ここが決定的な違い!

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同じ「蓄財上手」ながらも、人から「ケチ」と揶揄され蛇蝎のごとく嫌われる人と、倹約家として尊敬される人がいる。両者を分ける“境界線”とは、何なのか?

節約アドバイザー丸山晴美さんは、「それは使い方のメリハリ」だと断言する。「倹約とは、ある目的のために無駄を省いてお金を貯めること。よって、倹約家は、その目的のためにはきちんとお金を使います。ところがケチは、常日頃から出し惜しみし、出すべきときにも出さない。だから、人から嫌われてしまうのです」

典型的な「出すべき金」の一つが、ご祝儀や葬式の香典など慶弔費だ。「倹約家は、基本、人付き合いを大事にし、義理にそむくことはしないため、冠婚葬祭には惜しみなくお金を使います。ところがケチは、人の祝い事や不幸にもお金を惜しむのです」

たとえば、知人への結婚のご祝儀が1万円以下と学生並みだったり、「ドタキャンした揚げ句、お祝いも出さない」なんて人は、ケチの典型だ。「そういう人は、ホームパーティーに呼んでも、手土産一つ持ってきません。しかも、家族連れで来て、ほかのパーティー参加者やホストに子守りまでさせたりします。揚げ句の果てには、残った食材を『もったいないから持って帰るよ』と持ち帰ってしまうなんて話もよく聞きます」

なぜ、そこまでがめついのか? その背景には、「自分さえよければいい」という自分本位の考え方がある。「ケチを一言で形容すると、ずうずうしい。だから、人には『してもらって当たり前』『○○をもらって当たり前』だと思っています。まるで『あなたのものは私のもの、私のものは私のもの』がポリシーのジャイアンと一緒ですね」

古代ギリシャの詩人テオグニスは、「悪い人間に親切をすると2度ひどい目にあう。 金を失って、しかも感謝されない」と言ったが、まさにその「悪人」を実践してしまうのがケチのケチたる由縁だ。

「結婚式の2次会の司会をしてもらった友人に対してご馳走するなどのお礼もしない。出産祝いを頂いた人に内祝いも返さない。車を持っている人に、いつも自宅まで送らせる。人のものを欲しがる……。ケチと言われてしまう人には、このような共通する行動特性が散見されます」

酷いケチになると、人が持っているものを「飽きたら、ちょうだい」だとか「使わなくなったら譲って」などと「予約」までしてくるという。

「しかも、あげたものも大事にはしてくれず、ネットオークションで売って小遣い稼ぎをする猛者までいます」

つまり、「タカリ根性」丸出しで人に不愉快な思いをさせるのがケチ。一方、節約家は「こっそり黙って節約をし、周囲を巻き込まない」。

だが、如才ないケチ上級者は、その境目ギリギリを縫うかのような言動をするという。その一つが「ちょっと系」な人々だ。「たとえば、『ちょっと貸して』と言ってタクシー代や飲み物代などを人から借りる。また、飲食店では人が頼んだものを『1口ちょうだい』『シェアしよう』などと言って、自分はオーダーしない。さらに、男性にありがちなのが、飲み会や喫煙所などで『煙草1本ちょうだい』と言って煙草代を浮かす行為などです」

また、「すっとぼけ系」もよくあるパターンだ。

「会計のとき、『あ、財布忘れた』などと言って人に出させたっきり督促されるまで返さない。あるいは、飲み会の途中から来て、途中で帰り、飲み代を払わない。部内のメンバー全員名義の見舞金を1人だけ支払わない。あるいは支払ったときは『部員全員から』とは言わず『コレ、私からです』と言ってしまうタイプです」

また、判別しにくいケチの中には「自虐系」という一派も存在するそうだ。

「『いいな〜○○さんは、お金があって』だとか、『俺、金がないんで』とか『貧乏なんで』などと同情を誘うような言葉遣いをして、結果として人にお金やものを出させる人々です」

「ちょっと系」も「すっとぼけ系」も「自虐系」も、あからさまには人の感情を逆なではしない。だが、そうした行為が重なるとジワリ、ジワリと騙されたような気になる。

「要は、ばれなければ何をやってもいいと思っているのがケチ。だからこそ、そういう人たちは、トイレットペーパーやボールペンなどの会社の備品を平気で自宅に持ち帰ったり、仲間と使ったお金のポイントを自分にだけ付けてしまったりするのです」

なぜ、そんなセコイ行為ができてしまうのかといえば、「結局、お金がすべてという価値観のため、自分のプライドなど平気で捨ててしまうから」だと丸山さんは分析する。だからだろう。「靴下に穴、ヨレヨレスーツ着用など身だしなみがだらしなくても気にせず、ランチにカップ麺を食べて周囲に臭っても、全然平気でいられるのです」。

結局、周囲への配慮があるかどうかがケチと節約家の最たる違いだ。あの軍師・黒田官兵衛は倹約家で知られたが、「金銀を用いるべきことに用いなければ、石瓦と同じである」と言い、実際、兵士を募る際などには惜しみなく金を使ったという。ケチでは軍師は務まらないということか。

■これはアウト!「ケチ行為」の実例&口ぐせ

・ちょうだい!
例)「タバコ1本ちょうだい」「1口ちょうだい」

・困ったときはお互い様
お金を借りようとするときのセリフ

・箱が汚れてる
スーパーなどで商品にケチをつけて値切る。レストランではクレームをつけて支払わないことも

・いいなぁ、余裕があって
お金があるんだからおごって当然というニュアンス

・あ、財布忘れた
飲み会の会計時に、支払いを逃れようとするひと言。あるいは、途中で抜けることも

・だって、友達じゃん
キャンプやバーベキューに子どもだけ参加させたりするたかり体質

・いいな〜
子ども服を「おさがり予約」したり、高級文房具をもらおうとしたりする

・バレなきゃいいでしょ
会社の備品やドリンクバーのティーバッグを持ち帰る

・〜してもらって当たり前
車を持ってないから、持っている人に送ってもらって当たり前という論理

・私からです!
お金を出し合って記念品を購入したのに、自分からと言って渡す

(佐藤留美=文)