羽生結弦氏が言う「下で回る」とはどういうことかをしばし考えた結果、そこで言葉を区切ったら不十分かもしれないと思い至った件。
「下で回るジャンプ」って何だろう!?
フィギュアスケートGPシリーズ・スケートカナダを終えてから、僕はひとつの言葉と向き合っていました。試合後の取材で羽生結弦氏が発した「下で回る」という言葉です。複数のメディアが同じ取材を書き起こし、共通して登場する表現であることからして、羽生氏は確かに「下で回る」と言ったのでしょう。これはフィギュア界では聞き慣れない表現、率直に言って初耳の言葉でした。
↓最近は「正確に一言一句をそのまま載せようとする」メディアが多くて助かります!
「下で回る」とは面白い表現!
聞いたときにまず自分の解釈としては、プレローテーションいわゆる「プレロテ」のことだろうと理解しました。フィギュアスケートでジャンプを跳んだとき、着氷時に回転が足りていないことを指摘する「回転不足」「アンダーローテーション」といった概念はだいぶ定着してきていますが、「プレロテ」はそれらとは逆に離氷時に「あらかじめ回っておく」行為のことです。
「空中で3回まわっている」というイメージで見られるジャンプも、離氷する前にグリッとまわしておけば「空中でまわす量」は少なくて済みます。確かにこうしたジャンプは見受けられます。通常の速度ではなかなか気づきませんが、スローで再生すれば「後ろ向きで踏み切るはずのジャンプが、実際には2分の1回転程度氷上でまわって前向きに踏み切っている」というケースも見られます。
これはテクニカルパネルハンドブックにおいては「Cheated take-off」と定義されており、「A clear forward (backward for Axel type jump) take-off will be considered as a downgraded jump.」つまり完全に反対向きまでまわってから跳んだら違反ですよと記されています。「3回まわっている」が重要なのですから、跳ぶ前の半回転はなるほど「Cheat」だろうと思います。ジャンプじゃなくてスピンじゃん、と。
しかし、必ずしも厳密に罰しようという意図はテクニカルパネルハンドブックの記載からは感じられません。そもそも半回転まで許容している点もそうですし、テクニカネルパネルが裁く際にも「映像を通常速度で再生すること」とされています。要するに「パッと見でヘンじゃなければいいよ」ということです。これはおそらくは大なり小なりジャンプにはプレロテがつきものであるという現実を鑑みつつ、厳密さよりも「パッと見の回転数」を求めているということなのでしょう。かつてはジャンプのプラス評価の基準に存在していた「ディレイ(※跳んでからまわる)」の項目が削除されたのも、そういうメッセージなのでしょう。
通常速度で見ている会場のお客様には、それがプレロテかどうかはまずわかりません。着氷時の「グリッ」は転倒しないようにスピードを緩めながらの状況ですので比較的目立ちますが、離氷時はスピードにも乗っており目立ちづらいもの。そして、そもそも着地を見る人は多いけれど跳び出しを見る人は少ないものです。体操でも着地は熱心に見ますが、跳び出しはそんなに気にしないでしょう。次の回転を見るのが忙しくて。
「どうせみんな気にしてないなら、パッと見の回転数多いほうがよくない?」
という考えかたがあり得ることは、理解はできます。3回転しかしないスポーツより、4回転するスポーツのほうがスゴそうですから。客受けもするでしょうから。その意味ではプレロテというのは半ば公然の秘密となっている「技術」なのかもしれないなと思います。古典的な考え方からすればズルいとは思いますが、「全員がそれをやってOKとなっている状況であるならば、より回転できるルールのほうがいいよね」は考えかたとしてはあり得るでしょう。
かつてスキージャンプでは「V字飛行」というテクニックが悪とされた時代がありました。伝統的な跳び方と違う、スキーを開いて不格好だということで飛型点をマイナスされていたのです。しかし、V字のほうが圧倒的に遠くまで飛べるという現実が、じょじょにそのテクニックを善へと変えていき、いつしか飛型点のマイナスはなくなりました。同じように「ジャンプの回転数増やせるならアリにしようぜ!」という考え方はあるかもしれません。いやすでに現時点で「半回転まではOK!」と解禁されているのかもしれないなと思います。
↓古典的な跳びかたに正当さを感じる自分は時代遅れなのかもしれないが…。
お客様が気にしなければOK!
