前妻が寝ていたベッドで眠る女。20歳年上のバツイチ男と結婚した、セレブ妻の後悔
−この結婚、本当に正解だった?−
かつては見つめ合うことに夢中であった恋人同士が結婚し、夫婦になる。
非日常であったはずのときめきは日常となり、生活の中でみるみる色褪せていってしまう…。
当連載では、結婚3年目の危機にぶち当たった夫婦が男女交互に登場する。
危機を無事に乗り越える夫婦と、終わりを迎えてしまう夫婦。その違いは一体、どこにあるのか−?
これまで、3年目の浮気により危機を迎えた妻と夫の話、そして前回は節約地獄を嘆く妻と夫から話を聞いた。

危機事例? 超・歳の差婚の弊害-妻の言い分−
【広川家・結婚3年目の事情】
妻:茜
年齢:30歳
職業:専業主婦
夫:秀俊
年齢:50歳
職業:美容クリニック経営
「昔から年上ばかりと付き合ってきました」
東京會舘1Fにあるオールデイダイニング『ロッシニテラス』にて、今回の報告者・茜は静かに語り始めた。
「年上の方が甘えさせてくれるし、経済力もあるし。男の20代や30代ってまだ不安定じゃないですか。40代以上の、すでに出来上がった男の人しか頼れないです」
入念に手入れされた指先を、テーブルの上でそっと重ねる。その左手薬指には、3カラットはありそうなダイヤモンドがキラキラと光った。
ちらりと覗いてみると、彼女が着ているスカートのウエスト周囲にはCHANELロゴが入っている。耳元に飾られたピアスも腕時計もCHANELのものだった。
「夫のヒデちゃんと出会ったのは5年前、彼が45歳、私が25歳の時です」
最初の出会いは、新規オープンしたレストランのレセプションパーティーだったという。ただしその場は大人数のイベントだったため、二人の接触は挨拶程度で終わったらしい。
だがその1年後、とある経営者の男性宅で開催された美食イベントで偶然再会。そこから交際に発展、トントン拍子に結婚が決まった。
パレスホテルで盛大な結婚式をあげ、茜は世に言う“勝ち組セレブ妻”の座を手に入れたのだ。
セレブ婚をして幸せの絶頂だった茜。しかし結婚3年目、小さな我慢が膿となって溢れ出していく
「そうですね。友人からは散々羨ましがられました。私は女子大を卒業したあと、外資系のハイブランドで販売員をしていたのですが、周りも“いかにお金持ちを捕まえるか”みたいな子が多かったから、さすが茜!なんて崇拝されたりして」
秀俊は30代の時に一度結婚しているが、子どもはいない。
岡山の田舎で暮らす茜の両親も、自分たちとそう歳の変わらない娘婿に最初こそ困惑していたが、秀俊の十分な経済力を知ってからは、現金なものでむしろ歓迎の態度に変わったという。
「親としては、娘が苦労なく幸せになってくれるなら、それが一番ですしね。実際、結婚当初、私はとても幸せでした。バカにされるかもしれないけど、私って世界で一番幸せなんじゃないかと思ったくらいです」

