日本人最多3個目のチャンピオンリングを獲得 ジャイアンツのWS制覇を支えた2人の日本人
田口壮氏の2度を超える、3度目の世界一
2014年のメジャーリーグはジャイアンツの優勝で幕を閉じた。日本では世界一を争ったロイヤルズ・青木宣親外野手の活躍が注目を浴びたが、実はジャイアンツに所属する2人の日本人が大きな快挙を達成したことをご存じだろうか。
マッサージセラピストの小川波郎(はろう)氏とブルペン捕手の植松泰良氏。2人はともに2008年からチームを支え、2010、2012、そして今年と3度の世界一を経験している。カージナルスとフィリーズでワールドシリーズ(WS)制覇に貢献した田口壮氏を抜き、日本人最多となる3つ目のチャンピオンリングを手にしたのだ。
メジャーで仕事をする人間にとって、世界一に輝いた時に手にすることができる豪華なチャンピオンリングは大きな勲章。これは選手だけでなく、すべてのスタッフにも配られ、小川氏と植松氏がジャイアンツでどれだけ大きな仕事を成し遂げてきたかを証明するものでもある。ワールドシリーズ第7戦が終わった後のクラブハウスでは、選手とともにシャンパンファイトで喜びを爆発させ、美酒に酔う2人の姿があった。
鍼灸師である小川氏は、マッサージを担当。米国では珍しい鍼灸も取り入れ、メジャーの過酷なスケジュールの中で戦う選手たちを支えてきた。特に、先発ローテーションを担うジェイク・ピービ−、ティム・ハドソンをはじめとしたベテラン選手が体調管理を行うためには欠かせない存在となっている。
試合中や練習中もグラウンドに姿を現すことはなく、クラブハウスで選手のマッサージなどに専念する。まさにジャイアンツを陰から支える存在だ。
選手たちからも揺るぎない信頼を得ている両氏
一方、植松氏はブルペン捕手として、試合では主にリリーフ陣をサポート。当然、練習では選手のキャッチボール相手も務める。
ジャイアンツは今季、ヤスメイロ・ペティット、ジーン・マチ、ジェレミー・アフェルト、セルジオ・ロモ、サンティアゴ・カシーヤといった強力ブルペン陣が大きな強みだった。レギュラーシーズンの救援投手陣は32勝14敗で、チーム防御率はリーグ3位の3・01を誇っただけに、植松氏の存在は大きかったと言える。
ワールドシリーズ第7戦では、エース左腕のマディソン・バムガーナーが5回から登板し、ロイヤルズ打線を5回2安打無失点と抑え込んだ。先発した第5戦から中2日でのマウンドにもかかわらず、ジャイアンツを優勝に導く快投を披露。リーグ優勝決定戦に続いて文句なしのシリーズMVPを獲得したが、マウンドに上がる前のバムガーナーのボールをブルペンで受ける植松氏の姿は、全米中継のテレビでも映し出された。
「日本人最多」に躍り出る3個目のチャンピオンリング。それは、まさに勲章だ。2人は「選手に感謝したい」と声をそろえるが、選手も「(優勝は)彼らのおかげ」と裏方の人々への思いを打ち明ける。この信頼関係があるからこそチームが成り立ち、ファンはメジャーの熱い戦いを見ることができる。
通訳やトレーナーをはじめとして、2人以外にもスタッフとしてチームを支える日本人はメジャーに多くいる。世界一を目指して戦っているのは、選手だけでない。ベンチやブルペンにも注目してみると、試合の見方も変わってくるかもしれない。