たくさんまわれるほうが正義!
プレロテというのは一部では頻繁に使用される言葉ですので、その概念を言いたいのであればそのまま「プレロテ」と言えばよいはず。当初は「プレロテという表現自体に非難めいたニュアンスがあるから避けたのかな」と思っていたのですが、あとから結局「正しいジャンプなのか」という疑義を添えるなら、ボカす必要もなく「プレロテ」と言ってもよかったはずです。
ここからは僕の想像ですが、羽生氏が「下で回る」と別の言葉で言うのなら、それは「プレロテ」とは少し違うのだろうと思います。羽生氏の言葉に対する感覚は非常に鋭敏で繊細であり、僕はそれを強く信頼しています。数々の企業リリースに難癖をつけてきた僕ですが、羽生氏の言葉には深い思慮を常に感じています。その人が「下で回る」と言うのなら、プレロテと完全にイコールではない、ほかの意味があるはずです。
そもそも羽生氏は「下で回る」ことの何に疑義を呈しているのでしょうか。
前後をよく読んでいくと、羽生氏が自分のジャンプの武器としてとらえ、評価されるかどうか懸念していたのは「ジャンプでも表現できる」「音に合わせた状態で難しいことをやった」「ステップから跳んだジャンプだったり」「ジャンプ終わったあとにステップをやったり」という部分であることが示されています。
そして最大の問題提起となるのは「高難度のジャンプに傾倒していって、PCSとの比率がだんだん合わなくなってきてる」という部分でしょう。高難度ジャンプの素晴らしさは認めつつも、ジャンプを音楽に調和させ、表現のなかに織り込んでいくことが大事であるはずだと。全体がひとつながりになるなかで、ジャンプも表現の一部として組み込まれている、そんな技術や構成に重きを置いているのだと。ジャンプ合戦じゃないんだよと。
羽生氏の問題提起は、必ずしも「プレロテ否定」のためだけの問題提起ということでは、おそらくないのです。自分が古典的な「跳んでからまわる」タイプであり、下で回ることに一言申したい気持ちもあるけれど、もっと大きな問題提起として「ジャンプ跳ぶ前に凄い固まって静止状態から下で回りながらジャンプを跳ぶ」という全体に対して「正しいジャンプなのか」と問うているのです。すなわち、「高難度ジャンプだけに傾倒して表現をおろそかにし、演技がジャンプの準備になっていませんか」という疑義なのです。
それは一問一答の後半にある「凄くざっくり言えば、つなぎをだいぶ外そうかなという風に思っていたのと。やっぱりジャンプの確率を上げるためにはスピード落として、しっかり静止した状態から態勢を整えてから跳ぶという方が明らかに確率上がりますし、力も使えるので。ジャンプ自体も高くなったり、幅が出たりということもあったんだと思います。ただそれをしようと思ったんですけど、僕にはやっぱりその道ではないなということ感じながら、このスケートカナダに来ていて」と対になっているのでしょう。
「凄い固まって」=「しっかり静止した状態」はそのまま同じことです。
としたとき、「下で回る」のヒントとなるのが「態勢を整えてから」という部分だろうなと思います。
つまりは「下で回る」とは「プレロテ」「跳んでからまわるではない」という最終局面だけでなく、「表現やつなぎを止めて、ジャンプの回転の態勢を整えるだけになる」ということを含めて言っているのだろうと思うのです。プレロテをしているかしていないかだけではなく、高難度ジャンプさえ跳べば勝てるので「ジャンプの態勢づくり」ばかりになっていやしませんか?と。
本来であれば古典的なイメージ通りに「跳んでからまわる」が正しいはずです。そのために大きく広げた手と身体をギュッと細く絞って、鋭い回転を生んでいるのです。古典的な「跳んでからまわる」をやっている選手は。だからこそ、踏み切る直前までさまざまなステップやターンを入れたりすることができるのです。跳んでからまわるので。態勢づくりだけしているわけではないので。
これが「凄い固まって静止状態から下で回る」選手の場合は、より高く跳ぶために身体を固めていたり、より強く速い回転を生むために事前に身体を反対のほうにねじってチカラをためていたり、何なら先にまわし始めたりすると。準備をすること自体ではなく、それによって表現やつなぎがおろそかになること、おろそかにしても点数が取れてしまうこと、ひいては「フィギュアスケート自体がつまらなくなる」ことを、より大きな視点から懸念しているのだろうなと僕は解釈するのです。
だから、「プレロテ」とは言わず「下で回る」と言ったのかなと。
↓「凄い固まって静止状態から跳ぶ」のは練習まで!