ところが、そんな茜の心が、結婚生活の経過とともに少しずつ曇っていくこととなる。
発端となったのは、茜が秀俊と暮らす家について話をした時だった。
「実は…今住んでいる成城の自宅、ヒデちゃんが前妻と結婚している時に建てた家なんです。そこで一緒に暮らすなんて、当然最初から嫌でした。結婚前に、売り払って新しい家を建てて欲しいと伝えたら“すぐには無理だけど、そのうち必ず”と言ってくれて。それで私としてはかなり譲歩して、一旦はそのまま暮らし始めたわけです」
秀俊が前妻と離婚してから10年近くが経っているとはいえ、注文住宅で建てられた家は、あちこちに施主のこだわりが感じられる。
彼は「全部俺の趣味だ」と言ってはいたが、それでも気分の良いものではない。
何より気持ちが悪かったのは、夫が前妻とも寝ていたであろうキングサイズのベッドで、毎晩眠らなければならないことだ。
「もちろん寝具類は総取替えしました。でもベッド本体とマットレスはいくら訴えても買い換えてもらえなくて。私にはよくわかりませんが、500万近くする高級品らしく、これ以上に良いものはないから、とかなんとか言われて」
結局、夫は一歩も譲らず、寝室のベッドは今なおそのままなのだという。
さらには、結婚前には「いつかは必ず」と言っていたはずの家の建て替えについても、もはやそんな話はなかったことのようにされているらしい。
事情を知る友人たちから「早く建て替えてもらいなよ」「せっかくお金のある年上と結婚したのに」などと無遠慮な発言をされるたび、茜はフラストレーションを溜め込んでいった。
「ヒデちゃんの考えも、わからなくはないんです。素晴らしい家なんですよ。…前妻と一緒に建てた家だということ以外は。成城の高級住宅地にあって、キッチンは大理石だし、総タイルのバスルーム、屋上にはルーフトップテラスもあって。でもどうしても引っかかるのは、前妻のためには家を建てたのに、私のためには建て替えてくれないんだってこと」
結婚前と、約束が違う。
徐々に不満を募らせる茜は、家の件以外でも夫の言動にイライラすることが増えていった。
金銭的には何不自由のない生活。しかしその代わりに、茜が失ったものとは

「もともと、デートの場所も旅行先も何もかもヒデちゃんが決めていました。彼の方が20歳も年上だし、当然費用もすべて彼が出す。私が口を出すまでもなく素敵なところを選んでくれるから、それで何の不満もなかったんです。だけど…」
するとそこで、茜は一瞬、バツの悪そうな表情を浮かべた。
「批判を承知で、正直に言いますね。…贅沢って、慣れるんですよ。最初のうちは素敵なところに行けるだけで嬉しいから、何の不満もない。でも時間が経つにつれて気づいてしまうんです。彼は別に、私を喜ばせたいんじゃない。自分が楽しみたいだけ。その証拠に、私の予定も意見も、何もかも無視されるんですよ」
秀俊は美食家で、予約困難で知られる名店を1年先まで抑えている。当然、茜も一緒に連れて行ってもらえるのだが、逆に言えば、それ以外の店には一切、一緒に行ってもらえない。
「インスタグラムとかで話題の新店を見つけて“今度ここ行きたいな”と言ってみても全否定。そんな店大したことないとか、見た目ばかりだとか…一度行ってみなきゃわからないのに。お買い物も同じです。ブランドバッグを買ってくれるのは有難いんですが、すべてヒデちゃんの趣味。私はまだ30歳だし、遊び心のあるデザインが欲しかったりするんですけど、ベーシックが一番だって、意見なんか聞いてもらえません」
「そういう時、ああ…分かり合えないって思ってしまうんです」と、茜はため息交じりに続ける。
「ヒデちゃんって、見た目はすっごく若いんです。さすが美容クリニックの経営者っていうか。肌なんか艶々だし、お腹も出てないし。でもやっぱり思考回路や価値観は年相応というか…新しいものを受け入れようとしない、人の意見を聞かない頑固さを見るにつけ、やっぱ50歳なんだなって思っちゃいます」
結婚してからこの3年、茜の中に蓄積された小さな不満が、いよいよ爆発寸前のところまで到達しているようだ。
「恵まれた環境にいることは理解しています。だから我慢しようって言い聞かせてきました。でも言っても彼もまだ50歳。結婚生活だって、この先30年以上は続くでしょう…?このままずっと我慢し続ける人生が私にとって本当に幸せなのかどうか…正直悩んでいます」
どうやら茜の頭にはかすかに、別の人生の選択肢がチラついているらしい。
…というのも、30歳を過ぎてから、これまでまったく興味のなかった年下男が魅力的に見えてきたというのだ。
「いえ、別に、他に誰かいるとかそういうわけじゃないですよ。ただ、たまに昔の悪友がお酒の場に誘ってくれることがあって。そこで出会う年下の男の子たちを見ていると、弾けるような輝きがあるわけです。未来はこれからって感じで、不安定なんだけど、それが逆に羨ましいというか…まあ、無い物ねだりですけどね」
このまま自分を押し殺して結婚生活を続けるのか、鳥かごから飛び出して自由を取り戻し、自立した新たな人生を選ぶのか。
まだ30歳の美貌を持つ妻は今まさに、人生の岐路に立たされている。
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