AIの教育への悪影響を避けるため小学生によるAI使用を禁止するとノルウェーが発表、紙の教科書重視の方針も

生成AIはさまざまな産業分野や日常生活で役に立つ可能性を秘めていますが、AIに依存しすぎることで人間のスキルや学力が低下することも懸念されています。ノルウェーのヨーナス=ガール・ストーレ首相は2026年6月19日の記者会見で、教育への悪影響を避けるために小学校でのAI使用を原則禁止する方針を発表しました。
Statsministerens innledning på halvårlig oppsummerende pressekonferanse - regjeringen.no
Norway imposes near ban on AI in elementary school | Reuters
https://www.reuters.com/technology/norway-imposes-near-ban-ai-elementary-school-2026-06-19/
Norway Imposes Broad Restrictions On AI For Elementary School Kids
https://www.engadget.com/2198117/norway-imposes-broad-restrictions-on-ai-for-elementary-school-kids/
Norway bans generative AI tools in elementary schools to protect kids' basic learning skills
https://the-decoder.com/norway-bans-generative-ai-tools-in-elementary-schools-to-protect-kids-basic-learning-skills/
生成AIは教育分野での活用が期待されており、子ども一人一人の理解度に合わせた個別指導ツールを開発する動きや、AIに採点や資料作成をサポートさせて教師の負担を軽減する試みなどがあります。その一方で、子どもたちが問題解決や宿題などを生成AIに任せてしまうことで、学習が阻害されてしまうのではないかという懸念も浮上しています。
実際にイギリスで行われた2026年の調査では、中学教師の66%が「音声認識技術の普及により子どもたちがスペルを覚える必要性を感じなくなり、関連能力が低下した」「生徒たちは思考力・創造性・文章力、さらには会話の仕方といった基本的なスキルを失いつつある」と回答しました。
中学教師の3分の2がAIの使用により生徒の思考力が低下していると回答 - GIGAZINE

そんな中、ノルウェーのストーレ首相は2026年6月19日に半期ごとの総括記者会見を開き、教育とAIに関する問題に言及しました。ストーレ首相は、ノルウェーの子どもたちはおおむね良い生活を送っているものの、以前より長く学校に通っているにもかかわらず読み書きや計算が十分にできないと指摘しています。
ノルウェーの学習成果は2015年頃から他国よりも大きく低下しており、2024年には政府が「小学校から高校までの教室におけるスマートフォンの使用禁止」を提言しました。この取り組みをさらに進め、2026年中には「16歳になる年の1月1日」までの子どものSNS利用制限を課す法案を提出する予定です。
さらにストーレ首相は、学校におけるAI利用に関する年齢ガイドラインを策定中であることを発表しました。ストーレ首相は、AIの利用は子どもたちの教育における「重要な段階」を飛ばしてしまうリスクを高めると主張しています。
AI使用に関する新基準は2026年8月下旬に始まる新学期から施行される予定で、6〜13歳の子どもは原則としてAIを使用できないとのこと。14〜16歳の子どもは教師の監督下でのみ生成AIツールを使用でき、17〜19歳の高校段階ではAIを適切に活用する方法を学び、それ以上の教育や就職に備えるべきだとされています。

なお、ノルウェーでは1990年代から教室でのコンピューター導入が開始され、2010年以降はタブレット端末を導入することで紙の教科書や手書きへの依存度を減らしてきましたが、ストーレ首相はこの方針が生徒の読み書き能力に悪影響を及ぼしていると指摘。自治体が学校に紙媒体の教材を備えることを法制化して、紙媒体を優先するべきだという明確なメッセージを送ることも表明しました。