準備万端で跳ぶのではなく、パッと跳ぶ!
練習では沈み込むようにしてフォームを確認したけれど、それは本番用ではなくあくまでも練習だから!
↓世界最高の「4T+1Eu+3F」も準備万端でなくとも一歩で3Fにつなげるからこその技!
よくある「4T+1Eu+3S」だと、つなぎのオイラージャンプのあとに「両足滑走」がはさまるから跳びやすい!
でもこの組み合わせは「右足で片足着氷」「オイラージャンプをはさみ左足で片足着氷」「すぐに右足をついてフリップ」とスキップするみたいにずっと片足で動いてる!
「プレロテ」追及モードで見てしまうと、やれあの選手はとか、やれあのグループはとかなりがちです。古典的な考えかたからすると、あまりよろしくはないと思います。ただ、氷上で半回転していたとしても、4回転に見えるものを跳べるのはスゴいことですし、すごいテクニックだとは思いますし、それが現状認められている以上は否定しきれるものでもないでしょう。
古典派としては「?」とは思いますが、もしかしたら自分の好みは時代と逆行しているかもしれないわけで。
意外に世間は「ん?まぁいいんじゃん、パッと見まわってれば」かもしれないわけで。
多くの回転系の競技では、プレロテに相当する行為をすると単純にスピードが落ちるので跳んでからまわっていますが、氷みたいにツルツル滑るものの上であればプレロテもするのかもしれません。ある意味では「跳ぶ」と「まわる」を一体化させた、フィギュアスケートならではのスゴい技術なのかもしれません。ピザ作りだってまわしながら跳ばすのは簡単ではありませんし。
ただ、それを認めていくのが時代のトレンドであったとしても、そうではない別の部分で素晴らしさを表現している選手がいたなら、それも評価してこそ「ジャンプ合戦」だけではない「フィギュアスケート」というものがあるはずです。観衆だってジャンプだけ見ているわけではないのです。ジャンプ以外がつまらなかったら、アイスショーは冷え冷えなのです。
「高難度ジャンプは見たい」
「でも、それ以外も見たい」
その点については古典派もそうじゃない派も一致できる部分だと思いますので!
高難度ジャンプも舞踏も、全部をやり切った人が一番である競技であれ!
フィギュアスケートGPシリーズ・スケートカナダを終えてから、僕はひとつの言葉と向き合っていました。試合後の取材で羽生結弦氏が発した「下で回る」という言葉です。複数のメディアが同じ取材を書き起こし、共通して登場する表現であることからして、羽生氏は確かに「下で回る」と言ったのでしょう。これはフィギュア界では聞き慣れない表現、率直に言って初耳の言葉でした。
もちろん、4回転ルッツが本当に難しいのかと言われたら、やろうと思えばみんな跳べるのかもしれないですし。それはもうタイプによりけりですし。僕はどう頑張って練習しても下で回ることができないので。昔からそういうジャンプじゃなかったので。なかなか4回転ルッツに対してのルッツのジャンプじゃないのかもしれないですけど。
ジャンプ跳ぶ前に凄い固まって静止状態から下で回りながらジャンプを跳ぶことが果たして正しいジャンプなのかどうかというのと。例えば、ステップから跳んだジャンプだったり、ジャンプ終わったあとにステップをやったりとか、そういうものが果たして全部評価されきれているのかということとかに関して凄く疑問を持っていたんですね、ずっと。#羽生結弦 と一問一答? 自己最高得点も「全然、伸びしろはあると思います」https://t.co/1TAizOj4pV
- スポニチ記者ツイート スポーツ (@sponichisports) October 28, 2019#羽生結弦 と一問一答?「自分は羽生結弦なんだって言い聞かせながらまた練習したい」https://t.co/kFGOO05wHJ
- スポニチ記者ツイート スポーツ (@sponichisports) October 28, 2019
「下で回る」とは面白い表現!
