我が青学大に女子駅伝チームを創設した真意…停滞する競技レベル、狭まる裾野に危機感が募った【青学大・原晋監督「マンスリー大作戦」】#14
【青学大・原晋監督「マンスリー大作戦」】#14
【前回を読む】箱根でワッと盛り上がった長距離人気の火種を絶やすのはもったいない
我が青山学院大に女子駅伝チームが発足しました。4日に相模原キャンパスで記者会見を開いたのですが、その模様をメディアを通してご覧いただいた人も多かったと思います。改めて青学大女子駅伝チーム創設の真意を語らせてもらいます!
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駅伝女子チームの立ち上げの話は6、7年前にありました。何回か箱根駅伝を制したとはいっても、男子チームに物足りなさを感じていたこともあり、まだ「時期尚早」と考えていました。
しかし、年ごとに女子陸上長距離界に対する危機感は膨らみ、居ても立ってもいられなくなりました。「女子陸上長距離界の未来を考えると怖くてしょうがない」という思いが、頭の中から離れなくなったのです。
言うまでもありませんが、携わる方々を批判するつもりは毛頭ありません。誤解しないでくださいね。
まずは「記録」の面から、女子陸上長距離界の現状を見てみましょう。
女子の高校日本記録は1500メートルが20年、3000メートルが21年、5000メートルが27年もの間、更新されていません。男子の場合、3種目すべて「5年以内」に更新されています。女子の競技レベルの停滞は明らかです。
次に「裾野」について数字を挙げてみます。
高校女子駅伝の都道府県予選に参加した単独チーム数は、2015年は1038校ありました。それが5年後の20年には835校に減少し、昨年は628校と10年前から約4割も減ってしまいました。
五輪長距離種目の「8位入賞者数・大会ごとの最高順位」も、やはり先細り感は否めません。
30年前の1996年アトランタ大会は「入賞4人・最高3位」。そして00年のシドニー大会「2人.1位」と04年のアテネ大会「3人.1位」で金メダルを獲得しました。
しかし08年の北京大会「0人.11位」、12年のロンドン大会「0人.9位」、16年のリオデジャネイロ大会「0人.14位」と大不振。21年の東京大会「3人.7位」に続いて24年のパリ大会も「1人.6位」と少しだけ盛り返しましたが、メダルなしが22年も続いているのです。
母国開催の東京五輪では、日本人選手が奮闘して金27・銀14・銅17とメダルラッシュに沸き返りました。その分、女子陸上長距離界の凋落ぶりが際立ってしまいました。
記録は伸びず、競技人口は減り続け、主要国際大会でメダルから遠ざかり、世間の関心が薄れてしまったら……。
5年後、10年後の女子陸上長距離界はどうなってしまうのでしょうか? そこで僭越ながら「女性が輝かしく、自分らしく走れる環境をつくるためには、何から手を付けていけばいいのか?」と思案した結果、大学男子の駅伝競技に携わっている我々が、大学女子駅伝を盛り上げることで女子陸上界全体を華やかなものにできないだろうか?
そう考えて今回の女子駅伝チームの創設に至ったというわけです。
まだ女子陸上長距離界について話したいことがあります。続きは3週間ほどお待ちください。
(原晋/青山学院大学陸上部監督)
