて人にものを渡す、届ける、という意味になったといいます。

「贈りもの」には相手とずっとつながっていたい、という想いが宿るのです。

たとえ「もの」そのものが消えてなくなってしまっても、素直な気持ちをのせた「ことば」を重ねれば、心の中に灯った小さなあかりが、その人を温め続けます。

相手を思ってあれこれ迷い、選ぶのもまた楽しい「贈りもの」。

目に見える形で想いを交し合うよろこびが、人生に彩りやリズムを与えてくれるのです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『贈り物の心理学』(成田善弘/著 名古屋大学出版会)

12月31日の放送では「直」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。

<番組概要>

番組名:「感じて、漢字の世界」

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/



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聴取期限 2016年12月31日 AM 4:59 まで

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