これはスケートならではの言葉かもしれませんね!
これはいわゆる「プレロテ」のことなのだろうか?
聞いたときにまず自分の解釈としては、プレローテーションいわゆる「プレロテ」のことだろうと理解しました。フィギュアスケートでジャンプを跳んだとき、着氷時に回転が足りていないことを指摘する「回転不足」「アンダーローテーション」といった概念はだいぶ定着してきていますが、「プレロテ」はそれらとは逆に離氷時に「あらかじめ回っておく」行為のことです。
「空中で3回まわっている」というイメージで見られるジャンプも、離氷する前にグリッとまわしておけば「空中でまわす量」は少なくて済みます。確かにこうしたジャンプは見受けられます。通常の速度ではなかなか気づきませんが、スローで再生すれば「後ろ向きで踏み切るはずのジャンプが、実際には2分の1回転程度氷上でまわって前向きに踏み切っている」というケースも見られます。
これはテクニカルパネルハンドブックにおいては「Cheated take-off」と定義されており、「A clear forward (backward for Axel type jump) take-off will be considered as a downgraded jump.」つまり完全に反対向きまでまわってから跳んだら違反ですよと記されています。「3回まわっている」が重要なのですから、跳ぶ前の半回転はなるほど「Cheat」だろうと思います。ジャンプじゃなくてスピンじゃん、と。
しかし、必ずしも厳密に罰しようという意図はテクニカルパネルハンドブックの記載からは感じられません。そもそも半回転まで許容している点もそうですし、テクニカネルパネルが裁く際にも「映像を通常速度で再生すること」とされています。要するに「パッと見でヘンじゃなければいいよ」ということです。これはおそらくは大なり小なりジャンプにはプレロテがつきものであるという現実を鑑みつつ、厳密さよりも「パッと見の回転数」を求めているということなのでしょう。かつてはジャンプのプラス評価の基準に存在していた「ディレイ(※跳んでからまわる)」の項目が削除されたのも、そういうメッセージなのでしょう。
通常速度で見ている会場のお客様には、それがプレロテかどうかはまずわかりません。着氷時の「グリッ」は転倒しないようにスピードを緩めながらの状況ですので比較的目立ちますが、離氷時はスピードにも乗っており目立ちづらいもの。そして、そもそも着地を見る人は多いけれど跳び出しを見る人は少ないものです。体操でも着地は熱心に見ますが、跳び出しはそんなに気にしないでしょう。次の回転を見るのが忙しくて。
「どうせみんな気にしてないなら、パッと見の回転数多いほうがよくない?」
という考えかたがあり得ることは、理解はできます。3回転しかしないスポーツより、4回転するスポーツのほうがスゴそうですから。客受けもするでしょうから。その意味ではプレロテというのは半ば公然の秘密となっている「技術」なのかもしれないなと思います。古典的な考え方からすればズルいとは思いますが、「全員がそれをやってOKとなっている状況であるならば、より回転できるルールのほうがいいよね」は考えかたとしてはあり得るでしょう。
かつてスキージャンプでは「V字飛行」というテクニックが悪とされた時代がありました。伝統的な跳び方と違う、スキーを開いて不格好だということで飛型点をマイナスされていたのです。しかし、V字のほうが圧倒的に遠くまで飛べるという現実が、じょじょにそのテクニックを善へと変えていき、いつしか飛型点のマイナスはなくなりました。同じように「ジャンプの回転数増やせるならアリにしようぜ!」という考え方はあるかもしれません。いやすでに現時点で「半回転まではOK!」と解禁されているのかもしれないなと思います。
↓古典的な跳びかたに正当さを感じる自分は時代遅れなのかもしれないが…。
お客様が気にしなければOK!
