管理栄養士が教える! ダイエット中や偏食の人は「鉄欠乏性貧血」に注意したほうがいい理由
ここ数日、立っているだけでふらっとめまいがする、という出来事が続きました。管理栄養士で糖尿病クリニックにて患者さんに食事指導を行う西山和子さんは、「バランスの良い食事をとっていますか。鉄分が不足すると、『鉄欠乏性貧血』という病気になることがあります」と指摘します。詳しいお話を聞きました。
■栄養のバランスが偏って、めまい、動悸(どうき)、息切れ、頭痛が起こる
「特に若い世代は鉄欠乏性貧血になりやすいんです」と話す西山さんは、その原因を次のように説明します。
「インスタント食品やファストフードを好む人が多く、特に一人暮らしの場合は単品のメニューを選びがちです。すると栄養のバランスが偏り、血液をつくるのに必要な栄養素が不足します。
中でも、赤血球にあるヘモグロビン(赤い色素)の主な材料は鉄分です。ヘモグロビンは酸素を全身に届ける役割を担うため、鉄分が不足すると、体が酸素不足の状態になり、さまざまな不調が起こります。無理なダイエットや、好みの同じものばかりを食べる偏食も、鉄分不足の原因になります」
鉄欠乏性貧血になると、どのような症状が現れるのでしょうか。
「めまい、息切れ、疲れやすい、動悸、息切れ、頭痛、青白い肌になる、爪が変形して割れやすくなるなどになります。鉄分不足がじょじょに進むと、自覚症状がないこともあります」(西山さん)
■6つの栄養素を意識し、主食・主菜・副菜のそろった食事をとる
では、具体的にどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
「まずは、医療機関で血液検査をし、貧血の種類や、ほかの病気の可能性などを診断してもらってください。そのうえで、医師に鉄欠乏性貧血を指摘された人や、鉄分不足が思い当たる人は、主食・主菜・副菜のそろった栄養のバランスがとれた食事を、毎日3食、規則正しくとるようにしましょう。また、食事に次の栄養素が含まれるようにしてください」(西山さん)
(1) ヘム鉄
食材:レバー、カツオ、さんま、いわしなど
鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、貧血予防のためにはまず、体内への吸収率が高いヘム鉄をとりましょう。赤身の魚や肉類に多く含まれ、特に豚や鶏のレバーには含有量が豊富です。
(2) 非ヘム鉄
食材:ひじき、大豆製品、乳製品、ほうれん草など
非ヘム鉄は、植物性食品や乳製品に多く含まれています。ヘム鉄に比べると体内への吸収率は低いですが、ビタミンCが豊富な食品と合わせると吸収率が高まります。
(3) タンパク質
食材:肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
タンパク質は、細胞や筋肉、骨、酵素、血液などの構成成分として欠かせません。新鮮で良質な肉、魚、卵などのタンパク質食品を、毎回の食事に、必ず1種類は取り入れましょう。
(4) ビタミンC
食材:ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、キャベツ、いちご、レモンなど
鉄分の吸収を助けるビタミンCは、野菜や果物に多く含まれます。(2)の非ヘム鉄を含む食材のメニューにレモンをかける、果物を同時にとると、鉄分を吸収しやすくなります。
(5) ビタミンB12
食材:レバー、カツオ、いわし、あさり、卵など
ビタミンB12は、赤血球がつくられる際に必要です。(1)の豚や鶏のレバー、カツオ、イワシなどの魚を食べると、ヘム鉄とビタミンB12の両方をとることができます。
(6) 葉酸(ようさん)
食材:ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、大豆製品など
(5)のビタミンB12と協力し、赤血球の生成に働く、水溶性のビタミンB群の仲間です。野菜の葉の部分に多く含まれています。レバーや魚、肉、大豆製品など、鉄分やタンパク質が豊富な食品と合わせて調理するほか、毎回の食事にもう一品、葉もの野菜のおひたしやサラダを加えましょう。
最後に西山さんは、注意点として、「お茶やコーヒーを飲み過ぎないようにしましょう」と付け加えます。
「なぜなら、緑茶、コーヒー、紅茶に含まれる渋み成分であるタンニンには、非ヘム鉄の吸収を妨げる働きがあるからです。中でも、特に含有量が多く、気を付けたいのは抹茶入りの緑茶です。
鉄欠乏性貧血の症状が出ている、鉄分不足が気になる人は、これらを食事とともに飲むのは控えてください」
めまいの症状が出ていた筆者ですが、振り返ると1カ月以上前から、食事はパンかパスタという生活が続いていました。鉄分不足の解消には、レバー、魚、ひじき、ほうれん草、レモンなど、6つの栄養素を含む食材を組み合わせてとることが重要だということです。ぜひ参考にしてください。
(日暮ふみか/ユンブル)
取材協力・監修 西山和子氏。糖尿病専門の医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。
