沿線人口のピークが後ろ倒しに、“新しい東急”でも攻める!
2日、都内で会見した高橋和夫社長は、2050年の東急について「リアルとデジタルの融合による街づくり“シティー・アズ・ア・サービス”にチャレンジする」と将来像を示した。これまでの街づくりで培ったノウハウを、一人ひとりのライフスタイルに合わせたサービス提供、自律的な地域経済の支援に発展させていく構想だ。
全国的に少子高齢化が進む中で東急線沿線人口のピークは、数年前までは20年と予測されていたものが、直近では「35年、さらに後ろ倒しになる予測もある」(高橋社長)と話す。都心への流入拡大は止まらず、多摩田園都市を結ぶ田園都市線の混雑集中は、沿線価値を低下させる危機的な要因となっている。
東急はピークシフト通勤や郊外駅の魅力向上、職住遊近接の創出に取り組んでいるが、抜本的な改善が不可欠な状況だ。最後の切り札として、ホーム増設を伴う渋谷駅改良に急ぎ着手しようと、国や東京メトロらと検討を本格化。山村明義東京メトロ社長も「時間をかけず、解決策を具体的に詰めていく段階にある」と応じている。
ビルの合間に設置された地下駅改良には、1000億円超の事業費が必要と見られる。駅だけでなく周囲のビルを含めた「駅とまちが一体となった都市再生事業」なくしては実現が難しい。交通インフラ再整備は、渋谷の街がさらに進化するきっかけになりそうだ。
東急は中長期で新横浜や羽田空港へのネットワーク拡大を見据えており、鉄道事業でも成長を見込む。鉄道は今後も基幹事業に違いないが「グループ経営体制の高度化のため」(高橋社長)に分社化を決めたと言う。
鉄道各社は人手不足への備えとして、技術革新を取り込んだオペレーションの効率化が共通課題としている。踏切がなく、ホームドアを全駅整備する田園都市線は、ドライバーレス自動運転導入の条件がそろう路線でもある。東急の鉄道事業が分社化で機動力を高められれば、都市鉄道各社の先頭に立ち、課題解決に取り組んでいくことも可能となる。
(取材・小林広幸)
