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JRA(日本中央競馬会)が、猛暑対策として夏場の開催で一日あたりのレース数を従来の12から7に減らす方針を固めたと報じられています。

競走馬や騎手への負担軽減が目的ですが、その裏で注目されているのが、競馬法施行規則の見直しです。

SNS上では「馬のためには必要」「夏競馬は限界では」といった声が上がる一方、「そもそも競馬は毎日開催できないのか」「なぜレース数を自由に調整できないのか」と疑問を抱く人も少なくありません。

実は競馬は、開催日数やレース数が法律や省令によって細かく制限されています。今回の暑熱対策は、気候変動が競馬制度そのものを動かす事例となるかもしれません。

●競馬は「例外」として認められている

日本では刑法185条で賭博が禁止されています。

競馬も、お金を賭けて結果によって配当を受ける仕組みであることから、本来は賭博に該当しうる性質を持っています。

それでも競馬が合法とされているのは、競馬法によって特別に認められているからです。

競馬法1条は、馬の改良増殖や畜産振興などを目的として競馬を実施できると定めています。

つまり競馬は、「本来は禁止される行為を、公益目的のため例外的に認めた制度」と位置付けられているのです。

そのため、開催方法や主催者だけでなく、開催日数や競争回数などについても法律や省令で管理されています。

●なぜ開催日数やレース数に制限があるのか

競馬ファンの中には「ネット投票も普及したのだから、毎日開催してもよいのでは」と考える人もいるかもしれません。

しかし、公営ギャンブルは無制限に開催すると、射幸心を過度にあおるおそれがあると考えられてきました。

このため競馬法や競馬法施行規則では、年間の開催回数や開催日数、1日の競走回数などに上限が設けられています。地方競馬も同様です。

●暑熱対策のために制度の柔軟化へ

今回JRAが検討している「1日7レース化」そのものは、現行の「1日12競走以内」という規制の範囲内で実施できます。

問題は、減らしたレースをどこで実施するかです。

報道によると、JRAは削減するレースを別の日程に振り替え、年間の総レース数は維持する方針とされています。

「それなら平日に開催すればよいのでは」と思う人もいるかもしれません。

実際、中央競馬では平日開催がおこなわれており、平日開催そのものは禁止されていません。

ただし、開催回数や開催日数に上限があるため、単純に平日へ振り替えれば済むわけではありません。

そこで、農林水産省は今月、競馬法施行規則の改正案(概要)を公表しました。

改正案では「1年間の競走回数の上限を超えない限りにおいて、1年間の開催日数等の範囲を超えて中央競馬を開催することができる」とされているほか、「1回の開催日数が1日の中央競馬」を年間2回まで実施できるようにする内容も盛り込まれています。

JRAは平日開催などを活用してレースを分散させる方向で調整していると報じられており、暑熱対策を進めながら年間の総レース数を維持できるよう、制度の柔軟化が図られているのです。

●猛暑が競馬制度を変える

近年は夏場の猛暑が深刻化しており、人だけでなく競走馬への影響も問題視されています。

JRAはこれまで、新潟・中京開催では、第5レース終了後に長時間休止を設ける「競走時間帯の拡大」を導入するなど、暑熱対策を進めてきました。

しかし今回は、レース数そのものを減らし、開催形態まで見直そうとしています。

もし開催日数の増加や制度改正が実現すれば、気候変動が公営競技のルールや制度設計そのものを変える事例の一つとなりそうです。

競馬法が制定された時代と比べ、夏の環境は大きく変わりました。

競走馬の福祉や競技の安全性を確保するため、今後は競馬法や関連規則のあり方そのものが見直されていくのかもしれません。