「カジュアルやレディース分野を強化」AOKI・青木彰宏の『新需要掘り起こし』策
「われわれが目指すのはカジュアルやレディース分野への本格的な拡張。単にカジュアルやレディース分野に挑戦するのではなく、カジュアルやレディース市場に程よい〝きちんと感〟のあるスタイルと新たな価値を創造していく」
こう語るのは、AOKI会長兼社長の青木彰宏氏。
紳士服大手のAOKIが祖業のファッション事業で、カジュアル・レディース分野を強化し、〝脱・紳士服依存〟を進めている。
カジュアル強化の代表例が、コロナ禍で開発された『パジャマスーツ』。在宅勤務時に簡単に羽織れるスーツで、2020年11月の発売から累計75万着を販売するヒット商品になった。レディースでは昨年10月、洗えて、シワになりにくいなど、仕事も家庭も充実させたい女性向けて、新たに『MeWORK』をブランド化。新たなコーディネートを提案している。
こうした施策により、同社は現在、ビジネス(メンズ)・レディース・カジュアルでおよそ〝7割・2割・1割〟の売上比率を、今後はカジュアル・レディース分野を強化することで〝4割・3割・3割〟としたい考えだ。
背景にあるのは、大きな社会変化。近年は働き方改革の一環で、年間を通じてカジュアルな服装での勤務を認める企業が増加。2020年のコロナ禍以降はテレワークやオンライン会議が一気に浸透し、スーツの需要が急減した。
ただ、青木氏曰く、「かつてのスーツ一択という常識は過去のものとなった。しかし、服装の自由化は皮肉にも服選びのストレスという新たな不自由を生み出している」という。
同社が20代から60代までの男女ビジネスパーソン1千人に調査したところ、「出社にあたり、楽な格好がいいが、だらしなくは見られたくない」とか「何を着るべきか悩む」といった答えが多かった。
そこで同社が出した結論が、従来のスーツほど堅くなく、ゆるすぎない、程よい〝きちんと感〟を持つ服装。『SUITing(スーティング)』という新たな概念を打ち出し、自由にスーツのコーディネートを楽しめるよう、新たな提案をしようとしている。
「われわれの強みはスーツをつくる力と販売する力。時代の変化、働くスタイルの変化に伴い、スーツの力をカジュアルとレディースに転用させていくのがスーティング。このスーティングという概念は、AOKIの成長戦略そのもの。今までは1品単価でとっていたものを、組み合わせによって買い上げ点数を増やしていきたい」(青木氏)
すでに東京・銀座の旗艦店、銀座本店をリニューアル。レディースの売り場を約1・7倍にするなど、カジュアル・レディースの売り場面積を拡大した。今後は銀座本店同様、2028年度までに既存店200店舗の改装を行う考えだ。
もちろん、カジュアルやレディース領域であっても、衣料品業界の競合は多く、生き残りは容易ではない。そうした中、新たな需要の掘り起こしで、生き残りを図るAOKIである。
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