たくさんまわれるほうが正義!
古典的な客が少数派ならば、そうなるでしょう!
では、「プレロテ」という言葉があるのに「下で回る」という新しい表現をしたのは何故だろう?
プレロテというのは一部では頻繁に使用される言葉ですので、その概念を言いたいのであればそのまま「プレロテ」と言えばよいはず。当初は「プレロテという表現自体に非難めいたニュアンスがあるから避けたのかな」と思っていたのですが、あとから結局「正しいジャンプなのか」という疑義を添えるなら、ボカす必要もなく「プレロテ」と言ってもよかったはずです。
ここからは僕の想像ですが、羽生氏が「下で回る」と別の言葉で言うのなら、それは「プレロテ」とは少し違うのだろうと思います。羽生氏の言葉に対する感覚は非常に鋭敏で繊細であり、僕はそれを強く信頼しています。数々の企業リリースに難癖をつけてきた僕ですが、羽生氏の言葉には深い思慮を常に感じています。その人が「下で回る」と言うのなら、プレロテと完全にイコールではない、ほかの意味があるはずです。
そもそも羽生氏は「下で回る」ことの何に疑義を呈しているのでしょうか。
前後をよく読んでいくと、羽生氏が自分のジャンプの武器としてとらえ、評価されるかどうか懸念していたのは「ジャンプでも表現できる」「音に合わせた状態で難しいことをやった」「ステップから跳んだジャンプだったり」「ジャンプ終わったあとにステップをやったり」という部分であることが示されています。
そして最大の問題提起となるのは「高難度のジャンプに傾倒していって、PCSとの比率がだんだん合わなくなってきてる」という部分でしょう。高難度ジャンプの素晴らしさは認めつつも、ジャンプを音楽に調和させ、表現のなかに織り込んでいくことが大事であるはずだと。全体がひとつながりになるなかで、ジャンプも表現の一部として組み込まれている、そんな技術や構成に重きを置いているのだと。ジャンプ合戦じゃないんだよと。
羽生氏の問題提起は、必ずしも「プレロテ否定」のためだけの問題提起ということでは、おそらくないのです。自分が古典的な「跳んでからまわる」タイプであり、下で回ることに一言申したい気持ちもあるけれど、もっと大きな問題提起として「ジャンプ跳ぶ前に凄い固まって静止状態から下で回りながらジャンプを跳ぶ」という全体に対して「正しいジャンプなのか」と問うているのです。すなわち、「高難度ジャンプだけに傾倒して表現をおろそかにし、演技がジャンプの準備になっていませんか」という疑義なのです。
それは一問一答の後半にある「凄くざっくり言えば、つなぎをだいぶ外そうかなという風に思っていたのと。やっぱりジャンプの確率を上げるためにはスピード落として、しっかり静止した状態から態勢を整えてから跳ぶという方が明らかに確率上がりますし、力も使えるので。ジャンプ自体も高くなったり、幅が出たりということもあったんだと思います。ただそれをしようと思ったんですけど、僕にはやっぱりその道ではないなということ感じながら、このスケートカナダに来ていて」と対になっているのでしょう。
「凄い固まって」=「しっかり静止した状態」はそのまま同じことです。
としたとき、「下で回る」のヒントとなるのが「態勢を整えてから」という部分だろうなと思います。
つまりは「下で回る」とは「プレロテ」「跳んでからまわるではない」という最終局面だけでなく、「表現やつなぎを止めて、ジャンプの回転の態勢を整えるだけになる」ということを含めて言っているのだろうと思うのです。プレロテをしているかしていないかだけではなく、高難度ジャンプさえ跳べば勝てるので「ジャンプの態勢づくり」ばかりになっていやしませんか?と。
本来であれば古典的なイメージ通りに「跳んでからまわる」が正しいはずです。そのために大きく広げた手と身体をギュッと細く絞って、鋭い回転を生んでいるのです。古典的な「跳んでからまわる」をやっている選手は。だからこそ、踏み切る直前までさまざまなステップやターンを入れたりすることができるのです。跳んでからまわるので。態勢づくりだけしているわけではないので。
これが「凄い固まって静止状態から下で回る」選手の場合は、より高く跳ぶために身体を固めていたり、より強く速い回転を生むために事前に身体を反対のほうにねじってチカラをためていたり、何なら先にまわし始めたりすると。準備をすること自体ではなく、それによって表現やつなぎがおろそかになること、おろそかにしても点数が取れてしまうこと、ひいては「フィギュアスケート自体がつまらなくなる」ことを、より大きな視点から懸念しているのだろうなと僕は解釈するのです。
だから、「プレロテ」とは言わず「下で回る」と言ったのかなと。
「下で回る」は狭義のプレロテを含みつつ、もっと大きな視点で示された疑義なのかなと。
そんな風に思うのです。
そんな風に思うのです。
↓「凄い固まって静止状態から跳ぶ」のは練習まで!
