もはや「憧れ」に…平均年収では「東京の都心5区」に住めなくなるワケ【不動産コンサルタントが解説】

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日経平均株価が最高値を更新するなか、日本の不動産市場に投機資金が流れ込んでいます。とくに東京の都心5区(港区・千代田区・中央区・新宿区・渋谷区)の価格高騰は凄まじく、千代田区が「転売規制」の要請に踏み切るなど異常事態となっています。本記事では、柳澤寿志子氏の著書『富裕層を魅了する 東京一等地不動産』(星野書房)より一部を抜粋・編集し、平均年収では都心に住めなくなる東京不動産の最新事情を解説します。

銀座4丁目の土地は約60倍…跳ね上がる都心5区の家賃

日経平均株価や不動産価格指数を見れば傾向は明らかですが、現在、日本株や不動産に資金が集まり、価格が高騰しています。たとえば銀座4丁目の土地は、西暦1900年頃(1897年)と2020年頃を比較すると、約60倍近くまで上昇しており、この数年で価格上昇がさらに加速しています

不動産価格高騰の流れを象徴するのが、2025年7月に公表された、千代田区によるマンションの転売規制です。

これは、マンションなどの賃料高騰に業を煮やした千代田区が、購入者が引き渡しを受けてから原則5年間は転売できないよう、特約を付けることを不動産協会に要請したというものです。その背景には、外国人による投機目的のマンション購入が増え、人が住んでいない物件が増加したことがあります。

外国人や富裕層が投機目的でタワーマンションを購入する一方、賃貸で住んでいる人以外は誰も住まず、空室が多い状況が生まれていました。その結果、安全面への懸念も高まり、規制に踏み切ったのです。この規制は、住民が住んでいない状態を改善するためのものだと言えます。

そもそも、物件を購入できるのは資金力のある方々です。賃貸物件を購入した中国人投資家などが家賃を2・5倍に引き上げ、住んでいた方々が更新できず、退去を余儀なくされるケースが増えているというニュースもありました。

不動産価格指数が上がっていることで、このような事態が現実に起きるほど、家賃が跳ね上がっているということです。

平均年収では住めなくなる?…都心5区はもはや「憧れ」の街に

投資の世界では、日経平均株価と不動産価格指数は連動していると言われており、不動産価格指数は遅行指標とされ、株価の動きよりも半年から1年遅れる傾向があります。

2025年10月末、日経平均株価は5万2000円の最高値を更新しました。しかも、理論上は3〜5年かけて8万円程度まで上昇する可能性があります。この理屈で考えると、途中で多少の乱高下はあったとしても、不動産価格はまだ上昇余地があると言えます。

とくに東京の都心5区(港区、千代田区、中央区、新宿区、渋谷区)には、今後さらに人が集まってくるでしょう。都心5区に人が集まるその理由は、明確です。大阪、名古屋、広島、仙台、福岡といった主要都市を除く地方では、仕事の選択肢が少なくなってきているからです。

とくに女性の場合、選択肢はさらに狭まり、介護や医療、保育など、社会機能を維持するために必要な仕事に従事する「エッセンシャルワーカー」にならざるを得ない状況が増えていくでしょう。

東京などに人が集まれば、当然、居住場所が必要になりますが、不動産の供給には限界があるため、価格は必然的に上昇します。その結果都心5区には、平均年収の人は住めなくなっていくはずです。少なくとも、すでに港区に住むことは難しくなっています。

つまり、東京の都心5区に住むことが「憧れ」になる時代は、すでに始まっているということです。

[図表1]日経平均株価と不動産価格指数の連動性 出所:「日経平均株価(終値)」は日本経済新聞社、「不動産価格指数(住宅)」は国土交通省提供

柳澤 寿志子

不動産コンサルタント