平均月給は28万円弱…日本のサラリーマン「唖然の手取り額」

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厚生労働省のレポート「令和2年賃金構造基本調査」によると、日本のサラリーマンで、いわゆる平社員の平均給与(所定内給与額)は27万8400円(平均年齢40.7歳、平均勤続年数10.2年、平均所定内実労働時間165時間、超過実労働時間平均11時間)。手当や賞与などを加味すると、平均年収は442万6800円となる。税率は高くなり、物価も上がるなか、どのような生活をしているのか。

手取りにすると「月収約24万円」という悪夢

日本のサラリーマン、平社員の平均月給27万8400円は、手取りにすると約24万円となる計算だ。「老後2000万円不足する」「いや、余裕がある暮らしいは3500万円は必要だ」などと言われるなか、コツコツと貯蓄するにあたっても、あまりにも少ない。

厚生労働省は「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定) を踏まえ、副業・兼業の普及促進を図っている。令和2年9月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定された。

ガイドラインには、副業・兼業の促進の方向性に関して、

“労働者が副業・兼業を行う理由は、収入を増やしたい、1つの仕事だけでは生活できない、自分が活躍できる場を広げる等さまざまであり、業種や職種によって仕事の内容、収入等も様々な実情があるが、自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したい、スキルアップを図りたいなどの希望を持つ労働者がいることから、こうした労働者については、長時間労働、企業への労務提供上の支障や業務上の秘密の漏洩等を招かないよう留意しつつ、雇用されない働き方も含め、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である。”

と書かれており、「収入を増やしたい」「1つの仕事だけでは生活できない」という労働者の切実な思い(それは切迫した家計によるものであろう」が、理由としてまずあげられていることに注目される。

実際、生活にはどのくらい余裕がないのであろうか。家賃は収入の25%〜30%くらいで設定することが貯蓄のポイントとしてよく言われる話ではあるが、手取りを約24万円とすると、6万円〜7万2000円……都内では1Kでも厳しいところがある。これに食費・光熱費・スマホ代と加わってくるわけだから、自由に使えるお金などまるでなく、貯蓄などはしたくてもできないジリ貧の状況が続く。つみたてNISAやiDeCoなど税メリットのある制度を国が用意しても、そもそもカツカツに節約してようやく生活が成り立つ収入であるわけだから、投資資金などは準備できるわけがない。

お金もないが、時間もない…サラリーマンの実態

ならば、と副業・兼業が推進されているわけだが、そもそも日本のサラリーマンは「時間がない」のも実情だ。働いた分、稼ぎが増えるならばいいが、大手でなければいまだにサービス残業のような風習は根強い。文京区に勤務する30代の安西さん(仮名)はこう語る。

「給与にみなし残業が含まれているので、残業代をもらったことはありません。タイムカードも手書きで上長がチェックする雑なものなので、なんとか時間内におさまるように適当に記入するのに、また頭を使って時間をかける……という本末転倒な状況になっています」

労働基準監督署に訴えるという方法は取れないのだろうか。

「労基に訴えて、我々の労働環境が是正されたところで、今度は会社がうまく回らなくなるのは目に見えています。それでは自らの首をしめるようなものです。転職をしたいと考えていたこともありましたが、コロナ禍でいつの間にか人材市場は買い手市場になってしまいました。生活は苦しいですが、動くことで今よりよくなる見込みがありません」

政府は「副業・兼業」も推進しているが。

「仕事もプライベートも、今あることをただただ懸命にこなすことで、なんとか生活できているという状況です。副業をする時間など捻出できません。片手間にやって成功するものでもないでしょうし、そもそもうちの会社が副業を認めているかどうかもわかりません。もし少しの稼ぎがそれでできたとしても、今度は確定申告をやらなければならなくなるでしょう。会社から提出を要請される年末調整の書類でさえ記入するのに精一杯なんです。よほど大きく儲かる見込みがなければ、費用対効果も合わないと思います。疲労が蓄積し、仕事にも影響が出て、会社にも迷惑がかかります」

「働き方改革」は誰にとっても「人ごとではない」

「お金がない」というリアル

会社での労働で忙しく、副業などする時間はないという安西さん(仮名)。政府は「働き方改革」も進めているがその実感はない。

厚生労働省のホームページには、「働き方改革の目指すもの」として、下記のように書かれていた。

“我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。”

政府の取り組みをみるかぎり、日本は、超少子高齢化という問題を抱えるなか、「企業で働く」ことだけでは、個人が満足に生活できない社会に突入しているようだ。安西さんのように「とはいえ動けない」労働者も、「動かざるをえない」状況にまで追い込まれる日は近いかもしれない。