◆魚卵より恐るべきものは!?

では、実際に何から見直すべきか。診療で先に確認することが多いのは、食べ物より実は飲み物。

男性約4万6000人を12年間追跡した研究では、砂糖入りソフトドリンクを1日2杯以上飲む人は、月1杯未満の人に比べて、痛風リスクが1.85倍に上昇しました。また果糖(フルクトース)の摂取量が多い人は、少ない人に比べてリスクが約2倍になりました。さらに、一見健康に良さそうに思えるフルーツジュースでも1日2杯以上の群で1.81倍のリスク上昇となりました。

果糖は代謝の過程でATPを消費し、尿酸産生を進めます。朝のジュース、甘い缶コーヒーや、エナジードリンクにスポーツドリンク

こうした「飲む糖」が、時々食べる魚卵よりも問題になっている人が多い印象があります。

もちろん、果物を摂取することが高尿酸血症に直接悪いわけではありません。丸ごとの果物には食物繊維やビタミンが多く含まれているし、咀嚼するため食べる量も限られ、食する時間も必要になります。問題となりやすいのは、液体で一気に摂取する習慣です。「健康のため」と思って毎朝ジュースを飲んでいるなら、一度見直す価値はあるかも。

◆我慢の前に、優先順位を見直す

痛風対策で大事なのは、禁止リストを増やすことではない。

卵やイクラを控えるより、甘い飲み物を減らす、飲酒量を見直す、白子やレバー、高プリン体の乾物を続けて食べない。体重を増やさない食生活や十分な飲水を心がける。こちらのほうが、ずっと現実的かもです。

イクラを我慢しているのに、毎朝ジュースや砂糖入りのコーヒーを飲んでいては本末転倒。痛風対策は、「何を怖がるか」ではなく、「何から変えるか」が重要なのです。

<文/岡本宗史>

参考資料
1. Choi HK, et al. Purine-rich foods, dairy and protein intake, and the risk of gout in men. N Engl J Med. 2004;350(11):1093-103.
2. Kaneko K, et al. Total purine and purine base content of common foodstuffs for facilitating nutritional therapy for gout and hyperuricemia. Biol Pharm Bull. 2014;37(5):709-21.
3. Major TJ, et al. Evaluation of the diet wide contribution to serum urate levels: meta-analysis of population based cohorts. BMJ. 2018;363:k3951.
4. Choi HK, Curhan G. Soft drinks, fructose consumption, and the risk of gout in men: prospective cohort study. BMJ. 2008;336(7639):309-12.

【岡本宗史】
東京大学大学院医学系研究科を修了後、埼玉県のクリニックにて実臨床に従事。「健康・エイジングケア」に関する知見を、医学的視点から紐解き、メディアやSNSを通じて多角的に発信している。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」評論家 等。
Instagram:@soshi_okamoto