セブンの“スムージー半額”に大行列。物価高だけでは説明できない「並んででも買いたい人たち」の心理
さらには、人気商品の値段はそのままで50%以上増量するキャンペーン「感謝盛り」が、第1弾が5月12日から、第2弾が5月19日から行われた際には、増量によって1キロ超えとなった二郎系ラーメン「中華蕎麦とみ田監修 デカ豚ラーメン アブラ増」の完売報告も少なくなかった。
◆銀だこやサーティワンにも長蛇の列が
キャンペーンに客が殺到しているのはセブン‐イレブンばかりではない。銀だこでは毎年8月8日に「銀だこの日」と銘打ち、先着88名にたこ焼き8個入りを88円で販売しているが、その日には早朝から長蛇の列ができる店舗も珍しくない。
また、サーティワンアイスクリームで数年前から実施されるようになった「よくばりフェス」では、数日限定で、トリプルポップ(3個)をベースに1個100円で最大10個までアイスを追加できる。時間をたっぷりかけて好きなフレーバーを選ぶ客も続出し、行列が伸びに伸びているといった声がSNSで散見された。
◆キャンペーンに釣られる人がここまで多いワケ
「キャンペーン」と聞くと、企業側の思惑を感じ、「キャンペーンに簡単に釣られると思うなよ?」と逆張りしたくなりそうだが、実際には多くの人がキャンペーン時に足を運んでいる。そもそも、数年前は今ほどこうした飲食系のキャンペーンに惹かれる人は多くなかったように思う。
それでは、なぜキャンペーンにまんまとのっかる人が増えたのか。その大きな理由として、じわじわと続く物価高が挙げられる。外食もコンビニも、気づけば数年前よりも明らかに高くなった。コンビニでいえば、おにぎり1個が200円近くなり、安い弁当でも500円くらいする。
さらには、値段は据え置きで量を減らす「ステルス値上げ」も一般化し、気軽に立ち寄れる場所ではなくなった。だからこそ、「半額」や「フェア」といった目に見えてわかるお得感に触れた時、普段抑えていた購買欲が一気に解放され、客が殺到するケースが増えたのだろう。
◆生活苦だけじゃない、行列に並ぶ意味とは
ただ、キャンペーンが盛り上がりを見せている理由としては、“生活苦の反動”だけではないように思う。情報過多の現在、その日食べるものを選ぶことさえ面倒になった。ただ、キャンペーン中であれば、「せっかくだし」という気持ちになり、何を食べるかを決めやすくなる。
また、キャンペーン中には多くの人が押し寄せるため、対象商品を購入することは“祭りに参加している感”という高揚感をもたらす。さらには、「買えなかった」と言っている人が少なくないことから、無事に購入できたのであれば、優越感も味わえる。単に「お得だから」という理由だけではなく、キャンペーンをある意味“フェス”と捉えている人が結構いることも、足を運ばせる要因になっているのではないだろうか。
◆キャンペーンを継続してもらうために
今やキャンペーンは生活苦のオアシスであり、高揚感を与えてくれるフェスでもある。そんな私たちの強い味方ではある一方で、「キャンペーン中は休憩が取れなかった」「アイスをすくい続けて腕が悲鳴上げてる」といった店員側の苦悩の声も、キャンペーンの度に上がる。
また、ドミノ・ピザでも過去に「デリバリーLサイズピザを買うとMサイズピザ2枚無料!」を実施した際に注文が殺到し、供給が追い付かずに一部店舗では注文を停止する事態が起きた。キャンペーン中の現場を想像すると、パンク状態で業務にあたるスタッフの姿が浮かび、胸が痛む。
現場の人員確保や期間中の賃金アップまでをセットで考えることは、企業がキャンペーンを実施するうえで必要不可欠だ。盛り上がりを作るだけ作って、あとは現場任せ、では立ちゆかない。キャンペーンを今後も楽しみたいのであれば、こうした現場スタッフ視点の意見についても、利用客が積極的に企業に対して声を上げていく必要があるのではないだろうか。
<文/浅村サルディ>
【浅村サルディ】
芸能ネタ、炎上ネタが主食。好きなホルモンはマキシマム ザ ホルモン。
