© SpaceX via NASA

無事に帰ってきて、地球でしっかり治療してほしいですね!

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している宇宙飛行士の1人に健康上の問題が生じたため、予定より早く地球へ帰還することになりました。これは国際宇宙ステーションの運用史上、初めてのケースです。

SpaceXのCrew-11には、NASAの宇宙飛行士ゼナ・カードマン氏とマイク・フィンケ氏、日本の宇宙飛行士である油井亀美也氏、そしてロシアの宇宙飛行士オレグ・プラトノフ氏が搭乗しています。NASAによると、Crew-11はアメリカ東部時間14日(水)の午後5時以降に国際宇宙ステーションを離脱する予定です。本来は2月中旬まで滞在する予定でしたが、1月7日に宇宙飛行士の1人が体調を崩したことを受け、早期帰還が決定しました。

NASAは体調不良となった宇宙飛行士の氏名や具体的な症状については公表していませんが、容体は安定していると説明しています。ミッションパイロットのフィンケ氏も、日曜日に投稿したLinkedInの投稿でNASAと同様の説明を改めて伝えました。

「何よりもまずお伝えしたいのは、私たちは全員無事ということです。クルーは皆、安定した状態で、安全に、十分なケアを受けています。地上でより精密な医療検査を受けるための判断でした。少し名残惜しさはありますが、正しい選択だったと思います」とフィンケ氏は述べています。

Crew-11、帰還準備へ

Crew-11は、15日(木)の午前3時40分ごろ(アメリカ東部時間)にカリフォルニア州沖へ着水する見込みですが、天候や海の状況によっては変更される場合もあります。より正確な時間や場所については、国際宇宙ステーションからの分離が近づいた段階で発表される予定です。

現在、4人の宇宙飛行士は宇宙服のフィット感や機能の確認、私物の整理など、帰還に向けた準備に取り組んでいます。その一方で、宇宙ステーションの日常業務も続けていて、宇宙服の整備や各種研究作業も行なっているとのことです。

Crew-11が国際宇宙ステーションを離れた後は、ロシアの宇宙飛行士セルゲイ・クド=スヴェルチコフ氏とセルゲイ・ミカエフ氏、NASAの宇宙飛行士クリス・ウィリアムズ氏は引き続き国際宇宙ステーションに滞在し、昨年11月下旬に始まった約6カ月間のミッションを継続していくとのこと。今週月曜日の午後には、ステーション司令官であったフィンケ氏が指揮権をクド=スヴェルチコフ氏へ引き継ぎました。

フィンケ氏は、「皆さんのこれまでの尽力と支え、そして一緒に取り組んだ素晴らしい科学と探査に心から感謝します。本当に楽しい時間でした。冗談の出来は今ひとつなものもありましたが、これからも挑戦し続けます」と、交代式でにこやかに語っています。

今回の医療対応が起こる前、フィンケ氏はカードマン氏とともに自身10回目となる船外活動の準備を進めていました。この船外活動が実現していれば、NASAの宇宙飛行士として最多船外活動回数でペギー・ウィットソン氏と並ぶ予定でした。

暫定的な帰還スケジュール

ハッチ閉鎖からクルードラゴンの分離、再突入までを含むCrew-11帰還の様子は、NASAのライブ中継で見られるとのことです。配信先の詳細はまだ発表されていませんが、NASAプラスやNASAの公式YouTubeチャンネルをチェックしておくのがベストですね。

現時点で想定されている中継スケジュールは以下の通りです。時間はすべてアメリカ東部時間です。

1月14日 水曜日

午後3時(日本時間15日午前5時):ハッチ閉鎖の中継開始午後3時30分(日本時間15日午前5時30分):ハッチ閉鎖午後4時45分(日本時間15日午前6時45分):分離の中継開始午後5時(日本時間15日午前7時):ISSから分離

1月15日 木曜日

午前2時15分(日本時間15日午後4時15分):帰還中継開始午前2時50分(日本時間15日午後4時50分):減速噴射午前3時40分(日本時間15日午後5時40分):着水午前5時45分(日本時間15日午後7時45分):地球帰還後の記者会見

着水地点にはSpaceXの回収船が待機していて、ドラゴンカプセルと宇宙飛行士たちを迎えます。これまでと同様、船内には医療スタッフが同乗し、カプセルから出た宇宙飛行士たちの健康状態を確認することになります。

ずっと準備・訓練してきたからできたこと

NASAは、25年前に最初の国際宇宙ステーションへ宇宙飛行士を送った当初から、このような事態を想定した準備を進めてきました。今回初めて、医療目的による早期帰還となったことは、国際宇宙ステーションの安全性の高さを物語っています。

NASAの主任健康医療責任者であるジェームズ・ポーク医師によると、統計的には約3年に1度の頻度で起こり得る事象だとのことです。とはいえ、今回のCrew-11の帰還は、有人宇宙飛行では万が一に備えた体制や対応手順がどれほど大切かを改めて感じられる出来事ですし、NASAの避難手順が実際にどのように機能するのかを見られるいい機会にもなったのかもしれませんね。