アルテミスIIの打ち上げ延期、理由は2022年のアルテミスIと同じ水素漏れ
液体水素の扱いってすごく難しいらしいです。
思い返せば2022年のNASAのアルテミスIの準備期間中、繰り返し発生した水素漏れによって計画の大幅な遅延と打ち上げ中止が起きました。そして今回、2月上旬に打ち上げ予定だったアルテミスIIもまた、水素漏れで延期が決定。これってデジャブ?という展開になっています。
また同じ問題が発生
燃料充填試験中、移動式ランチャー上にあるテールサービスマストアンビリカルの1つで水素漏れが検知され、Tマイナス5分15秒の時点で試験は中止されました。この設備は高さ約11メートル。地上側とSLSコアステージをつなぎ、燃料用の配管や電気ケーブルを通しています。そしてこのうちの1基は、アルテミスIを悩ませた水素漏れの発生源でもありました。
日曜日の更新情報でNASAは、漏れの原因と考えられる部分に対処するため、テールサービスマスト内部の2つのシールを交換したと発表。でもアルテミスIでこの問題が起こって、それから今回まで3年もあったのに、また同じ状況になっているってどういうことなんでしょうね?
不具合の調整はまだ続く
NASAを擁護するとしたら、液体水素は非常に扱いが難しい燃料なのでしょうがないところもあるってことです。2つの水素原子が結合した最小の分子であるため、シールや継ぎ目のごくわずかな隙間からも漏れ出してしまうのです。また、摂氏マイナス253度という極低温によってハードウェア部品が脆くなり、亀裂が生じることもあります。
一方で、液体水素は重量あたりのエネルギー効率が非常に高く、どんな燃料よりも1キロあたりの推力が非常に大きいという利点があります。NASAはスペースシャトル時代からこの燃料を使用していて、その頃から漏れへの対応に悩まされてきました。
NASAのスペース・ローンチ・システム(=SLS)はシャトルをベースに設計されているため、同じ問題が起きるのも特に不思議なことではありません。そしてアルテミスIは、SLSにとって初めての、なおかつ現時点では唯一の打ち上げだったということも考慮しなければいけません。打ち上げ回数が少ないということは、不具合を洗い出す機会も限られるということです。
そのため、アルテミスIで発生した問題に3年間取り組んできたとはいえ、SLS計画自体はまだ初期段階という認識になります。
そうした観点から見ると、今回アルテミスIIが行なったウェットドレスリハーサル(燃料充填まで含めた打ち上げリハーサル)は大きな成果だったと言えるようです。燃料充填が始まる前に移動式ランチャーの加圧問題で中止となったアルテミスIの最初の試験と比べると、今回ははるかにスムーズな進行となり、初回でしっかりと上段とコアステージの両方に燃料充填を行うことができました。
「私たちはアルテミスIミッションから本当に多くのことを学びましたし、その教訓の多くを昨日のウェットドレスに反映させました」とNASA探査システム開発ミッション局の次長代理であるLori Glaze氏は、2月3日の記者会見で語っています。
アルテミスIIの打ち上げに向けて
前回のアルテミスIでは、最初のウェットドレスリハーサルが中止された後、ミッション実現までにはさらに4回のリハーサルと3回の打ち上げ試行を行っています。NASAは現在、アルテミスIIのスケジュールが同じように長引いてしまうのを避けるため、あらゆる対応を進めているとのこと。
日曜日の発表でNASAは、取り外したシールを分析して漏れの根本原因を特定すると同時に、ロケットと移動式ランチャーをつなぐインターフェース、つまり燃料ラインと電気ケーブルを通すプレートやクイックディスコネクト接続部の再接続を行っていると説明しています。
次回のウェットドレスリハーサルに先立ち、修理内容を確認するための試験も実施される予定だということです。
もし水素漏れの問題を抑え込むことができれば、アルテミスIIは早ければ3月6日に打ち上げられる見込みです。SLSにとって初の有人飛行となるこのミッションは、NASAのSLS計画にとって極めて重要な試験となります。

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