介護職、ワンオペ夜勤の16時間勤務 実質休憩なしで残業代は未払い どう対応すればいい? 弁護士が解説
介護の夜勤で16時間勤務で2時間休憩があるはずなのに、ほとんどとれていないーー。 そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者は、介護施設で16時間勤務・2時間休憩の一人夜勤(ワンオペ)に従事しているそうです。
「利用者対応をしていない時間が休憩」とされているものの、利用者のうち要介助の方が9割を占め、実際にはいつ呼ばれるかわからない状態で業務から離れられないとのことです。 また、残業代も支払われていないそうです。
労基署などに対応を求めたら、会社から報復されるのではないかと心配しているといいます。相談者がどうすればいいのか、簡単に解説します。
●法律上の休憩は「完全に業務から解放された時間」
労働基準法(労基法)上、8時間を超える労働には1時間以上の休憩を与えなければならず、さらにその休憩は「自由に利用させなければならない」とされています(同法34条)。完全に業務から解放されなければ、法律上の「休憩」にはなりません。
このような「実際の作業はないが、いつでも対応できるよう待機している時間」を「手待ち時間」といい、法律上は労働時間として扱われます。
判例では、ビル管理員の仮眠時間について「警報等への対応が義務付けられており、その必要が皆無に等しいとはいえない以上、実作業のない時間も労働時間にあたる」と判断しているものがあります(「大星ビル管理事件」最高裁平成14年(2002年)2月28日)。
要介助の利用者が9割を占め、「実際にはいつ呼ばれるか分からない状態」の一人夜勤の環境は、「手待ち時間」として労働時間にあたると考えられます。
●その時間分の残業代も払ってもらえる可能性がある
「休憩2時間」が労働時間と認定されれば、16時間の勤務が丸ごと労働時間となります。法定労働時間(8時間)を超えた分には、25%以上の割増賃金が必要です(労基法37条)。さらにこの延長して労働させた時間が月60時間を超える場合にはその部分の賃金は5割以上の割り増しとなりますし、深夜帯には深夜割増も加わります。
会社が割増賃金を支払わなかった場合、裁判所は未払い額と同額の「付加金」の支払いを命じることができます(労基法114条)。つまり、未払い残業代の2倍を回収できる可能性があります。賃金請求権の消滅時効は現時点では3年ですので(労基法115条、143条3項)、早めに行動した方が良いでしょう。
●相談者はどうすればいいのか?
労働基準監督署に申告するか、弁護士に相談してみてください。
その際、証拠としてシフト表・タイムカード・介護や対応の記録を保存したり、勤務の実態を日誌にメモしておくと良いでしょう。なお、自分が書いたメモが証拠になるか心配される方もいらっしゃるでしょうが、日付や業務内容をその都度時系列が分かるようにメモしておき、それが客観的に認められる事実(タイムカードの打刻時間等)と合致しているようであれば、十分に証拠となり得ます。
「申告したら解雇されるかも」と心配な方もいると思いますが、申告を理由とした解雇・減給は法律で禁止されており(労基法104条2項)、違反には6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます(労基法119条)。
また、こういった場合の解雇では、解雇理由をそれらしく作り上げる可能性がありますが、申告への報復が目的であることが認定されれば、上の罰則が科されたり、解雇自体も無効と判断される可能性があります(労働契約法16条)。
このようなケースでお困りの場合にも、労働基準監督署に申告するか、弁護士に相談してみると良いでしょう。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)
