「トラック運送業界」の倒産

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「トラック運送業界」倒産動向

 国内物流の主力を担うトラック運送業界で、今年度に入り倒産が多発している。トラックやバンを使用して荷物を運送し、運賃を受取る「トラック運送(一般貨物自動車運送)」会社の倒産は、2022年4-9月で99件発生した。前年同期(65件)から約1.5倍と急増しており、4-9月期では過去5年で最多。燃料価格が大幅に上昇した14年度以来、8年ぶりの高水準で推移しているほか、SEHIRO(4月破産、負債約18億6000万円)など大型倒産も発生した。

 トラック運送ではかねてからドライバー不足といった課題を抱える一方、ウクライナ侵攻以後の燃料コスト上昇と進まない運賃への価格転嫁など、折り重なる負担増に苦しむ。トラックの燃料となる軽油価格は今年に入り一時150円を超え、1年間で約20円上昇するなど急騰。一方で、収入となる成約運賃指数は近年ほぼ横ばい状態で推移しており、軽油価格の高騰に運賃上昇が追い付いていない。下請関係が多層に連なる同業界では「価格転嫁を認めてもらえない」といった訴えも相次いでおり、燃料コストが上昇したことで運賃交渉をしたものの不調に終わり、収益性の悪化に伴い倒産を余儀なくされた運送会社も複数発生した。

 こうした業界の構造的な問題に加え、ドライバーの時間外労働を年間960時間に規制する「2024年問題」がトラック運送業界に迫る。多くのトラック運送会社が「今まで運べていたものが運べなくなる」ことで売上減少が想定されるほか、委託ドライバーを使用する会社ではインボイス制度対応による税負担の増加など課題は多く残る。対応できない中小零細のトラック運送業者ではM&Aによる再編や優勝劣敗が加速度的に今後進んでいく可能性がある。