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親から受け取ったお金は、必ずしも贈与になるとは限らない。そこには相続税と贈与税、それぞれの時効という複雑な絡み合いがあり、答え方ひとつで課税対象が変わる場面が現実に存在する。
 
脱・税理士の菅原氏は、税務署がどのように調査を進め、時効の仕組みをどう利用するかについて、具体的な事例を交えながら詳細に解説している。
 
相続税の時効は原則5年。贈与税の時効は原則6年。いずれも悪質と判断された場合は7年に延長される。一見シンプルに見えるこの仕組みが、実際の税務調査の場面では思わぬ形で機能する。税務署はこれらの時効を熟知した上で、時効が適用されないよう解釈を変えながら調査に臨んでいるからだ。
 
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内だ。税務調査はその申告期限から1~2年以内に行われることが多く、2年以内に調査が入らなければ以後は来ない可能性が高い。しかし調査が入った時点で申告漏れがあれば、無申告加算税などのペナルティの対象になる。
 
問題はここからだ。税務署は過去10年分の預金口座を遡って調査する。親の口座からの出金と子の口座への入金を照らし合わせ、贈与の有無を丁寧に確認していく。仮に9年前に親から多額の送金があったとしても、当人が「もらった記憶がない」「知らなかった」と答えてしまえば、贈与が成立していないとみなされる。双方の合意がなければ贈与は成立しないためだ。
 
その場合、そのお金は親の名義預金や貸付金として扱われ、相続財産に含めるよう求められる。贈与税の時効がすでに過ぎていても、相続税の申告漏れという形で徴収される仕組みだ。
 
逆に言えば、時効を迎えた贈与については「もらった」と明確に主張することが、思わぬ相続税の追徴を防ぐ一手になり得る。菅原氏が繰り返し強調するのは「無知はコストになる」という現実だ。
 
税務署は税金を取れるよう柔軟に解釈を変えてくる。どの答え方をしても不利になる状況を巧みに作り出す誘導に、どう備えるか。相続と贈与の時効をめぐる攻防のポイントは、菅原氏の解説の中に整理されている。