青森県クマ出没情報サイトに嘘投稿相次ぐ 「線路上で乱闘」「300頭」…県がサイト改修 弁護士「偽計業務妨害罪の可能性も」
青森県が運営するクマ出没情報サイト「くまログ」で19日、嘘の投稿が相次いだ。県によると19日だけで30〜35件あり、学校にも影響が出たという。弁護士は、故意の虚偽投稿は偽計業務妨害の罪に問われる可能性があると指摘する。
「くまログ」に嘘の投稿が相次ぎ学校にも影響
クマの出没が連日のように伝えられている中で、青森県が運営するクマの出没情報システム「くまログ」に不正確な情報が相次いで投稿され、大きな問題となっている。
山粼夕貴キャスター:
青森県は実際にクマが出没するエリアですし、参考にしている方も多いと思うので、嘘だと分かって投稿しているなら許されないことですよね。
安宅晃樹キャスター:
嘘の情報の影響で行政側も対応に追われる事態となっています。クマ出没の嘘情報、罪に問われる場合について見ていきます。
まずこの「くまログ」というものは青森県が管理運営しているもので、誰でもホームページ上にクマの出没情報を投稿そして確認ができるものです。
嘘投稿が相次いだのは19日のことでした。どんなものだったのか嘘投稿を見ていきますと、ヒグマが線路上で乱闘を開始した、クマが300頭いたなどの嘘の投稿があったということで、19日だけで県によると30件から35件もありました。現在は投稿は削除されています。
青森県の宮下知事はXで、この中には県内の高校生による投稿もあったと明らかにしています。
榎並大二郎キャスター:
明らかな嘘とわかるけれども、ただ職員の皆さんも対応せざるを得ないというところで、いい迷惑ですよね。
安宅キャスター:
実際に、嘘の投稿があった19日には青森市内でこのような影響が出ました。県の担当者によると周辺には学校もあるので、複数の小学校で登下校の際に保護者同伴で登下校を行うなど、対応を行いました。
また、この嘘の投稿が多く出た19日とその翌日の20日には、県内の小中高学校全校の児童生徒に向けて「嘘の投稿などしないように指導を行ってください」と県から学校側に対して依頼を行いました。
一連のこの出来事について、イット!が青森県を取材したところ、このような回答がありました。
安宅キャスター:
「くまログ」の担当者は、「くまログ」というのは県民の善意の協力を前提としているため、虚偽の投稿というのは生活に重大な影響を及ぼし安全を脅かすことにもなるので、絶対にやめていただきたいとしています。
また、この一連の中で複数の不審な人物が関与していることもあるそうですが、こうしたものについては県警にデータを提供して対応を依頼したとしています。今後も厳正かつそして毅然とした対応を取ると回答がありました。
三宅正治キャスター:
善意の協力で成り立っているものなのに、それが信頼性が失われてしまったら成り立たないじゃないですか。そうなると今後の運用にも支障が出る可能性もあるし、本当にこれは腹立たしい。悪質な行為だと思います。
安宅キャスター:
クマと偽情報をめぐっては、2025年にAIで生成されたクマの動画が物議を呼びました。道端で座り込んだクマに餌付けをする人物の動画や、制服姿の女性たちが子グマを抱えている様子など危険極まりないシーンです。
これらはオープンAI社の動画生成アプリ「Sora」で作られたものです。動画生成サービスが4月26日に終了したこともあってか、2026年度はこれまで目立ったクマのこのAI動画が拡散されていませんが、こうした動画はクマへの間違った対応を助長する懸念があると指摘されてきました。
実際にこのAIで生成されたクマの画像を、実際に行政側が注意喚起で誤って使用したケースもあります。
安宅キャスター:
2025年の11月のことですが、宮城県の女川町でクマが目撃されましたと、町が公式SNSで注意喚起の投稿を行いました。その際に使用されたこのクマの画像は市民からの情報提供であったものですが、実はこの画像が生成AIによるフェイク画像でした。情報提供をした人と別の人が画像を生成していたわけです。
クマの出没情報、この事実すらもなかったものだと判明しました。町はその後謝罪をしましたが、この情報提供をした人に悪意はなく、勘違いが生んだ事案だったというわけです。
遠藤玲子キャスター:
クマの出没は緊急性も高いので、行政としても本物か偽物かそれを見極める時間もなかなかないというのもあると思うんですよね。これは難しいですよね。
故意の虚偽投稿は罪に問われる可能性も
山粼キャスター:
今回のケースは情報提供者に悪意がなかったということで、もしかしたら偽物とわからなかったのかもしれないですけど、もし嘘だと分かって投稿したら、どんな罰則があるんですか?
安宅キャスター:
亀井・和氣法律事務所の亀井正貴弁護士にお話を聞きました。こうした嘘の情報をあえて故意に流していくことは、本当に関係する機関の業務を妨害し得る行為になりますので、偽計業務妨害の罪に問われる可能性があるといいます。
罰則としては、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となるということです。実際に業務を妨害していなかったとしても、その危険性が高いと判断されれば、法律で罰せられる可能性もあるといいます。
また亀井弁護士は、今回の「くまログ」のケースですと、一般に広く周知される青森県のサイトです。県が運営しているサイトだからこそ、悪質性が高いと指摘しています。
山粼キャスター:
命に関わるものですし、公共性のあるものですから、野放しにはできないですよね。
安宅キャスター:
嘘の投稿を防ぐために、その後「くまログ」はシステム変更を行ったといいます。どのような改修が行われたのかというと、投稿の際に投稿者の連絡の入力欄を追加して電話番号をきちんと入力しなければ、投稿ができないようにシステム変更を行いました。
結果としてですが、依然として誤った目撃情報だったり誤った情報はあるものの、先ほど紹介したような悪質な投稿、これらはなくなったといいます。
青森県が運営する「くまログ」に相次いだ嘘の投稿によって、県側はサイトの改修を余儀なくされるなど対応に追われた。嘘投稿は偽計業務妨害の罪にあたる可能性もあると指摘されている。
悪ふざけのつもりでも思わぬ代償を払うことにもなる。このサイトが誰のために、どんな思いで作られたかというところに、思いを馳せてほしい。
(「イット!」5月26日放送より)
