【解説】日本の安保政策“大転換” 殺傷能力ある武器の輸出可能に 「戦闘行われている国」原則不可も…例外は?【イチから確認 高市政策】
「news every.」では「イチから確認 高市政策」という形で、いま何が議論され、日本がどう変わる可能性があるのか継続的にお伝えしていきます。憲法改正や皇室典範改正、消費減税など高市首相が意欲を示す注目の政策や法案の議論が進んでいます。今回は「防衛装備品の輸出」についての議論です。
■「5類型」撤廃を正式決定 殺傷能力持つ武器の輸出可能に

政府は21日、防衛装備品の輸出を救難、輸送などの非戦闘目的に限定するルール、いわゆる「5類型」の撤廃を正式決定しました。これにより、「殺傷能力を持つ武器」の輸出が可能になり、安全保障政策の大きな転換となりました。
木原官房長官
「我が国を取り巻く安全保障環境の変化が加速度的に生じる中、日本の安全を確保し地域と国際社会の平和と安定に一層寄与するものです」
装備品の輸出を非戦闘目的に限定していた5つの類型を撤廃し、「武器」の輸出を可能にした狙いについて、政府は、同盟国・同志国との防衛協力拡大や日本の防衛産業の強化をあげています。
■歯止めは? 輸出できる国…17か国に限定

ここからは防衛省担当の細川恵里記者とともに確認していきます。
──まず、確認したいのは武器輸出の「歯止め」についてです。今後、日本が輸出する際に、それによって他国の戦争を誘発したり、日本の安全がおびやかされたりしないための「歯止め」は、十分なのでしょうか。
では、政府による「歯止め」について見ていきたいと思います。
まずは「武器」の「輸出先」についてです。輸出できるのは日本と、防衛装備品や技術の移転に関する協定を結んでいるアメリカや、イギリスなど17か国に限定されています。
その上で実際に輸出するかどうかは、首相や閣僚などが出席する国家安全保障会議でその都度、審査をすることになっていて、輸出したあとも、相手国が情報漏洩したり、第三国に再輸出していないかなどモニタリングを強化するとしています。
また、現在、戦闘が行われている国への輸出は「原則不可」となっています。
■原則不可の例外は? 今もし米国に求められたら…

──「原則不可」ということは例外もあるのでしょうか。
はい。日本の安全保障にとっての必要性を考慮して「特段の事情」がある場合には例外として容認するともしています。
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──今アメリカは、イランをめぐって緊迫した状況となっていますが、仮に今、この状況下でアメリカから求められた場合、武器を輸出するのでしょうか?
はい、これについて、私も取材しました。
ある政府関係者は仮定の話と前置きした上で「極めて高度な政治的判断になるだろう」「状況に応じて判断するしかない」と話していました。
先ほど話したように、「現在戦闘が行われている国」には輸出できないのですが、今、中東は緊迫している一方で、アメリカでは戦闘が起きていないため、「国際的な状況や日本の安全をふまえ、慎重に判断することになるだろう」と説明していました。
■輸出の判断 国会に対しては「事後的に通知」

──政治的な判断になるということですが、では、輸出するかどうかを、事前に国会で議論することはないのでしょうか?
事前に国会で議論することはありません。政府は、輸出の判断を迅速に行うため、国会に対しては、「事後的に通知」することにしています。
これに対し、中道改革連合の階幹事長は「政府の裁量で際限なく輸出が行われていくことは平和国家の根幹を損ないかねない」と批判しています。
■「国会・議会」の関与…他国の仕組みは

──議会の関与については、国によって憲法や法律が違うので、単純比較は難しいですが、他国ではどのような仕組みになっているんですか。
主要国で、事前に議会の「承認」を求める制度をとっている国はありません。
ドイツなどでは「事後」に通知、イギリスやフランスなどでは議会の関与はないんです。
一方、アメリカは事前通知となっているんですが、議会が自発的に「輸出禁止」の決議を採択しない限り、輸出は許可されます。そのうえ、これまでにこの決議が採択されたことはないということです。
政府は、輸出が進むことで日本と同じ武器を使う国が増えれば、国同士の連携が強化され、日本の防衛力向上にもつながるとしていますが、必要な「歯止め」が機能するのか、しっかり確認していく必要があると思います。