伊坂幸太郎の最新長編ミステリー『さよならジャバウォック』発売ーー「この結末は誰にも言わないで!」
伊坂幸太郎の『さよならジャバウォック』が10月22日に双葉社より発売された。
2000年のデビュー作『オーデュボンの祈り』以来、軽妙な語り口と緻密な構成で読者を魅了してきた伊坂にとって、本作は25周年を迎える節目の書き下ろし作品となる。
物語は「夫は死んだ。死んでいる。私が殺したのだ」という一文から始まる。暴力をふるう夫を手にかけた女性・量子は、幼い息子が帰宅するまでのわずかな時間に、現実と向き合おうとする。そこへ大学時代の後輩が現れ、「問題が起きていますよね?」と告げる。日常と非日常の境界がゆらぐ中で、読者は何が真実で何が虚構なのかを見失っていく。
作中では、家庭内の暴力、孤立、そして「現実が少しずつずれていく」ような不安感が重層的に描かれている。タイトルの“ジャバウォック”は、ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』に登場する怪物の名でもあり、現実に潜む得体の知れない恐怖や混沌を象徴しているようにも読める。
伊坂はこれまで、社会の不条理や人間の偶然を軽やかな語りで描いてきた。本作ではその語りがより静かで冷徹なトーンに変化し、読者を混乱とともに物語の深部へと導く。「いったい何が起きているのか」という問いを軸に、虚実の境界を行き来する構成は、これまでの伊坂作品の中でも異色の仕上がりだ。
デビュー25周年を記念する『さよならジャバウォック』特設サイトでは、「冒頭試し読み」や「著者インタビュー」、「綾辻行人さんコメント」や「スペシャルPV」など、作品の世界観が垣間見えるコンテンツを続々公開中だ。
■あらすじ結婚直後の妊娠と夫の転勤。その頃から夫は別人のように冷たくなった。彼からの暴言にも耐え、息子を育ててきたが、ついに暴力をふるわれた。そして今、自宅マンションの浴室で夫が倒れている。夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。もうそろそろ息子の翔が幼稚園から帰ってくるというのに…。途方に暮れていたところ、2週間前に近所でばったり会った大学時代のサークルの後輩・桂凍朗が訪ねてきた。「量子さん、問題が起きていますよね? 中に入れてください」と。
■伊坂幸太郎 コメント「いったい何が起きているのか?どうなっているの?」と思いながら、最後には想像しなかったところに着地する。僕が書きたい小説はずっとそうで、それが僕なりのミステリーだと思っています。デビュー25年目にまだこういう小説を完成させられて達成感があります!!この結末は誰にも言わないで!───伊坂幸太郎
(文=リアルサウンド ブック編集部)
