学生の窓口編集部

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毎日のように放送されている「料理」番組。年齢/性別を問わず楽しめ、おいしいごはんも食べられるのだから、人気があって当然といえよう。
調味料は「さしすせそ」の順に入れると良いと言われているのは科学的にも本当で、(し)食塩は(さ)砂糖よりも分子が小さく、先にいれると必要以上に塩っ辛くなってしまう。(せ)しょうゆ(そ)味噌が後回しなのは発酵(はっこう)食品だからで、香りが飛ばないように「食べる直前」に設定されている。おばあちゃんの知恵的な「言い伝え」になりつつあるが、綿密に計算された順番だったのだ。

■砂糖は塩の6倍も大きい

調味料の順番として知られる「さしすせそ」は、
 ・さ … 砂糖
 ・し … 食塩(しお)
 ・す … 酢
 ・せ … しょうゆ
 ・そ … 味噌
で、甘い砂糖から始まるのは「あとで味を調整しやすい」とも言われているが、最大の理由は「分子が大きい」からだ。mol(モル)と呼ばれる概念が加わり、説明がややこしくなるので単位は省略するが、食塩の分子と大きさを比較すると、
 ・砂糖(ショ糖) … 342
 ・食塩(塩化ナトリウム) … 58.5
と、6倍ほど大きい。小さい食塩をピンポン玉にたとえると、砂糖は野球のボール並になるので、食塩が先では食材の「すきま」を埋め尽くしてしまい、砂糖が入るスペースがなくなってしまう。同時に「塩が染みやすい=塩辛くなりやすい」を防ぐ効果もあり、微妙な塩加減を求められる「しめさば」では先に砂糖で水分を抜き、それから塩を振る手法もある。(さ)砂糖(し)食塩の順は、それぞれの持ち味を活かすうえで非常に合理的なのだ。

■食欲をそそる「メラノイジン」

(せ)しょうゆ(そ)味噌を後半に入れるのは加熱される時間を短くしたいからで、発酵食品ならではの「香り」を活かすためだ。
もちろん料理によっては煮詰めたりこがしたりする手法もあるが、日常的なところでは「味噌汁を煮立たせてはダメ」と言われているのも香りが理由だ。しょうゆはさらに繊細で、
 ・生(き)しょうゆ … できあがったままの状態
 ・しょうゆ … 生しょうゆを加熱処理したもの
と分類されるほど熱に敏感な調味料である。

ただし、焼きおにぎりやせんべいのように「こげたしょうゆ」の香りを楽しむ料理があるのも事実。これはメイラード反応と呼ばれ、しょうゆに含まれるアミノ酸から芳香物質・メラノイジンが増えるからだ。常温保存の味噌の色が濃くなるのも同じ理由なので、これはこれで香りを楽しむと良いだろう。

酢が中盤に設定されているのは、「タイミングはあまり関係ない」の意味で、おもに語呂合わせと考えるべきだろう。肉や骨を柔らかくする目的なら早い段階から、酸味を残したければ後半で投入、と使い分けできる。熱で飛ばせば酸味を減らすこともできるので、ポジションが変わっても対応できるサッカーやバレーボールの「リベロ」のような存在、と考えると良いだろう。

■まとめ
 ・調味料の順番「さしすせそ」には科学的根拠がある
 ・砂糖の分子は塩の6倍ほど大きいため、後回しにすると食材に染みこみにくい
 ・しょうゆ/味噌の風味を活かすためには、加熱時間が短い「後半」が有利
 ・酢は目的や料理の特徴に合わせて、入れるタイミングを変更できる