こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した惑星状星雲「ESO 456-67」。


いて座の方向、約1万光年先にあります。


赤いリングの中に切れ込みが入った青い球体が埋め込まれているような構造は、どこか動物の目を思わせます。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「ESO 456-67」(Credit: ESA/Hubble & NASA; Acknowledgement: Jean-Christophe Lambry)】

惑星状星雲とは、超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)が、恒星進化の最終段階で周囲に形成する天体です。


太陽のような恒星は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。やがて、ガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになります。


ちなみに、このタイプの天体を指す「惑星状」星雲という名前は、昔の望遠鏡で見た様子が惑星のようだったことから、当時の天文学者たちによって名付けられました。実際は惑星とは関係のない天体です。


ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、この画像ではESO 456-67の中心星から放出されたさまざまな物質が、幾重もの層をなしている様子がわかります。それぞれの層は、赤色、オレンジ色、黄色、緑色といった、異なる色で表されています。


伴星の有無が惑星状星雲の形に影響?

惑星状星雲の姿はさまざまです。単純な球形をしているものもあれば、楕円形のもの、2方向に物質を放出する双極性のもの、砂時計や8の字の形に見えるもの、さらには大規模な爆発の痕跡のように乱雑な形をしたものもあります。


これほど多様な構造が生まれる理由として、近年では伴星の関与が指摘されています。寿命を迎えた恒星が単独ではなく連星をなしていた場合、放出されたガスの広がり方に伴星が影響を及ぼすことで、時に芸術的な惑星状星雲の姿に結びつくと考えられています。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡にかつて搭載されていた「WFPC2(広視野惑星カメラ2)」のデータを使って作成されたもので、ESA/Hubbleから2013年2月25日付で公開されました。


本記事は2019年4月29日公開の記事を再構成したものです。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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