消費税法における「領収書やレシート」の扱い

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■なぜ領収書の宛名は「上様」でOKなのか

飲食店で会計時に領収書を頼んだら、レジからプリントアウトされた紙を渡されて戸惑ったことはないだろうか。ただのレシートじゃないかと思ってよく見ると、一応、「領収書」と印字されている。領収書といえば手書きのイメージがあるが、レシートと領収書の境目は、はたしてどこにあるのか。

そもそもレシートや領収書をもらうのは、社員にとっては経費精算のためであり、会社にとっては、税務調査でお金の使い方を証明するためだ。

法人税法では、レシートや領収書は保存が義務づけられている帳簿書類の「書類」にあたるが、その要件は明文化されていない。要件が明確になったのは、消費税の導入時だ。消費税法上は「課税資産の譲渡等を行った者が作成する書類」に含まれ、この書類の要件として「書類作成者(店名や会社名)」「年月日」「商品やサービスの内容」「金額」「買い手(宛名)」の5つの情報の記載が定められた。

ただし、5つ目の要件である「買い手(宛名)」の記載には例外があり、小売業や飲食店など不特定多数の客を相手に商売する事業者が発行するものについては、宛名を省略していいことになっている。領収書の宛名が「上様」でも許されるのは、この例外規定があるからだ。

注目したいのは、レシートや領収書はどちらも「課税資産の譲渡等を行った者が作成する書類」に含まれ、とくに区別がされていない点だ。公認会計士の山田真哉氏はこう解説する。

「数字が並んでいただけの昔のレシートと違い、最近のレシートは店名や日時、費目、金額がきちんと記載されています。つまり最近の多くのレシートは消費税法上の4要件(宛名は省略可)を満たしており、法的には領収書と同じ扱い。領収書とレシートに境目は存在しないといえます」

■手書きと印刷に違いはあるのか

法律上、レシートと領収書の区別がないとしたら、領収書のほうが公的な書類というイメージは間違いなのか。

「領収書は事業者が判子を押してくれるので、公的な印象を与えるのかもしれません。しかし、それはただの商慣習。判子がなくても、法的な位置づけは同じです」

手書きか印刷か、といった違いも関係がない。直筆のほうが印刷より正式な文書といったイメージがあるかもしれないが、法的な効力はどちらも同じ。冒頭にあげたように印刷された領収書を渡されたからといって、驚く必要は何もない。

ただ、注意点が1つある。

「領収書とレシートが変わらないというのは、あくまでも税法上の話です。会社と従業員の関係では社内ルールが優先されるので、会社が『レシートではなく手書きの領収書をもらってこい』という場合は、それに従う必要があります。会社の経理規程を確認することが大切です」

(文=ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=公認会計士・税理士 山田真哉 図版作成=大橋昭一)