準備万端で跳ぶのではなく、パッと跳ぶ!
練習では沈み込むようにしてフォームを確認したけれど、それは本番用ではなくあくまでも練習だから!
↓世界最高の「4T+1Eu+3F」も準備万端でなくとも一歩で3Fにつなげるからこその技!
よくある「4T+1Eu+3S」だと、つなぎのオイラージャンプのあとに「両足滑走」がはさまるから跳びやすい!
でもこの組み合わせは「右足で片足着氷」「オイラージャンプをはさみ左足で片足着氷」「すぐに右足をついてフリップ」とスキップするみたいにずっと片足で動いてる!
ここには「準備万端」なんてない!
いろんな個性を評価していきましょう!
「プレロテ」追及モードで見てしまうと、やれあの選手はとか、やれあのグループはとかなりがちです。古典的な考えかたからすると、あまりよろしくはないと思います。ただ、氷上で半回転していたとしても、4回転に見えるものを跳べるのはスゴいことですし、すごいテクニックだとは思いますし、それが現状認められている以上は否定しきれるものでもないでしょう。
古典派としては「?」とは思いますが、もしかしたら自分の好みは時代と逆行しているかもしれないわけで。
意外に世間は「ん?まぁいいんじゃん、パッと見まわってれば」かもしれないわけで。
多くの回転系の競技では、プレロテに相当する行為をすると単純にスピードが落ちるので跳んでからまわっていますが、氷みたいにツルツル滑るものの上であればプレロテもするのかもしれません。ある意味では「跳ぶ」と「まわる」を一体化させた、フィギュアスケートならではのスゴい技術なのかもしれません。ピザ作りだってまわしながら跳ばすのは簡単ではありませんし。
ただ、それを認めていくのが時代のトレンドであったとしても、そうではない別の部分で素晴らしさを表現している選手がいたなら、それも評価してこそ「ジャンプ合戦」だけではない「フィギュアスケート」というものがあるはずです。観衆だってジャンプだけ見ているわけではないのです。ジャンプ以外がつまらなかったら、アイスショーは冷え冷えなのです。
古典派もそうじゃない派も「プレロテ」という狭い部分だけでなく、大きな視野から「高難度のジャンプに傾倒していって、PCSとの比率がだんだん合わなくなってきてる」ことを考えていくべきでしょう。得点的にPCSよりも高難度ジャンプの比重が大きくなっていることや、高難度のジャンプが決まりさえすれば何故かつられてPCSも高く出てしまうこと、逆にジャンプの失敗がPCSにまで大きく影響してしまうことについて、本当にそれは「正しいのか」、そして「面白いのか」と。
「高難度ジャンプは見たい」
「でも、それ以外も見たい」
その点については古典派もそうじゃない派も一致できる部分だと思いますので!
高難度ジャンプも舞踏も、全部をやり切った人が一番である競技であれ!
外部サイト
さまざまなジャンルのスポーツを"お茶の間"目線で語る人気のコラム

