Image: Gizmodo / Matt Novak US

アメリカはカリフォルニア在住の投資家、かつ大富豪のトム・ステイヤー氏。AI台頭で起きるであろうさらなる貧富の差拡大是正について、自身のアイディアを語りました。ステイヤー氏が考える対策は、「AIトークン税」。

12人とトリリオネアと4000万人の貧困層

「(AIは)コンピューターが何百万人という人間の思考を代替する技術であり、それによって得られた利益はこのコンピューターを持つ人間にだけもたらされることになる」と語るステイヤー氏。

彼自身は、AI台頭でホワイトカラーの仕事は、今後、減少していくと考えています。「資産1兆ドル超のトリリオネア12人と、家賃すら払えない4000万人なんて社会は作るべきではない」と語り、莫大な富を生むAI企業が負うべき責任を指摘。

この解決策として、ステイヤー氏は、AI企業にAI企業ならではの特殊税金をかけることを提案。

AI税のアイディアは目新しいものではないものの、ステイヤー氏はこの税金をさらに掘り下げて提案。AIトークン税として、企業が使用するトークン数に応じて、税金をかけようというのです。AIトークン数は、単純に言えばAI使用量。この税収を教育や職業訓練に必要なコストや、ベーシックインカムのような再分配にあてることで、富の一極集中を緩和することができるといいます。

また、ステイヤー氏は、70年代・80年代における自動車産業、工場産業の仕事減少で、アメリカ中西部が衰退、ラストベルトと呼ばれるようになった時代と今のAI時代を比較。AIによって失われる仕事をしている人たちを、新たな職業へと導くトレーニングこそがこれからのAI時代・AI社会によって重要だといいます。かつて、中西部がラストベルトになったのはこれがなかったからであり、職業訓練を先導するには行政の力が必要不可欠だとアツく語りました。

ちなみに、トークンに応じた税金は、Anthropicのダリオ・アモデリCEOが昨年に提唱しており、ステイヤー氏はアモデリCEOのアイディアにヒントを得たとのこと。

ステイヤー氏発言の背景

ステイヤー氏がAIトークン税について語ったのは、カリフォルニア州サンディエゴで開催された演説会。そう、ステイヤー氏は次のカリフォルニア州知事の座を狙っており、今年11月に行われる州知事戦に立候補しています(現知事の任期は2027年1月まで)。

AIトークン税は、ステイヤー氏の公約とまではいかないまでも、自身の政治的考えをアピールするには強い力をもつでしょう。テック企業や大学の多いカリフォルニア州では、とくにAIへの考え方は重要視されそう。

演説会の会場では、AIトークン税について聴衆は概ねポジティブに捉えたようです。「労働者にとってAIはツールだ、労働者の代わりではない!」とステイヤー氏が語ったときには、会場から大きな拍手が起きました。