澤穂希が女子のバロンドールを受賞した。日本人はもちろん、アジア人としても初の快挙だ。

女子選手の査定には、事実上クラブでの活躍が含まれない。代表での活躍が評価対象だから、昨年のW杯で優勝し、得点王、MVPを獲得した時点で、このバロンドールは決まったも同然だった。クラブの仕事をしていない佐々木監督が最優秀監督賞を受賞したことからも、評価の対象が代表での活動に特化していることがよくわかる。
 
翻って男子は、欧州マーケットでの活躍がすべてだ。代表での実績よりも欧州クラブでの活躍に重きを置かれる傾向がある。日本人がバロンドールを狙うならやはり女子のほうが近道だね。いずれにしろ大変な名誉ある賞だ。
  
なでしこフィーバーは、2012年を迎えてもまだ継続している。年末年始のバラエティ番組にはなでしこジャパンのメンバーが引っ張りだこだった。スポーツ選手というより、芸能人的な扱いだ。しかし、なでしこジャパンの人気はあっても、なでしこリーグになると話は別だ。観客動員が継続して増えているのはやはりINAC神戸くらいで、それ以外は結局昔のまんまだ。
  
紅白歌合戦にゲスト審査員で呼ばれた“なでしこジャパンのメンバー”が、皆INAC神戸のユニフォームを着ていたように、なでしこ=INAC神戸となっている。他チームとのレベルの差は大きく、ここを接近させてリーグ自体をスポーツ文化の中に定着させるのは、非常に難しい作業になる。INACのように資本を投下する企業はそうそう現れないだろう。
 
つまり、なでしこ人気の土台がしっかりしているとは言いがたい。女子サッカーというスポーツそのものではなく、なでしこジャパンというキャラクター、個人に焦点が当てられている。これはサッカーに限らず、良くも悪くも日本特有の盛り上がり方だ。そうやって祀り上げられた五輪競技のアマチュア選手が何人いたことか。
 
ロンドン五輪まで、なでしこジャパンは“旬”で在り続ける。そこでメダルを取れれば再びフィーバーとなるだろうけど、もし取り逃すと、そのときが怖いね。
 
こうしたスターシステムで煽るマスコミは大問題だけど、観る側一人ひとりの視点が本質に迫るものになれば、スポーツ報道も徐々に変わっていくと思う。なでしこジャパンの“サッカー”に注目したいね。