普通に街乗りだけしているなら交換は必要なくなる!?

 冷却水と言えば、LLCと呼ばれているものが使われ、車検ごとに交換というのが今までの常識。ちなみにLLCとはロング・ライフ・クーラントの略で、その昔使われていた冷却水よりも、季節を通じて使える優れものとして登場して、現在に至っている。

 現在に至っているといったものの、さらに進化してスーパーLLCと呼ばれるタイプが純正充填、および指定では使われている。このスーパーLLCはなにがすごいかというと、初回の交換が16万kmと長寿命。車齢以上で、距離においてはほぼ無交換と言っていい。ただし、時間的には7年交換だったりするので、まったくの無交換ということはないだろうが。

 なぜ、このように飛躍的に伸びたのか? まずはエンジンなどの冷却系の素材がよくなったというのがある。アルミ合金がより使われるようになり、鋳鉄よりもサビが出にくくなっている。

 そして成分自体が変わっている。従来のLLCはエチレングリコールというものが主成分で、それがスーパーLLCではプロビレングリコールに変わっている。特徴としては、まず吸熱性、放熱性に優れるということ。つまり暖まりやすく、冷めやすい。レーシングクーラントとして冷却性能に優れるというのをウリにしたものがあるが、それらの多くはプロビレングリコールが主成分だ。

もうひとつのメリットが潤滑性が高いということ。冷却系のなかでもウォーターポンプやサーモスタットは潤滑が必要で、メンテ不良だと固着することがあったりするパーツなのだが、潤滑性が高いというのはメリットになる。

 プロビレングリコールは食品や化粧品、医薬品にも使われる成分で毒性もかなり低い(従来のLLCはエチレングリコールは毒性がある)ので、代替についてはメーカー的には環境への配慮もあるのだろう。

旧車などで使うには注意が必要になる

 と聞くと、スーパーLLCが指定でないけど、入れたいと思うかもしれない。もちろん入れることは問題ないが、16万km無交換などにはならないから注意だ。洗浄力が高いので、古いタイプのエンジンに入れると溜まった汚れが落ちて悪さをすることも考えられる。だから、汚れが出にくい素材を使ったエンジンに指定されるわけだが、どうしても使用したいなら、経年のエンジンなら入れてしばらく走ったらもう一度交換するなどする。また定期交換も車検ごとぐらいにして、リスクを回避したほうがいいだろう。それ以上使いたい場合は、色のチェックなどを欠かさないようにしたい。

 リスクはなくなはないので、一部メーカーでは古いエンジンへの使用はしないようにと定めているし、使用については自己責任となるだろう。それでも潤滑性能が上がることで、エンジンには優しいので入れるメリットはある。

 気になる価格については、従来のLLCの1.5倍から2倍ぐらいと高い。これが最大のネックになるかもしれない。