生ハムをつまむ箸は先端が命!中華そば「銀座八五」の場合は?料理に合わせた箸選びの奥深い世界
お客さんが食事を楽しまれるにはどんな箸がよいか。考え抜かれた一膳が箸置きにのる。今回は箸が気になる3店をご紹介します。普段、自宅で食事するときに使う箸も併せて伺ってきました。
日本の文化を確認するためのもの『銀座小十』@銀座
「今日は特別な食事だ、という演出からこの箸の形になりました。箸はひとつのメッセージですね」と店主の奥田透さん。
この店では赤杉両細の利久箸を選んだ。赤杉は木の心材を使う希少箸。白赤の木目が美しい最高級品だ。懐石料理のお店であり、もちろん、志は千利休の茶懐石にさかのぼる。

『銀座小十』「赤杉利久」が似合う店。箸置きは山口真人氏作

『銀座小十』千利休のおもむきを後世に伝えていく
「箸が短いと料理が重く感じられる」「神経が指先に行ってしまうとおいしくない」「杉の箸はやさしくて器を傷つけない」など多層な心配りがひとつの形となる。
おもてなしの達人は「うちの店で過ごしていただく時間は、私とお客様とで、日本の文化を確認し合う時間でもあるんです」。
そんな、奥田さんの自宅箸は、「黒塗りのお父さん箸です。日曜夜しか家で食べられませんが、それでハンバーグや、おでんなんかを食べてます(笑)」

『銀座小十』店主 奥田透さん
店主:奥田透さん「千利休が極めに極めた茶懐石の延長に“懐石料理”があります」

『銀座小十』
[店名]『銀座小十』
[電話]03-6215-9544
[営業時間]12時〜12時半(最終入店)、18時〜20時半(最終入店)
[休日]日、祝(不定休)
食べやすさと一期一会の気持ちを込めて『銀座八五』@新富町
京フレンチの巨人が銀座で中華そば、という華麗な転身を遂げた松村康史さん。
「和食の世界では、客とキッチンの距離がちょうどお箸2膳分と言われるんです、ほらね」と縦に2本並べてカウンターから厨房までの距離を見せてくれた。確かに!
店で使う箸は、一期一会の気持ちを込めて「吉野杉利久箸」。店名「八五」の名を施した特製品。

『銀座八五』吉野杉利久箸。1か月に2000膳仕入れる
ラビオリグルマンディーズ中華そば2200円

『銀座八五』ラビオリグルマンディーズ中華そば 2200円 店名の焼印入り箸は持ち帰る人もいる
「利久は長めなのもいい。麺がすべらなくていい塩梅です」。場所柄外国人のお客も多いが「コロナが終わってからみんな上手になった印象ですね。ラーメンの食べ方が堂に入ってきましたわ」。
自身の厨房での作業は、先まで四角の菜箸。自宅では「嫁はんが買うてきたごく普通の塗り箸です」

『銀座八五』松村康史さん
店主:松村康史さん「おもてなしの心を大切に一期一会の“一杯”をお出しします」

『銀座八五』
[店名]『銀座八五』
[電話]非公開
[営業時間]11時〜スープが無くなるまで
[休日]月・火
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅一番出口から徒歩2分
料理に合う、食べ手のテンションが上がる物を『29ロティ』@大塚
極薄にスライスされた生ハムをすくうために、先端はなるだけ細い方がいい。ということで、「業務用竹先細天削24センチ」を使うのが、生ハムと熱燗を楽しませる『29ロティ』。

『29ロティ』竹の先細、天削。ハムにしっくりきます
生ハム3種もりあわせ2000円

『29ロティ』生ハム3種もりあわせ 2000円 料理と箸、こだわりの釣り合いが大事
店主の江澤雅俊さんは「店の箸選びは食べやすさ、形のよさが大事ですけれど、まずは食べ手のテンションが上がること。料理のこだわりと、箸のこだわりが釣り合っていることが重要です」と話す。同業者が食べに来ると、いい箸だから業者を紹介してほしいと言われることも。
飲食店の箸あるあるは「どの場所でどの作業をしていてもお客さんが箸を落とした音はわかる。周波数があっちゃってるんでしょう」。
ご自宅では「六角形の普通の塗り箸です」

『29ロティ』店主 江澤雅俊さん
店主:江澤雅俊さん「先の細い物を探して見つけたこだわりの箸で、生ハムを挟むとおいしいです!」

『29ロティ』
[店名]『29ロティ』
[住所]東京都豊島区大塚3-34-4櫻ビル1階
[電話]03-6902-1294
[営業時間]18時〜23時
[休日]火
[交通]JR山手線大塚駅南口から徒歩1分
撮影/浅沼ノア(銀座小十)、小島昇(銀座八五、29ロティ)、取材/輔老心
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
※画像ギャラリーでは、お箸にこだわる店が提供する絶品料理の画像をご覧いただけます
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