ディズニー、『007』買収を狙っていた ─ Twitterも買収寸前、土壇場で撤退した理由
ウォルト・ディズニー・カンパニーは、かつて『007』シリーズの買収を目指していたようだ。ディズニーを率いてきたボブ・アイガーが明かしている。
アイガーは米のインタビューで、ディズニー在任中に検討していた大型買収や合併構想について回想。その中で、『007』フランチャイズを買収候補のひとつに挙げていたことを認めたという。
アイガーといえば、ディズニーによるピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックスの買収を主導し、同社を現在の巨大フランチャイズ企業へと押し上げた人物。『トイ・ストーリー』『アベンジャーズ』『スター・ウォーズ』『アバター』など、世界的IPを次々とディズニー傘下に収めてきたが、その候補リストにはジェームズ・ボンドも含まれていたということになる。
もっとも、ディズニーによる『007』買収は実現せず、その具体的な理由は語られていない。現在の『007』フランチャイズは、Amazon MGM Studiosのもとで新たな局面を迎えている。Amazonは2022年にMGMを買収し、MGMが保有していた膨大な映画・テレビ作品カタログを手中に収めた。この中には『007』シリーズの配給権も含まれていた。
その後、2025年にはAmazon MGM Studiosと、長年『007』を守ってきたマイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリが新たな合弁会社を設立。『007』の知的財産権を管理する体制が組まれ、ウィルソンとブロッコリは共同所有者として残りながらも、Amazon MGM Studiosが今後の作品のクリエイティブ・コントロールを担うことになった。ウィルソンとブロッコリは、ダニエル・クレイグ最後のボンド映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)を経て、シリーズの第一線から退く意向を示している。
アイガーが明かした“幻の買収劇”は『007』だけではない。ディズニーはかつて、当時ジャック・ドーシーが率いていたTwitterの買収にもかなり近づいていたという。アイガーによれば、買収価格は「非常に魅力的」だったといい、ディズニーはTwitterを自社コンテンツのグローバルな配信プラットフォームにする構想を描いていた。
しかし契約当日の朝になって、アイガーはこの買収がディズニーにとって「ひどい逸脱」になるのではないかと不安視し、土壇場で撤退したという。その後、Twitterはイーロン・マスクによって買収され、Xへと姿を変えることになった。
さらに、Appleとの合併についても協議があった。ディズニーとAppleは、スティーブ・ジョブズがピクサーを率いていた時代から深いつながりを持ち、アイガー自身もAppleの取締役を務めていた。両社の合併について内部で話し合いが持たれ、Apple側とも一定の会話があったものの、本格的な交渉には進まなかったようだ。
もし007がディズニー傘下に入っていたら、もしTwitterがディズニーの配信プラットフォームになっていたら、もしAppleとディズニーがひとつの企業になっていたら……。エンターテインメント業界は、現在とは大きく異なるものになっていたかもしれない?
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