【風人もよう 小島くみさん(62)】

 公害、環境問題に取り組む理系職から、58歳で弁護士になった。1月末、長崎県壱岐市内2カ所の法律事務所の一つ「壱岐ひまわり基金法律事務所」の8代目所長に就任、2年間勤務する。「一人一人に寄り添い、地域に貢献したい」

 九州大農学部を卒業後、郷里・鹿児島の事業所で26年間、さまざまな経済活動が環境に及ぼす影響の計量業務に従事。特にダイオキシンや産業廃棄物に関わる中で、最終的にはトラブルが裁判で解決されること、法律の整備・順守で環境問題が改善されることを目の当たりにし、法律の重要性を実感した。

 一方、男性優位の郷里はトラブルが起きても弁護士に相談する風土ではなかった。家族間のドメスティックバイオレンス(DV)に関心が向けられる機会は乏しく、離婚後に養育費を払ってもらえないことも。「弱い人が泣き、強い人はどこまでも強い。弁護士になって助けになりたい」と一念発起。事業所を辞め、50歳で鹿児島大法科大学院に進学した。

 初めて本格的に追究する法律は難しかった。記憶力も体力も若い時代とは違う。何度もくじけそうになりながら、ようやく司法試験に合格。研修を経て2022年に鹿児島で弁護士に登録した後、司法過疎地に派遣する弁護士を養成する福岡市内の事務所へ移った。

 先輩が活動する壱岐を訪れた時のこと。島での問題を考えさせられるとともに、海の美しさや歴史に魅せられた。後任を決める際に「行きたい」と熱烈にアピール。希望がかなって昨年12月に島へ渡った。

 弁護士になってからこの間、債務整理や離婚、相続、少年事件などで経験を積んだ。大変だが、解決の手伝いができることに喜びを感じる。定年もない。

 壱岐に常駐する女性の弁護士は初。「まずは壱岐の人たちと触れ合って、その土地に合った最善の解決法を一緒に考えたい。困っている方のお役に立ちたい」

 (野田範子)

私の好きな時間

 朝夕に自宅の窓から青い海を眺めてぼーっとするのが好きです。家から海が見えてすごいなあと。壱岐にはきれいな海岸がたくさんあるので、暖かくなったら行ってぼーっとしたいです。遊覧船で見た辰ノ島の海がすてきだったので、今度は上陸して高台から水平線を眺めたい。