将来のエースになれるか(千葉ロッテマリーンズの公式サイトより)

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 今すぐの完成度より、数年後のスケールに目を向けたいルーキーがいる。

 昨年のドラフト会議では、支配下で73人、育成で43人が指名を受けた。セ・リーグは竹丸和幸(鷺宮製作所→巨人1位)、パ・リーグでは小島大河(明治大→西武1位)、岩城颯空(中央大→西武2位)らが、早くも一軍で存在感を示している。

 その一方、一軍の戦力になるには時間がかかっても、ファームで大器の片鱗を見せている選手は少なくない。今回はパ・リーグ球団から、来年以降が楽しみなルーキーを取り上げる。成績は6月16日終了時点。【西尾典文/野球ライター】

【写真】ロッテ・石垣元気選手と西武・横田蒼和選手の高校時代の姿

1年目にお試しで一軍デビューも

 投手で注目度が高いのは、2球団が1位で競合した石垣元気(健大高崎→ロッテ1位)だ。

将来のエースになれるか(千葉ロッテマリーンズの公式サイトより)

 2年春に出場した選抜高校野球では、5試合すべてに登板してチームの初優勝に大きく貢献した。3年時は春夏ともに甲子園でリリーフ登板となったが、常時150キロを超えるスピードをマーク。U18W杯では登板した全投手の中で最速となる158キロを計測し、大きな話題となった。

 チーム関係者はスピードに驚いたという。

「甲子園でも投げていて有名な選手でしたが、スピードに関しては高卒1年目とは思えません。ここまで出力の高い高卒ルーキーは佐々木朗希(現・ドジャース)以来です。佐々木に比べると制球はまだまだですが、スプリットなど変化球も悪くない。ボールだけなら一軍の投手と遜色ないレベルだと思います。まだ体が細いので無理はしてほしくありませんが、怪我なく登板を重ねていけば、1年目にお試しで一軍デビューもあるかもしれませんね」

 二軍ではここまで8試合、7回を投げて13四死球、自責点5、防御率6.43。制球面に課題を残す一方、13奪三振を記録し、能力の片鱗は十分に見せている。スピードは常時150キロを超えており、近い将来160キロの大台に到達する可能性は高そうだ。

将来のエース候補

 高卒投手で大器と評判なのが、藤川敦也(延岡学園→オリックス1位)である。

 高校時代は1年秋に控え投手として九州大会に出場しているが、これが最高成績で甲子園出場は一度もなかった。九州では評判の大型右腕で、石垣を抽選で外したオリックスが1位で指名している。指名時には、悔しい思いをした他球団のスカウトが多かったようだ。

「持っているポテンシャルの高さは高校生の中ではトップクラスだったと思います。肘を痛めて少し足踏みした時期がありましたが、2年から3年にかけて体をしっかり絞ってフォームに無駄がなくなり、軽く投げているようでも140キロ台後半が出るようになりました。コントロールとボールの質も良い。2位から3位で指名できればと思っていただけに、オリックスの外れ1位で名前が呼ばれた時は驚きましたね。将来性を考えれば、1位指名でも全く不思議ではないと思います」(他球団の九州担当スカウト)

 公式戦デビューとなった5月3日のロッテとの二軍戦では、1回を三者凡退という上々の投球を見せた。ここまで3試合、6回を投げて被安打3、2四球、5奪三振で無失点と、しっかり結果を残している。スピードは石垣に及ばないが、さらに速くなりそうな雰囲気は十分で、将来のエース候補としてかかる期待は大きい。

早期の一軍抜擢も

 野手で目立つのが、横田蒼和(山村学園→西武5位)だ。

 高校時代は入学直後から三塁のレギュラーになると、1年秋から遊撃にコンバートされて中軸に定着した。3年夏は投手を兼任しながら6試合で5割近い打率を残し、2本塁打を放つ活躍を見せている。

 プロ入り後は主に三塁で起用されており、二軍では44試合で44安打、1本塁打、22打点、打率.301という見事な成績を残している。他球団の編成担当者は、横田のプレーぶりに驚かされたという。

「高卒の野手は、木製バットとプロの投手のボールの両方に対応する必要があり、最初はなかなか自分のスイングができない選手が多い。ところが横田はプロで何年もやってきた選手のように、自分の間合いでスイングできています。体つきも高卒ルーキーにしてはかなり大きく、大学生のようです。守備はまだ少し拙いところがありますが、肩の強さもある。早ければ来年から一軍のレギュラー争いに加わるかもしれません」

 西武は現在好調をキープしているが、三塁は本来外野手の渡部聖弥が守ることが多く、大きなウィークポイントと言える。横田にとってはチャンスが多いはずだ。二軍で結果を残し続ければ、早期の一軍抜擢が考えられるだろう。

 横田と同じ高卒野手では、桜井ユウヤ(昌平→ロッテ4位)、岡村了樹(富島→ロッテ6位)のロッテ勢が、二軍で積極的に起用されて存在感を示している。

 大学卒の選手では、エドポロ・ケイン(大阪学院大→日本ハム2位)と金子京介(神奈川大→楽天育成4位)がファーム東地区で本塁打を重ねており、長打力は大きな魅力だ。

 即戦力として一軍で結果を残す選手だけが、ドラフトの成果ではない。ファームで時間をかけて育つ素材型ルーキーにこそ、数年後の楽しみが詰まっている。石垣、藤川、横田をはじめ、パ・リーグの若い才能がどこまで伸びていくのか。今の段階から追いかけておく価値は十分にある。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部