騒動からはや2週間。いまだ収束の気配を見せておらず、世界のメディアも行く末を注視し始めている。(C)SOCCER DIGEST

写真拡大 (全2枚)

 アジアサッカー連盟(AFC)は6月9日、今季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド・オブ16、浦和レッズ済州ユナイテッドで起きた一連の騒動について、裁定を下した。

【日本代表】シリア戦を彩った「美女サポーター」たち 
 
 その内容は次の通りだ。浦和の阿部勇樹に肘打ちを見舞った済州のペク・ドンギュに3か月の出場停止と1万5000ドル(約165万円)の罰金、試合後に浦和選手を殴打したとされるクォン・ハンジンには2試合の出場停止と1000ドル(約11万円)の罰金、そして、主審に手を上げるなど暴挙に出たチェ・ヨンヒョンには、6か月の出場停止と2万ドル(約220万円)の罰金が課された。
 
 また両クラブにも、済州に4万ドル(約440万円)、クラブ関係者が乱闘に加わったとの理由で、浦和にも2万ドル(約220万円)の罰金処分が下されている。
 
 これについて、かつてAFCの機関紙『フットボール・アジア』の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、20年以上に渡ってアジアのサッカーを報じている英国人のマイケル・チャーチ記者(現在はフリーランス)が、次のように語った。
 
「AFCの裁定は妥当なものだと思う。チェは6カ月の出場停止で、今季は試合に出られなくなり、ペクの3カ月も相当こたえるものだろう。済州のクラブそのものへの罰金は少し甘いような気もするが、選手に課されたものと合算すれば、7万6000ドル。これはACLの賞金の額などを参考にすれば(UEFAチャンピオンズ・リーグなどと比べるとその額は桁がひとつ少ないが)、非常に高い罰金と言える。
 
 ただし、浦和への罰金については、わたしは少し首を傾げざるをえない。AFCは我々にはアクセスできない映像を根拠としているのかもしれないので、これについてはあまり強く主張できないけれども」
 一方、過去にPAスポーツで記者を務め、現在は香港最大の英字紙『サウス・チャイナ・モーニングポスト』でスポーツ部門の主筆を務める、こちらも英国人のアンドリュー・マレン記者は、こう意見を述べた。
 
「率直に言うと、ちょっと厳しすぎる裁定だと思う。もちろん済州の選手の行動は許されるものではないが、数試合の出場停止が妥当だった気がする。罰金は仕方がないにしても、6か月、3か月と、出場停止がそこまで長期に渡れば、選手のキャリアにも影響を及ぼしかねない。いっときの感情を抑えられなかった選手に問題はあるが、これほどの処罰が正しいものかはわたしには分からない」
 
 済州、浦和の両クラブとも異議申し立てや意見書提出の可能性を示唆しており、処罰が軽減される可能性がある。ただ、欧米のメディアが暴行事件の顛末を動画付きで報じ始めるなど、いまだ波紋は広がるばかりだ。
 
 はたしてこの騒動は最終的に、どのような決着を見るのだろうか。