iPodの発案者「AppleはiPodを復活させるべき。理由は2つあるよ」
Apple(アップル)がiPodを正式に終了させてから早数年。
iPodの発案者で、「iPodの父」として知られるトニー・ファデルが、今こそAppleはiPodを復活させるべきだと勧めています。
テックジャーナリストのエリック・ニューカマーのPodcastに出演したファデルは、「iPodを内蔵したAirPodsを作ること」を提案。そこには大きく2つの理由があると言います。
ノスタルジアと「純粋さ」
1つ目の理由は、iPodがAppleへの「入口」だったという事実です。
ノスタルジックな観点から言えば、多くの人がApple製品に触れるきっかけとなったのがiPodだった、とファデル。当時のAppleはアメリカ内でわずか1%の市場シェアしかなく、Apple Storeもまだ存在していませんでした。多くの人はPCユーザーであり、Macを持っていなかった。
そんな中、最初に手にしたApple製品がiPodだったのです。 「iPodを覚えているよ、と思い出す人たちが、今また求めているものがある」とファデルは続けます。たしかに当時、Windowsを使っていた自分でも音楽プレーヤーとしてのiPodは欲しかったなぁ。 そして今ではすっかりMacユーザーです。
2つ目の理由が、「気を散らされたくない」という欲求。より現代的で本質的なものですね。
「音楽を愛する多くの人たちは、純粋な体験を求めているんだ」
スマートフォンには通知が溢れ、SNSが待ち構え、無数のアプリがアテンションを奪い合っているなかで、もう邪魔されたくない!という気持ちがあるのだろうと。
ここでホストから「私もレコードプレーヤーを買ったばかりなので、その気持ちはわかります」と共感を示されると、すかさずファデルはSONY(ソニー)の最近の動きを引き合いに出しました。
ソニーはテレビ事業で中国のTCLと合弁会社を設立する一方で、新型のレコードプレーヤーを2機種発表したのです。
Image: SONY
「ソニーはテレビを終わらせて、ターンテーブルを復活させた。これが何を意味するかわかるだろう?」とファデルは語りかけます。
一過性のトレンドではなく、人々がイマこそ求めているもの…その答えの1つとして、ファデルは「iPod機能を内蔵したAirPodsを作るような、もっとスマートな方法があるはずです。つまり、iPodを復活させるべきなんです」と話したわけです。
「AppleのCEOだったら何する?」という質問に
で、実はこの回答、iPodだけを聞かれたわけではなく、「もしあなたがAppleのCEOだったら何に注力しますか?」という質問からの流れだったんです。
まず挙げたのがモビリティの再定義。Apple Carプロジェクトが中止されたことは周知の事実ですが、ファデルの考えは違います。
「Appleは生活の特定の側面を再定義する会社だ。DTPを再定義し、音楽を再定義し、さまざまなものを。だからモビリティを再定義すべきだ」
ファデルが提案するのは従来の自動車ではありません。「14歳の子どもが使えて、ずっと使い続けたくなるような」軽量な二輪や三輪、あるいは四輪の乗りもの。
彼は2008〜2009年にスティーブ・ジョブズとAppleキャンパスを歩きながら、Apple Carについて議論したことを明かしました。ジョブズが本当に革命的だと考えていたのは、フォルクスワーゲン(民衆のための車)だったといいます。
「街中で使われる、次世代の民衆の車とは何か?
今、ヨーロッパではFiat Topolino(フィアット トッポリーノ)、Renault Twizy(ルノー トゥイージー)といった小型EVが飛ぶように売れている。それこそが“Apple的”な車の姿なんじゃないか」
さらに、「アクセサリーのラインナップはもっと拡充できるし、そこに注力すべき」と語ったうえで、その1つがiPodの復活だったわけです。
Image: generated at whisk
ちなみにスマートリングもさっさと作るべき、というのがファデルの主張。実はファデル自身、スマートリングで知られる「Oura Ring」が登場する4年も前に、「Motive」という会社でスマートリングを開発していたそう。すべての特許や基礎技術を持っていたものの、Appleから来たチームメンバーが「リング以外のウェアラブルを作りたい」と主張。
結局、Ouraがそれらの特許を買収し、今に至ります。 「Appleがリングについて考えていないとしたらクレイジーだ。彼らにとっては簡単すぎるくらい簡単なはずだ」 と発破をかけていました。
「CEOだったらやりたいことがたくさんあるよ」と笑うファデルも、Appleの次期CEO候補として名前が挙がっている人物でもあります。ティム・クック現CEOが退任する噂もあるなかで、有力候補はハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナスですが、ファデルもよく挙がる1人なのです。
実際、ファデルは「多くの現役社員や元Apple社員から連絡が来て、私をその気にさせてくれようとしている。それには『ありがとう』と言わせて」と笑顔で言明は避けつつも、「取締役会やティムから電話が来たら喜んで受け取るよ。どんな形であれ、彼らが必要とする助けを提供したい」とも。
「私はAppleを深く愛している。
1980年か81年に、初めてApple IIを手にしたときから、Appleは私の血の中にある」
……と、ちょっと話が広がりましたね。Appleがこういった提案を実際に受け入れるかどうかはわかりません。でも、次のApple基調講演で「One more thing…」と共にiPodが登場する、なんて想像もするのです。
Source: Newcomer Podcast via IT之家

