「メールのお願い・依頼」相手が断れない言い回し文例集
文章を書くのが苦手だ。メールの表現に悩み、時間がかかる。マナーに厳しい取引先がいる……。一般的な書き方を知れば、面倒は減る。今回、ニーズ別に、フレーズと文例を集めた。「ビジネス表現の基本」を確認しよう。
■「お手すきのとき」は不親切な表現
「お願い」することの最大の成果は相手に「快諾」してもらうこと。私もいろいろな人からメールで仕事の依頼をいただきますが、その中には、「褒めて」「乗せて」「期待を添えて」「依頼」をしてくるのが上手な人がいます。そういうメールをもらうと、たとえ休日返上が予想されるタイトなスケジュールであっても、毎回気持ちよく引き受けてしまうものです。
おそらく「お願いメール」の極意は、そのあたりにあるのではないでしょうか。「お願い上手だな」と感心させられるメールにはいくつかの共通点があります。
まず、冒頭で感謝と好意を伝え、依頼の趣旨が簡潔かつ具体的に示してあります。お願いしにくい内容のときこそ、誤解の余地がない的確で簡潔な表現が重要です。もちろん期限も明記されています。さらに、依頼を受ける側のメリットをさりげなく提示したり、期待を添えることで、気持ちを前向きにさせる工夫がしてあります。
相手を慮って「お手すきのときに〜」と期限をぼかすケースがありますが、これは不親切。私だったら後回しにしてしまいます。
【基本のフレーズ】
◆お願いいたします。/お願い申し上げます。
――依頼では最も一般的なフレーズ。「ぜひ」「よろしく」とあわせて使うこともできる。
◆〜いただけると幸いです。
――「可能であれば」と控えめにお願いしたいときに。かしこまった言い方なら「幸甚です」。
◆ご一考願えますでしょうか。
――遠回しな言い方だが、相手に主導権があることが伝わり、控えめな印象を与えられる。
◆〜いただければと存じます。
――具体的に、確実にやってほしいという強い要望を、できるだけ丁寧に伝えたいときに。
◆ご教示ください。
――より親しい相手には「教えてください」でもいい。断りづらいフレーズのひとつ。
◆恐縮ですが〜/恐れ入りますが〜
――お願いを切り出す前に使う便利なクッション言葉。
◆誠に申し訳ないのですが〜
――相手が嫌がる可能性がある依頼をするときに。「申し上げにくいことですが〜」とも。
◆誠に勝手なお願いですが〜
――身勝手なことを承知しているときに使う。「誠に厚かましいお願いですが〜」とも。
◆ほかならぬ○○様に〜
――「ほかの人ではダメで、あなたにこそ」というニュアンスは好意的にとられやすい。
【“逆効果”の恐れがあるフレーズ】
◆〜してください。
――明確に言い切りたくなることもあるだろうが、内容によっては命令と受け取られることも。
◆ご確認願います。
――「ご確認ください」と同じく一方的に感じる人も。「ご確認をお願いいたします」が丁寧。
◆お手すきのときに〜
――相手を慮っての言葉だが、「いつ」が曖昧だと後回しにされてしまう危険性がある。
◆ご依頼をさせていただきます。
――「依頼してやる」という上から目線を感じさせる。「ご依頼申し上げます」ならOK。
■シーン別「お願い・依頼」の例文
ケース1:あえてメールで伝える
ご確認いただきやすいかと考えまして
まずはメールにてご依頼申し上げます。
POINT●メールは略儀と見る人もいる。しかし対面よりスピード面で優位であり、電話よりたくさんの情報を整理して伝えられる。その点が相手に伝わるように。
ケース2:引き受けてもらいやすく
○月○日○時までにお届けいただけますと幸いです。
ご対応いただくことは可能でしょうか。
POINT●依頼をするときに大切なのは、何をしてほしいのかを的確に伝えること。また、押しつけがましくならないために、まずは相手の意向を確認するといい。
ケース3:何が何でも口説く
この分野の第一人者である○○さんに、
ぜひともお願いできればと存じます。
なにとぞ、ご一考願えませんでしょうか。
POINT●「依頼相手の○○さんしかいない」と限定することが最大のポイント。さらに「ぜひ」「なにとぞ」で、こちらの熱意をより強調する。
ケース4:面倒ごとを頼む
今回は発注ロットが小さく
納期も短くて誠に申し訳ないのですが、
今後の継続的なお取引に〜
POINT●頼みにくいお願いは回りくどくなりがち。そうしたときこそ誤解を与えない表現を心掛け簡潔に。今後のメリットを提示できるなら併記するのも有効。
ケース5:困難な事情の理解を求める
どうか事情をお察しいただき、
ご検討いただければ幸いです。
POINT●やむにやまれぬ事情を相手に理解してほしい場合、こちら側の事情を一通り説明してからこのフレーズを用いる。「事情をお汲み取りいただき」とも。
ケース6:教えを請う場合
この件についてお詳しい
○○さんのお知恵を拝借したく存じます。
POINT●「ご教示ください」でもいいが、「○○さん」と特定することによって「甘えさせていただく」というニュアンスが加わり、年配者には受けがいいことも。
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1974年生まれ。筑波大学人間学類卒業。広告代理店勤務を経て、2004年にアイ・コミュニケーションを設立。13年には一般社団法人日本ビジネスメール協会を立ち上げ、ビジネスメールスキルの標準化に取り組む。『モノの書き方サクッとノート』(永岡書店)など著書多数。
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(プレジデント編集部=構成、文例作成)
