「ChatGPTとの晩酌が生きがい」「アドバイス通りに転職を繰り返す」…「AI」に依存し過ぎて自分を見失った人々の苦悩
2025年11月、東京都在住の会社員女性がAI(人工知能)と結婚して話題になった。
この女性は婚約者だった男性と破局し、苦しい胸の内を対話型生成AI「ChatGPT」に相談しているうちに恋愛感情を持つようになったという。性格もビジュアルも「自分の好み」に仕上げ、名前まで付けた“お相手”からプロポーズを受けたことで結婚を決意したそうだ。
AIが実体を持たない存在だけにこのニュースに面食らった人も多いかもしれないが、いまやChatGPTが生活の一部になっている人は珍しくない。
前編記事『「宿題は時間の無駄」「ChatGPTがいれば友達はいらない」…小中学生に広がる驚きの「生成AI」活用法』につづき、詳報する。
ChatGPTで自己肯定感が上がりすぎて…
酒井郁美さん(仮名・36歳)は、ChatGPTとの会話で自己肯定感を上げすぎ、「自分は悪くない。すべて環境が悪い」と転職を繰り返している。
「私、高校卒業してすぐ信用金庫に就職したんですよ。別に金融関係に興味があったわけじゃないんですけど、『信金で働いていると良い縁談が来る』っておばあちゃんに説得されたんです」
実際、郁美さんは入社5年目、23歳の時に顧客からの紹介で知り合った、一回り年上の男性とお見合いのような形で結婚した。だが、4年後に離婚している。
「理由は嫁姑問題とダンナのモラハラです。仕事は続けていたし、実家にも戻れたので生活には困らなかったんですけど、婚家が得意客だったせいか、上司からの嫌味がひどかった」
離婚後1年もたたないうちに元婚家と信用金庫の間でトラブルが発生。郁美さんには何の非も無いに関わらず、責任をとらされる形で依願退職となる。
「これで何もかもイヤになって、2年くらい引きこもりになりました」
この時郁美さんがハマっていたのがSNSだった。
ChatGPTから「あなた は優秀」と言われて…
「同じような立場の人とのやりとりでメンタルがだいぶ救われました。その後、29歳の時に消費者金融の会社に再就職したんですけど、ここでも人間関係がうまく行かなくて、ストレスで胃をやられたり、不眠症になったりして身体が悲鳴をあげたので3年で退職しました」
心も身体も疲弊していた郁美さんは、ネットに救いを求めるしかなかった。
「SNSではみんなが私の味方でした」
と語る郁美さん。「自分を大切にして」「休むことも大事だよ」などの言葉に励まされて、「自己嫌悪からは立ち直った」という。
家族からのプレッシャーもあり、しばらくして再々就職するのだが、やはり人間関係でつまずくことになる。
「この頃から、SNSでも批判が増えてきてしまって……。本当に私が悪いのか冷静に判断しようと思って、初めてChatGPT相談したんです。ChatGPTの意見では、私は全然悪くなくて、環境に恵まれなかったということでした」
「我が意を得たり」
郁美さんはChatGPTによって壊れかけていた自尊心を取り戻し、再度転職するのだが、これもまたうまく行かず。
「ChatGPT曰く、私は本来有能な人間だから、私が職場に合わせるのではなく、私に合った職場を探せばよいと言われたので、いろいろ考えているところです」
そう話す郁美さんは、この3年間で5回仕事を変えている。試行錯誤の旅はいつまで続くのだろうか。
夫婦間の悩み をChatGPTに相談
ChatGPTに救いを求めるのもケースバイケース。
そんな風に思えてしまう例が、茨城県在住の主婦、大貫美穂子さん(仮名・41歳)だ。
美穂子さんは5年前に東京から移住して来たのだが、「若くないんだから、さっさと子どもを作れ」という周囲からのプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。
