年末年始も混雑が予想されているが……(写真:時事通信)

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「何としても緊急事態宣言を出すような状況を避けるために、事業者や国民の協力をお願いしたい」

12月18日の会見でこう語ったのは、西村康稔経済再生担当大臣(58)。その前日、新型コロナウイルスの一日あたりの新規感染者は全国で3,155人と過去最多を更新。止まらぬ第3波の拡大に警戒感が強まっている。

たしかに年末年始は帰省ラッシュだけでなく、新春イベントも目白押し。新型コロナウイルスへの感染リスクも高まることが予想される。政府は帰省の延期も呼びかけているが、人の流れが完全に止まるとは考えづらい。

そこでこの時期に気をつけるべきポイントを、専門家に聞いた。

まず年末に駆け込みがちな(1)銀行、(2)郵便局、(3)ATM。「年末休業の前に」と考える人たちが行列を作るため、危険地帯になりやすい。感染制御学に詳しい愛知県立大学の清水宣明教授が指摘する。

「空気がこもる、滞留する、よどんでいるところに対して敏感になってください。そこに不特定多数の人がいると、注意が必要です。そういう意味でもATMは混み合うことが予想されるので、長時間の滞在は避けたいところ。密だと思ったら、空いている別のATMを探したほうが無難です」

帝京大学大学院公衆衛生学研究科の高橋謙造教授もこう語る。

「銀行や郵便局は、いつも年末になると混み合います。店舗に入る前に検温や消毒を行う場所も多いですが、入口部分で密集が発生しますよね。そのため担当スタッフの方々が行列に先回りしてソーシャルディスタンスを確保したり、検温や消毒をして回ったりすることが重要です。

客側も、人の流れが滞っている場所には近づかないという意識を持つべきです」

年末の買い出しでは(4)デパートや(5)スーパーも特に注意が必要だ。

「デパートやスーパーなどは密集しやすい環境なので、通常よりも注意が必要です。新型コロナウイルスは基本的には感染していくため、どうしても外出しなければならない場合はマスク着用を徹底しましょう」(高橋教授)

また、帰省や正月旅行での移動も要注意。(6)地下鉄、(7)新幹線、(8)車、(9)サービスエリア(SA)なども高リスク地帯だという。

「電車内での感染でいえば、地下鉄などは空気が滞留しやすい。混み合っていると3密状態になりますし、換気もしにくいので好ましくありません。

新幹線では座席を向かい合わせにして、マスクもせずに会話する光景を目にします。これは、かなり危険な行為です。車両は換気しやすいドアまわりや、風が流れやすい後方に座ることをおすすめします」(高橋教授)

車やSAについては、清水教授がこうアドバイスする。

「心配なのは車での移動。家族以外の友達同士といった乗り合わせは注意が必要です。遠出の際は換気すること。暖房効率は落ちますが、エアコンで外気を取り入れることもできます。後部座席の窓も、少しでもいいので開けましょう。

またSAのフードコートは、今の時期だと閉め切っていることも多いはず。人が集まる場所ですし、長時間滞在は心配です。休憩するときは、短時間ですませるようにしてください」

そして年が明けると初詣でに出かけるのは、(10)神社仏閣だ。

「神社やお寺には屋台なども並ぶでしょうし、賽銭箱に並ぶ行列で人の流れが滞りやすいでしょう。そのため、出かける際はできるだけ身の回りのスペースを確保すること。また消毒のための除菌グッズを携帯することをおすすめしたいです」(高橋教授)

「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載