ベンチスタートの森本が期待感を抱かせ、代表初先発の石川に注目が集まったスコットランド戦では、最終ラインでもテストが行なわれていた。センターバックの岩政だ。

 結論から言えば、岡田監督は新しいオプションを手に入れることができた。試合後の記者会見で、指揮官はこう話している。

「高さでほとんど負けていなかったし、カバーリングも良かったと思っています。彼の高さ、強さというものを、相手によっては十分に生かせるんじゃないかと。非常に自分の特徴を出してくれたと思っています」

 前半は188センチのリー・ミラーに、後半は186センチのスティーブン・フレッチャーに空中戦で競り負けないことが、岩政に課せられた重要な役割だった。果たして、制空権を握ったのは、見慣れない背番号12を着けた日本のセンターバックだった。

「そこ(空中戦)で負けたら、代表に呼ばれた意味がない」と岩政は言う。相手の後頭部に頭をぶつけてしまった84分のシーンを除けば、ほぼパーフェクトな対応だっただろう。

 反則も少なかった。韓国からやってきた主審が日本に優しかったところはあるものの、しっかりと予測ができており、そのうえで柔軟に対応していたことが分かる。

中澤と闘莉王の存在感が際立つセンターバックは、試合や遠征のたびに控え選手が変わるポジションだった。水本(京都)、高木(G大阪)、井川、寺田(いずれも川崎F)、森重(大分)、山口(G大阪)、槙野(広島)ら、世代をこえて様々な選手が招集されてきた。実際にテストされた選手がいて、試合には出られずにチームから離れた選手もいる。ポリバレントな阿部や今野が、センターバックを兼務することもあった。

 1998年のフランスW杯では、ストッパーの中西が2試合連続で警告を受け、ジャマイカとの最終戦に出場できなかった。2006年のドイツW杯では、キャプテンの宮本が同様の理由でブラジルとの最終戦に出場できなかった。

 来年の南アフリカでも、中澤か闘莉王が出場停止になる可能性はなる。2人を同時に欠く試合だってあるかもしれない。ベスト4入りを目ざすのであれば、そこまで想定しておくべきだ。信頼できる3人目のセンターバックを用意しておくのは、南アフリカへ欠かせない準備と言っていい。

「守備も攻撃も、時間が解決することのほうが多い。いまはまだ分からないことがあって、それで判断が遅れることがある。チームのやり方や、周りの選手の動き方が分かってくれば、また良くなると思います」

 試合後のミックスゾーンで多くの記者に囲まれた岩政は、国際Aマッチデビューの安堵感と高揚感が混ざり合ったよう表情を浮かべていた。いつ訪れるか分からない出場機会に備え、彼がぬかりなく準備をしていくことが、チームに安定感をもたらしていく。かつての秋田がそうだったように、である。

戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