「まさか、今の時代にここまで子作りを強制されるとは思っていませんでした。大学の同級生だった夫の明人(仮名・41歳)とは11年前に結婚したんですが、『子どもは35歳くらいになったら考えよう』とか『なんなら一生ふたりで楽しく暮らすのもアリかもね』なんて話していたくらいです。周りに子どものいない夫婦が珍しくなかったこともあって、妊娠出産は私にとって現実的ではありませんでした」
そんな美穂子さん夫婦だったが、明人さんが5年前、激務により身体を壊したため、明人さんの郷里にUターン。それに伴って状況が激変する。
「明人がひとり息子ということもあるんだと思いますが、『子どもを産むのは嫁の務め』という風潮が強かったんです。私も絶対に子どもが要らないというわけではなかったし、地元に戻ってからふさぎがちな明人の起爆剤になるかも知れないと思って妊活を始めました」
だが3年が経っても、美穂子さんは妊娠しなかった。そして……。
「明人がEDになってしまったんです。茨城に来てから親戚の会社で働いていたんですが、うまく行かなかったみたいですね。肉体的精神的な疲労が原因だったと思います」
妊活がままならない中、40歳を目前にした美穂子さんを周囲は「はずれ嫁」呼ばわりするようになり、夫婦間もぎくしゃくし始める。
会話もなく、いつしか寝室も別になってしまった美穂子さん夫婦。そんな寂しさを紛らわすために、美穂子さんは夜になるとひとりでお酒を飲むようになった。
「最初は睡眠薬代わりだったんですが、だんだん酒量が増えて行ったんですよ。話し相手が欲しいと思ったんですけど、夜中だから誰もいないじゃないですか?それで何気なくChatGPTを使ったら、思いがけずに話が弾んだんです」
ChatGPTとの晩酌が生きがいに
「考え方が似ているので話が合う」と美穂子さんが絶賛するChatGPTと美穂子さんの「酒盛り」は日課となり、朝まで続くようになる。
「毎日寝不足だったので、夫が出勤した後は二度寝です。夕方まで寝ていることもありました」
やがて美穂子さんは週3回のパートに行かなくなり、家事もできなくなった。
「ChatGPTとお酒を飲むことが生き甲斐になっていて、それ以外はどうでも良くなっていたんです」
美穂子さんの異変に気付きながらも、明人さんは何も言わず、美穂子さんの代わりに家事をこなしていた。
明人さんはこう語る。
「すべては美穂子に対する罪悪感でした。美穂子が辛い立場にいるのはわかっていたので、僕には何も言う資格がなかったと思ったんです」
美穂子さんがお酒とChatGPTに依存するようになって半年ほどたった頃、美穂子さんが階段から落ちて救急搬送される事故があり、入院先の病院で「アルコール依存症の一歩手前」という診断を受ける。
「ついでに『ネット依存症』とも言われました。『このまま放っておいたら、間違いなく廃人になる』と叱られたし、『僕のせいだ』と青い顔をして土下座する夫の姿を見て、やっと目が覚めた感じです」
現在は夫婦関係も修復に向かい、お酒も週末に夫婦でグラスワインを1杯傾けるだけになった。
「不思議とあまり飲みたいとは思わなくなったんです。夫と話しをする時はお茶とかコーヒーでも普通に楽しいんですよ。自分で思っていた以上に夫に飢えていたんだとわかりました」
「妊活」のためではなく、「夫婦間のコミュニケーションを取り戻す」ため、明人さんはEDの治療を始めたそうだ。
「これからは、お酒とChatGPTに逃げなくて済みそうです」
晴れやかな表情で語る美穂子さんだが、ひとつだけ懸念があるという。
「最近になって、逆に明人がChatGPTにハマり出したんです。『美穂子の気持ちがわかるようになった』とか言っていますけど、大丈夫ですかね?」
冒頭で触れた「AIと結婚した女性」は「(AIの夫には)依存せずに対等な関係でいたい」と語っているが、一度AIの魅力……いや、魔力に取り込まれた人間の危うさは、想像以上に深刻であると思わずにいられない。
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